性転換倶楽部/響子そして 安息日(R15+指定)
2019.05.01
響子そして(覚醒剤に翻弄される少年の物語)R15+指定
この物語には、覚醒剤・暴力団・売春などの虐待シーンが登場します
(三十)安息日
「もう、銃声が聞こえてびっくりしたわよ。部屋を出ようとしたら、扉の前にメイド
さんに扮した女性警察官が二人立ちふさがっていて、出してくれなかったのよ」
部屋に戻ると、里美が憤慨していた。
「しようがないわよ。わたしだって、これだもの」
と包帯を巻かれた腕を見せた。
「痛くない?」
里美は人差し指で、包帯を軽くちょんちょんと触っている。
「少し痛むけど、大丈夫よ」
「申し訳ありませんでした。里美さんには、命に関わる危険なところに行かせるわけ
にはいかなかったのです。もし眠れないとか不安とかありましたら申してください。
精神安定剤とか睡眠薬を用意してあります」
今夜の付き添いとなった女性警察官が言った。
「だったら。生理痛に効く薬ありませんか? ショックで始まったみたいで……」
「あら大変……ありますよ」
と言いながらコップに水と一緒に薬をくれた。
「しかし、明日は調書がありますけど、大丈夫ですか?」
「ええ。たぶん大丈夫よ」
「明日の調書は、先程の巡査部長が伺うと思いますので、訳を話して手短かにしても
らえるようにしましょう」
「でも、今夜徹夜で容疑者の尋問するんじゃありません? 寝ずにですか?」
「巡査部長は事件となれば六十四時間くらい平気で起きていますよ。その後、二十四
時間寝ちゃうんですけどね。寝だめができるそうです」
「変わってますね」
「そうなんですよ。彼女、あれでも恋人がちゃんといてね。他人が羨むくらい仲がい
いの」
「へえ、恋人がいるんだ?」
「弁護士に扮してた警察官がいたでしょう?」
「いたいた」
「この捜査の現場責任者の巡査部長なんですけど、その人と密かに婚約しているみた
い。彼、何でも銃器と麻薬捜査の研修として、ニューヨーク市警に出向してたらしい
けど、逆に組織からマークされて命を狙われたみたい。それで生きるために狙撃され
る立場から狙撃する立場、特殊傭兵部隊に入隊したらしいの。それで傭兵の契約期間
を終えて日本に帰ってきたらしい」
「すごい経歴なんですね」
「そうなのよ。だから彼の狙撃の腕はプロフェッショナルだそうよ。一キロ先からで
も朝飯前という噂があるわ」
「そんな彼と、真樹さんがどうして恋人同士になれたの?」
「何でも彼女が二十歳の記念に、アメリカ一周旅行している時に知り合ったとかいう
話しよ。それ以上のことは話してくれないの。ま、誰にも秘密はあるだろうから聞か
ないけど」
「じゃあ、真樹さんの銃の腕前も彼に教わったからかな」
「たぶんそうだと思いますよ」
「そんなスナイパーの彼と、純真可憐な真樹さんが恋人同士と、署内で変な噂されて
ませんか? 署内で変な目で見られたり、風紀が乱れるとか問題になったりしない?」
「とんでもないわ。彼女の正式な身分は、国家公務員の司法警察員の麻薬Gメンじゃ
ない。地方公務員の警察官がとやかく言えるような雰囲気じゃないのよね。それでい
てまだ二十三歳の若さでしょう? 憧れの的にはなっても、誹謗中傷されるような存
在じゃないのよね。わたし達女性警察官全員で彼女を見守ってあげてる。それに彼の
方も、みんな避けているし、なんせ一撃必中の腕前なんだから、怒らせたら大変。一
キロ先からでも眉間にズドンだからね。証拠を残さずに抹殺されちゃうよ」
「ふーん……」
「あ、ごめんなさい。つい長話しちゃった……。そろそろ、お休みになって下さい。
わたしは隣の部屋にいますから、何かありましたらいつでも申し付けてください」
この部屋には常駐するルームメイド用の控え室があってベッドもある。女性警官は
そこに泊まることになっている。
翌朝。
小鳥のさえずりと共に目が覚めた。
部屋の外のバルコニーに来訪する野鳥達だ。子供の頃と変わらぬいつもの朝の風景。
「おはようございます。お嬢さま」
「ん……。おはよう」
あれ? 女性警察官じゃない……。
昨日とは違うメイドが三名。わたしが目を覚ましたのを期に、仕事をはじめた。
どうやら、今朝から本来のメイド達に戻ったようだ。各個室にはルームメイド二名
と個人専属のメイド合わせて三名が必ずいることになっている。カーテンを開け放つ
者、花瓶の花の手入れをはじめる者、そしてわたし付きのメイドはベッドサイドに立
って指示を待っている。やはり見知った顔はいない。八年も経てば入れ代わって当然
だろう。
「今、何時かしら」
「七時半でございます」
「そう……朝食は?」
「八時半からでございます。旦那さまがご一緒に食堂でとご希望でございます」
「一緒でいいわ。シャワー使えるかしら」
「はい。しばらくお待ち下さい。今、ご用意します」
メイドはバスルームへ入って行った。何するでもない、蛇口を開いてお湯が出るの
を待つだけだ。ボイラー室から、ここまではかなりの距離の配管を通ってくるから、
蛇口を捻っても最初に出るのは水、すぐにはお湯が出ないのだ。冬場なら暖房用に常
時配管をお湯が流れているから、すぐに出るのだが。なお、メイド用の控え室やバス
ルームがあるのは、ここと祖父の居室、及びそれぞれに隣接する貴賓室の四部屋だけ
である。後は共用のバスを利用することになっている。
里美はまだ眠っている。
ベッドと枕が変わっているから、なかなか寝付けなかったようだ。もう少し寝かせ
ておいてあげよう。
「お嬢さま、シャワーが使えます。どうぞ」
ネグリジェを脱いで、メイドに渡してバスルームに入る。
熱いシャワーを浴びる。うーん……朝の目覚めにはこれに限るね。
頭もすっきりして外へ出ると、すかさずメイド達が身体を拭ってくれた。バスロー
ブに着替えてベッドを見ると、里美が惚けた表情で起き上がっていた。里美は目覚め
が悪いので、起きてもしばらくはボーッとしていることが多いのだ。メイドが動きま
わり窓を開けて風が入ってきたりして、目が覚めてしまったようだ。
「ほれ、ほれ、里美。あなたたもシャワーを浴びなさい。すっきりするわよ」
「ふえい……」
はーい、と答えたつもりの間の抜けた声を出す、里美の背中を押すようにして、バ
スルームに放り込む。
「あー。すっきりした。お姉さん、おはよう。食事はまだ?」
出てくるなり、早速食事の催促だ。実に変わり身が早い。
あのね……。
「おはよう、里美。食堂で八時半からよ」
「今何時だっけ?」
「八時と少々です」
「よっしゃー。行こう、今いこ、すぐいこ」
「バスローブのままで行く気? ここはわたし達のマンションじゃないのよ」
「あ、いけなーい。着るものは?」
「お母さんが着てたのがあるから、それ着なさい。わたしが着れるんだから、里美も
着れるでしょ。ベッド横のクローゼットに入っているから、どれでも好きなの着てい
いわ」
「はーい」
そう言うとクローゼットを開けて、早速衣装選びをはじめた。
わたしと里美は、サイズが同じなので、良く服を交換しあっていた。というよりも
最初の頃、里美は衣装を全然持っていなかったので、わたしの服を借りて着ていたと
いうのが正しい。その後里美自身の衣装が増えていっても、わたしが買った衣装をし
ょっちゅう借りていた。
「ほんとにどれ着てもいいの? 高そうな服ばかりじゃない」
「気にしないで、服はしまっておくものじゃなくて、着るものなんだから」
「んじゃ、遠慮なく」11
性転換倶楽部/響子そして 解決(R15+指定)
2019.04.30
響子そして(覚醒剤に翻弄される少年の物語)R15+指定
この物語には、覚醒剤・暴力団・売春などの虐待シーンが登場します
(二十九)解決
真樹さんは健児が落とした拳銃を、ハンカチで包んで拾い上げて、鑑識に手渡して
いた。そしてわたし達に警察手帳を見せた。
「警察です。みなさんから調書を取らせて頂きますので、このまましばらくお待ちく
ださい。現在この屋敷にいるメイドは全員、女性警察官にすり替えてありますので、
そのつもりでいてください」
そうか全員女性警察官だったのか、だから知らない人ばかりだったのね。
「こんなものが、鞄に入ってましたよ」
「注射器と……これは、覚醒剤だわ。これで奴の裏が取れたわね」
「三つの重犯罪で、無期懲役は確定ですね」
「そうね……」
などと鑑識係りと話し合っている。
「でもこんな拳銃を持っているような容疑者がいる場所に、女性警察官を配備するな
んて、もし真樹さんに何かあったらただじゃ済まないのに。報道機関が放っておかな
いわ」
「あはは、彼女はただの女性警察官じゃないよ」
「え?」
「彼女は、厚生労働省の麻薬取締官いわゆる麻薬Gメンさ。麻薬や拳銃密売そして売
春組織を取り締まる、厚生労働省麻薬取締部と警察庁生活安全局及び財務省税関とが
合同一体化して警察庁内に設立された特務捜査課の捜査官なんだ。女性しか入り込め
ないような危険な場所にも潜入する特殊チームの一員なんだ。さっきの立会人に扮し
ていたやつとペアになって、これまで数々の麻薬・拳銃密売組織や売春組織を壊滅し
てきたエージェントさ。だから地方公務員の警察官とは違うから、場合によっては危
険な場所にも出入りするのさ。国家公務員I種行政と薬剤師の資格も持ってるぞ。響
子の警護役も担っていた」
「信じられない!」
「さっきの詳細な調書も彼らが調べ上げたものだよ」
「そうだったんだ」
救急箱を持った別のメイド姿の女性警官が近づいて来た。
「ちょっと傷を見せてください」
「まさか、あなたも麻薬Gメン……?」
「ふふふ。わたしはごく普通の女性警察官ですよ」
「あ、そう」
「一応傷口の証拠写真を撮らせて頂きますね。傷害と殺人未遂の証拠としますので」
と、言ういうと鑑識の写真係りが、傷口の写真を撮っていった。
「お世話かけました。じゃあ、傷の手当をいたします」
わたしの傷の手当をしながら言った。
「彼女、すごいでしょ? 例えば売春組織に潜入するにはやはりどうしても女性でな
きゃね。何にしても女性なら相手も油断するしね。でも普通の女性警察官を捜査に加
えるわけにはいかないから、彼女が送り込まれるの。射撃の腕も署内では、二番目の
腕前なのよ。女性警官達の憧れの的なの」
と、制服警官や鑑識官などに指示を出している真樹さんに視線を送りながら言った。
「一番目は?」
「さっきの立会人に扮してた人が一番よ」
「そうなんだ……」
真樹さんが近づいて来た。
「あたしのこと、あまりばらさないでよ」
私達の会話が聞こえていたようだ。
「もうしわけありません、巡査部長」
と言いつつも、ぺろりと舌を出して微笑んだ。
へえ……巡査部長なんだ……。しかも慕われているようだ。
わたしの前にひざまずいた。
「怪我の状態は?」
「はい。かすり傷です。病院で治療するほどではありません」
「すみませんでした。こんな危険な目には合わせたくなかったのですが、奴の尻尾を
掴むためには仕方がなかったのです。この現場のことだけでなく、自殺した時に関わ
った組織のことも合わせて伺わせていただきます。たぶん長くなると思いますので、
今日は一端もうお休み下さい。明日改めてお伺いいたします」
すくっと立ち上がって、
「済まないけど、響子さんを部屋に連れていって休ませてあげて、そして今夜一晩そ
ばに付き添って泊まっていって頂戴、念のためよ」
「かしこまりました。巡査部長は?」
「今夜中に奴を吐かせてやるわ」
「色仕掛けで?」
「ばか……」
こいつう、という風に女性警察官の額を軽く人差し指で小突く真樹さん。
こんな事件の後は、思い出して脅えたり、恐怖心にかられる女性が多いそうである。
そのために、被害者のすぐそばで介護する女性警察官が居残るのだそうだ。
「じゃあ、頼むね」
「かしこまりました」
敬礼をする女性警官。
「真樹さん。悪いが遺言状の確定を済ませたい。響子を休ませるのも、調書を取るの
もその後にしてくれないか」
「仕方ありませんね……」
「響子、座りなさい。すぐに終わるから」
「はい」
全員が席に戻った。連行されていった健児の席が虚しく空いている。
祖父が厳粛に言い渡す。
「ちょっとしたアクシデントにはなったが、今の件で健児は相続人欠格者となったわ
けだ……。ともかく、響子が弘子を殺害に至った経緯には、少なからず健児の野望の
罠にかかってしまったのは、明らかだ。もし健児が何もしなければ、弘子は今も生き
ており順当に儂の遺産を相続し、息子のひろしと幸せにくらしていただろう。この響
子は、おまえ達の想像を絶する苦悩を味わい、生きていくために男を捨てて女になら
なければならなかったのだ。それを判ってやって欲しい。一応おまえ達には遺留分に
相当するだけの遺産を分け与えることにしたから、それで納得して欲しい」
「わたしとして全然貰えないよりましだわ。まあ、十億円あれば……あ、そうだ。弁
護士さん、十億円だと相続税はいくらくらいになるの?」
「三億円を越えると一律に五割で、一億円以上三億円以下で四割ですね。もちろん基
礎控除などを差し引いた額に対して課税されます」
「そ、そんなに取られるの? まあ、半分になっても五億円ならいいわ。正子は?」
と最初に同意したのは、長姉の依子。それに答える次妹の正子が答える。
「そうねえ。わたしはどうせ長くないし、それだけあれば息子達も食べていくのには
困らないでしょうし。美智子達はどうかな?」
と、すでに亡くなっている長兄の一郎氏と次兄の太郎氏の子供達に尋ねた。
「遺産金は別にそれでもいいけどさあ。わたし、この屋敷で友達呼んでパーティーと
か開いていたんだけど、これまで通りやらせてくれなきゃいやだわ。それさえOKな
ら承認してもいいわ」
パーティーねえ……用は金持ちである事を、友人にひけらかしたいわけね。
「どうだ、響子? ああ、言っているが」
「構いません。どうせ一家族で住むには広すぎますから」
一家族と言ったのは、もちろん秀治と結婚して生まれた子供と一緒に暮らす事を意
味している。
「だそうだ、美智子」
「じゃあ、いいわ。承認してあげる」
「正雄はどうだ?」
「親父の子孫に十億円ということは、妹達と四人で分け合うんだろ。一人頭二億五千
万円じゃないか。相続税払えば半分くらいになるかな……ちょっと足りない気がする
んだが。美智子の方は一人きりで十億円だなんて、おかしいよ」
「何言ってんのよ。法律で決められているのよ。遺産を相続するのは叔父さんの兄弟
であって、わたし達は死んだ親に代わって代襲相続するんだから、その子の数によっ
て金額が変わるのは当然なのよ」
「ちぇっ。いいよ、どうせ俺には子供はいないし、それだけありゃ当面死ぬまで働か
なくても食っていけるから。でもよお、美智子と同じく、屋敷と別荘は使わせてもら
うからな。これまでそうだったんだ。いわゆる既得権ってやつを主張する」
「どうぞ、ご自由にお使いください」
「というわけで、お前達もいいな」
と弟達に向かって確認する。
「べ、べつにいいよ。俺は」
「そうね……。おじいちゃんが響子さんに遺産を全額相続させるという遺言を書いた
以上、貰えるだけましだわね」
「同じく」
全員が納得して公開遺言状の発表が終わった。
「真樹さん。もういいよ。調書をはじめてくれ」
「わかりました」
「響子は部屋に戻って休みなさい」
「はい」11
銀河戦記/機動戦艦ミネルバ 第三章 狼達の挽歌 VIII
2019.04.29
機動戦艦ミネルバ/第三章 狼達の挽歌
VIII 養成機関
カサンドラ訓練のとある教室。
訓練生達が机を並べて、教官から講義を受けていた。
「……であるから、この養成機関はこれまで通りに存続することとなった。もちろん
君達パイロット候補生達もだ。かつての共和国同盟に忠誠をつくすために集まった諸
君だが、今後は新しく再編された共和国総督軍のために尽力してほしい。さて、君達
も知っての通りだが、ランドール提督はアル・サフリエニ方面軍を解体することなく、
あまつさえ我が国に対して反旗の狼煙を揚げ周辺地域を侵略するという暴挙に出た。
ここに至っては、ランドールとその艦隊を反乱軍として、総力をあげてこれを鎮圧す
るために総督軍を派遣することに決定した。また、このトランター本星においては、
ランドール配下の第八占領機甲部隊【メビウス】がパルチザンとして活動をはじめて
いる。この養成機関に与えられたことは、このメビウスに対抗するために組織される
部隊の戦士を育てることだ。諸君らの健闘を期待したい。話は、以上だ。何か質問
は?」
教官が声を掛けるとすかさず手を上げる候補生達。
「我々が戦うことになる相手は、共和国同盟にその人ありと讃えられる不滅の常勝将
軍です。あのタルシエン要塞攻略も士官学校時代から数年に渡って作戦立案を緻密に
計算され尽くされての偉業達成です。このトランターが陥落するなどとは、誰しもが
考えもしなかった人々の中にあって、提督だけがこの日を予測しての【メビウス】を
この地への派遣。パルチザン組織の急先鋒としての任務を果たすこととなりました。
まるで未来を予見する能力があるように思える提督に対し、果たして我々に勝算など
あるのでしょうか?」
「何もランドールと戦えとは言ってはいない。彼は宇宙だからな。君達が実際に戦う
のはメビウス部隊だ。指揮官が誰であろうと、ランドールにかなうほどの技量を持っ
ているはずがない。心配は無用だ」
と言われて、「はい、そうですか」と納得できるものではなかった。
ランドール提督に限らずその配下の指揮官達も、並外れた才能を有している連中ば
かりなのである。メビウス部隊だって、ランドール提督から厚い信頼を受けて、トラ
ンター本星へ配属されてきているはずである。
「それではお伺い致しますが、共和国同盟軍には環境を破壊する禁断の兵器として封
印されていた【核融合ミサイル】があったはずですが。それは今どこに保管してあり
ますか?」
「どうして……そのことを?」
「ネットに情報が流れていて、誰でも知っている公然の事実じゃないですか。核融合
ミサイルは、反政府パルチザン組織のミネルバ部隊の管轄にある。そうですよね?」
糾弾されて言葉に詰まる教官だった。
「そ、それは……」
教官が動揺するのは無理もない。
メビウス部隊の司令官は、特務科情報部所属のレイチェル・ウィングであり、その
背後にはネット界の帝王と冠されるジュビロ・カービンがいる。共和国総督軍をかく
乱するために、ありとあらゆる情報をネットに流すという情報戦を展開していたので
ある。
いかに強力な政府や軍隊を作っても、それを支えているのは民衆であり、そこから
得られる税金によって成り立っていることを忘れてはならない。民衆からの信頼を得
られなければ、その屋台骨を失うこととなり、政府軍はやがて自我崩壊の危機に陥る
ことになる。
反政府ゲリラなどの常套手段として、各地に大量に地雷を埋め込んだり、爆弾テロ
などで多くの不特定多数の民衆を巻き添えにすることは、よくあることである。これ
は、強力な軍隊を持つ政府軍と直接戦うよりは、か弱い民衆を相手にして数多くの犠
牲者を生み出すことによって、政府軍の民衆に対する信頼を失墜させることが目的だ
からである。
たった一発で大都市を灰燼にし、放射能汚染で数十年以上もの長期に渡って人々を
住めなくする核融合ミサイル。そのすべてを使用すればもはやこの星は人の住めない
状態の死の惑星となるのは必至である。
その禁断の破壊兵器を、占領時の混乱に乗じてミネルバ部隊が密かに接収してしま
った。
そんな情報をネットに流したのである。11
- CafeLog -

2019.05.01 14:11
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