あっと!ヴィーナス!!第二部 第一章 part-8
2020.01.14

あっと! ヴィーナス!!第二部


第一章 part-8

「で、どうやってアポロの元へ行くんだ?」
「わからん」
「わからんって……なんでやねん」
「ああ、アポロは居所をちょこちょこ変えるし、隠れ家なんかもあるからね」
「じゃあ、どうやって探すんだよ」
「愛を連れていったのは使徒だ。そいつを追いかければ判る」
「何言ってるの。そいつはとっくに空の彼方だ」
「わたしを誰だと思っている」
「天空の女神だろ」
「で、能力を知っているか?」
「天空を駆け巡り、時を操る……って、おいまさか!」
「そのまさかよ。愛が誘拐されるその時限に遡り、使徒の後を隠れて追いかけ、アポロ
の居場所へ案内してもらうのさ」
「なるほどな」

「では行くぞ」
「おうともよ」
 ディアナが手を前に突き出すようにして、
「ゲート、オープン!」
 と言うと、目の前に扉が現れた。
「なんだ?どこでもドアか?」
「ドラエ〇ンではないぞ」
 扉には【過去への扉】という札が掛かっていた。
「なんだよ、この札は」
「君にも理解できるようにしたつもりだが」
「そうか。では、ノックしてから入るのか?」
「なぜそうする?」
「部屋に入るときは扉をノックするのが礼儀だろう」
「その必要は無い」
 というとディアナは扉のノブを回した。
 目の前には、どこへ続いているか判らぬ暗黒の闇が広がっていた。
「着いて来い!」
 扉の中へと入ってゆくディアナに続いて、弘美も恐る恐る入る。

 暗い扉を抜けた先は雪国、ではなくて弘美が働いているファミレスの前だった。
「なんだファミレスじゃないか」
 行き交う人々の中に、見知った人物がいたので声を掛けようとすると、
「待ちなさい。ここは過去の世界だ、干渉することは許されない」
「未来が変わるとか、パラレルワールドに突入するとかか?」
「それもあるが、アポロに気づかれるかも知れぬ」
「触らぬ神に祟りなしか」
「まあ、そういうことだ。そもそも我々の姿はこの世界の人々には見えない」
「なんだ」
 ファミレスから弘美と愛が楽しそうに出てくる。
「ふうっ!疲れたあ」
 大きく伸びをする愛。
「それにしても……あの人、なんだろうね」
「例の客?まだ食べているのかな」
「ううん……どうかな。もう食べ終わってるんじゃない?」
 談笑しながら帰り道を歩く二人。
「同じこと喋ってるな」
「当たり前だろ」

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あっと!ヴィーナス!!第二部 第一章 part-7
2020.01.13

あっと! ヴィーナス!!第二部


第一章 part-7

「とにもかくにも、お困りのようだな」
「ああ、愛ちゃんが誘拐された」
「取り戻したいか?」
「もちろんだ。出来るのか?」
「出来ないこともない」
「どういうことだ?」
「愛を誘拐したのが、アポロの使徒だからな」
「アポロって、すけべったらしで、とっかえひっかえ女を漁るという奴か?」
「言いたい放題だな。まあ、そのアポロだ」
「で、そのアポロが愛ちゃんを拐ったのはなぜ?」
「ふむ、ちょっとした人違いだったのだがな」
「人違い?」
「これを見よ」
 と差し出したのは、一枚の写真だった。
 そこには学校の校門を出てくる二人の少女。
 愛と少し遅れて自分の姿が映っていた。
「愛ちゃんだ!隠し撮りか?」
「そのようだな。これと同じものがアポロの手にある」
「つまりこの写真に映っている愛ちゃんを誘拐したと?」
「そのようなんだが、実は後ろにいる君が本当の標的だったんだ」
「僕を誘拐するつもりが、人違いで愛ちゃんを拐ったということか?」
「そういうことだな」
「しかし、なんで僕を?」
「ああ、それは極秘事項なので言えないんだ」
「じれったいなあ!愛ちゃんを助け出せるのか、助けられないのかはっきりしろよ」
「助けたいのか?」
「もちろんだよ」
「人違いだと言ったよな」
「ああ」
「愛君の代わりに君がアポロの元へ行けば良い。早い話が、人質交換というわけだ」
「一つ聞いていいか?」
「なんだ」
「僕がアポロの元へ行ったらどうなる?」
「行けばわかる」
「それでは答えになっていないぞ」
「神は気まぐれなものさ。少なくとも命を奪われることはないぞ」
「わかったぞ!女たらしで有名なアポロのことだ。そういうことだな!?」
「そういうことにしておこうか」
「僕が行くと思うか?」
「なれば愛とやらがどうなるか判らんぞ。今頃衣服を引っ剥がされて、乳房をもろ出しに
弄ばれているかもな」
「ううっ。卑怯な」
「行くの?行かないの?」
「わかったよ。行けばいいんだろ!」
「素直でよろしい」

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銀河戦記/機動戦艦ミネルバ 第五章 ターラント基地攻略戦 X
2020.01.12

 機動戦艦ミネルバ/第五章 ターラント基地攻略戦




「総員帰還しました」
「司令本部より暗号通信入電!」
「解読してください」
「ただ今解読中です」
 やがて解読されて報告される。

『ターラント基地を攻略し、撤退命令あるまで確保せよ』

 その指令に、げんなりという表情をする副官。
「まともな休息もありませんね。次から次へと命令が届けられます」
「仕方ありません、我々の任務は陽動です。総督軍の只中にいるのですから。それより回
収したモビルスーツを使って、パイロット候補生の訓練を始めてください」
「了解しました」
 というわけで、パイロット候補生の訓練が開始された。
 発着格納庫で、ナイジェル中尉が、候補生を前に訓示を垂れる。
「パイロットになるための訓練はきびしい。志願した君達には十分な訓練を積んで、立派
な戦士となってもらいたい。幸いにも搾取したモビルスーツを持って、訓練の機会が増え
たのは喜ばしいことだ。今から読み上げる者から順に機体に搭乗しろ。呼ばれなかった者
は次の順番とするが、訓練を見学しつつ仲間の動きを観察して研究しろ」
 名前を順番に読み上げるナイジェル中尉。


 その頃、病室に入れられている三人。
 サブリナ中尉が面会に来ていたのはアイクとジャンのいる病室。
 サリーは、まだ回復せず別室となっていた。
 サブリナを見つけて、中の一人が駆け寄ってきた。
「いい加減に出してくれよ!」
 隔てられた窓ガラス越しに懇願するのはアイクだった。
「いいだろう。三日間の休息を与えた後に、仲間と共に訓練をはじめる」
「訓練か……それは、いやだなあ」
「何を言っておるか。強制召集されて軍に入ったんじゃなくて、志願したんだろ?」
「まさか、トリスタニア共和国が滅亡するとは、思ってもみなかったもんでね。後方部隊
でのほほんとしていながら、給料を貰って楽しみたかったよ」
 呆れ返るサブリナ中尉。
「甘ったれたことを言うんじゃない。艦長は君達の将来を、いつも考えて戦っているの
だ」
「そういえば、まだ艦長さんにはお目見えしていないな」
「そのうちに会えるさ。ともかく三日間の休息だ。十分に身体を養生しておけ」
「へいへい。ところでサリーはどうしている。見えないが……」
「まだ集中治療室だ。起き上がれるまでには回復しているがな」
「それは良かった」
 突然、サイレンが鳴り響いた。
「なんだ?」
「ターラント基地の攻略戦が始まるのさ」
「ターラントって結構大きな基地じゃないか。大丈夫なのか?」
「五隻の応援部隊が駆けつけている。この機動戦艦ミネルバと合わせて、艦長なら何とか
するさ」

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