銀河戦記/鳴動編 第二章 ミスト艦隊 IX
2019.03.30
第二章 ミスト艦隊
IX
別働隊指揮艦の艦橋。
迫り来る敵艦隊との会戦の時が迫り、オペレーター達の緊張が最高潮を迎えようとし
ていた。
正面スクリーンが明滅して、敵艦隊の来襲を知らせる映像が投影された。
「敵艦隊捕捉! 右舷三十度、距離三十二光秒!」
目の前を敵艦隊が悠然と進撃している。
ミスト艦隊が取るに足りない弱小艦隊とみて、索敵もそこそこにしてミスト本星へ急
行しているというところだ。
手っ取り早くミストを攻略し、先遣隊が帝国皇女の拉致に成功した後に、この星に連
行してくるつもりなのかも知れない。
「時間通りです」
「ようし! 全艦攻撃開始だ」
アレックスの作戦プランに従い、別働隊の敵艦隊に対する側面攻撃が開始された。
敵艦隊の旗艦艦橋。
「攻撃です! 側面から」
不意の奇襲に、声を上ずらせてオペレーターが叫ぶ。
「側面だと? こざかしい!」
「艦数およそ二百隻です」
「所詮は陽動に過ぎん。放っておけ。加速して振り切ってしまえ!」
「こちらは外洋宇宙航行艦、向こうは惑星間航行艦。速力がまるで違いますからね」
「競走馬と荷役馬の違いを見せてやるさ」
別働隊の攻撃を無視して、速度を上げて差を広げていく連邦艦隊。
別働隊指揮艦。
正面スクリーンに投影された敵艦隊の艦影が遠ざかっているのが判る。
「距離が離れていきます。追いつけません」
「それでいい。作戦通りだ」
落ち着いた口調で答える司令官。
敵艦隊が別働隊の奇襲を無視して加速して引き離すことは予測していたことであった。
アレックスの思惑通りに、事は運んでいた。
「さて、後方からゆっくりと追いかけるとするか……」
艦橋にいる人々に聞こえるように呟く司令。
頷くオペレーター達。
「よし、全艦全速前進!」
ゆっくりと追いかけると言ったのは、敵艦隊のスピードに対しての皮肉であった。
追いつけないまでも、敵艦隊に減速の機会を与えないように、後方から睨みを利かせ
るためである。
その頃、連邦軍の艦影を捉えたミスト旗艦のアレックスは全艦放送を行っていた。
「……いかに敵艦が数に勝るとも、無用に恐れおののくことはない。わたしの指示通り
に動き、持てる力を十二分に引き出してくれれば、勝機は必ずおとずれる。どんなに強
力な艦隊でも所詮は人が動かすもの、相手を見くびったり、奢り高ぶれば油断が生じる
ものだ。その油断に乗じて的確な攻撃を敢行すれば、例え少数の艦隊でもこれを打ち砕
くことができるだろう……」
感動したオペレーターが、思わず拍手をすると、その波はウェーブとなった。
放送を終えて照れてしまうアレックスであった。
しかし、アレックスにはもう一つの放送をしなければならなかった。
敵艦隊の指揮艦。
機器を操作していた通信士が報告する。
「敵の旗艦から国際通信で入電しています」
戦闘に際しては、通信士の任務は重大である。
味方同士の指令伝達は無論のこと、敵艦同士の通信を傍受して作戦を図り知ることも
大切な任務である。
「正面スクリーンに映せ」
「映します」
オペレーターが機器を操作し、正面スクリーンにアレックスの姿が映し出された。
スクリーンのアレックスが語りかける。
「わたしはアル・サフリエニ方面軍最高司令官、アレックス・ランドールである」
途端に艦橋内にざわめきが湧き上がった。
ランドールと聞けば知らぬ者はいない。
そのランドールが、なぜミスト艦隊に?
オペレーター達が驚き、隣の者達と囁きあっているのだ。
スクリーンのアレックスは言葉を続ける。
「わけあって、このミスト艦隊の指揮を委ねられた……」
疑心暗鬼の表情になっている司令官であった。
ランドールと名乗られても、『はいそうですか』と即時に信じられるものではない。
副官は機器を操作して、スクリーンに映る人物の確認を取っていたが、
「間違いありません。正真正銘のランドール提督です。それに、ミストから離れつつあ
る艦隊を捕らえました。サラマンダー艦隊です」
「どういうことだ。タルシエン要塞にいるはずのやつらが、なぜここにいる?」
何も知らないのは道理といえた。
ランドール率いる反乱軍は、堅牢なるタルシエン要塞を頼りにして、篭城戦に出てい
るのではなかったのか……。
「おそらくランドールの目的は銀河帝国との交渉に赴いたのではないでしょうか?」
「交渉だと?」
「はい。反政府軍が長期戦を戦い抜くには強力な援護者が必要です。帝国との交渉に自
らやってきて、補給に立ち寄ったこのミストにおいて、我々との戦いを避けられないミ
スト艦隊が、提督に指揮を依頼した。そんなところではないでしょうか」
「なるほどな……。とにかく大きな獲物が舞い込んできたというわけだ」
すでにアレックスの挨拶が終わっていて、スクリーンはミスト艦隊の映像に切り替わ
っていた。
「敵艦隊、速度を上げて近づいてきます」
「全艦に放送を」
通信士が全艦放送の手配を済ませて、マイクを司令に向けた。
「敵艦隊の旗艦には、宿敵とも言うべき反乱軍の総大将のランドール提督が乗艦してい
るのが判明した。その旗艦を拿捕してランドールを捕虜にするのだ。それを成したもの
は、聖十字栄誉勲章は確実だぞ。いいか、ランドールは生かして捕らえるのだ、決して
あの旗艦を攻撃してはならん」
「なぜです。捕虜にするのも、撃沈して葬るのも同じではないですか」
「ばか者。ここはミスト領内で、あやつの乗艦しているのはミスト艦隊だぞ。撃沈して
しまったら、どうやってランドールだと証明できるか? 宿敵艦隊旗艦のサラマンダー
ならともかくだ」
「そうでした……」
「指令を徹底させろ」
「判りました。指令を徹底させます」
性転換倶楽部/特務捜査官レディー 強姦生撮り(R15+指定)
2019.03.29
特務捜査官レディー
(響子そして/サイドストーリー)
(四十二)強姦生撮り
それからしばらくして、例の透視映像に三つの点滅が増えた。
そして真樹のそばに近づいていった。
「一人はビデオカメラマンで、後の二人は……おそらく男優だろうな」
と、ぽつりと黒沢医師が呟いた。
強姦生撮り撮影が開始されるというわけである。
男優一人では強姦生撮りは難しい。女性が必死で抵抗すれば事を成されることを防
ぐこともできる。
そこで抵抗する女性を押さえつける役も必要というわけであろう。気絶させては迫
力ある強姦シーンにはならないからだ。
あくまで泣き叫ぶ女性の姿が欲しい!
というところだ。
つと敬が腰を上げた。
「行くのか?」
それには答えずに黙って車から降りて雑居ビルの方へと一人歩き出した。
「しようがないな……。まあ、恋人が犯されるのを黙ってみている訳にもいかないか
……」
それを眺めて美智子が尋ねる。
「行かせてよろしいのでしょうか? 当初の予定ではここから売春組織のあるアジト
まで案内させるはずでしたよね。今踏み込んでしまえば、その機会を失うことになる
のではないでしょうか。彼らを捕らえたところで、そう簡単には組織を売るようなこ
とはしないでしょう」
「まあな。通常の手段で、奴らのアジトを吐かせることは無理だろう」
「では、なぜ?」
「私に考えがある。否が応でも吐きたくなるような方法をね」
と言って、黒沢医師も車を降りて敬の後を追った。
一人残された美智子。
「もう……。わたしは何のために来たのか……」
実は、相手を策略に掛けてアジトを探し出し、売春組織を壊滅させる。
そんなスリリングな期待を抱いていたのである。
ここで踏み込んでしまえばそれでおしまいである。
「つまらないわ……」
ぼそっと呟いて苦虫を潰したような表情の美智子であった。
雑居ビルの一室。
ベッドの上で眠っているその周囲でカメラ機材を並べている男達がいる。
部屋の隅では男優とおぼしき男二人が服を脱いでいる。
その傍らで勧誘員が説明をしている。
「今日は強姦生撮り撮影だ。女が目を覚ましたところからはじめるぞ。いつも通りに、
女が泣き叫ぼうがなんだろうが、構わずにやってしまえ!」
「女は処女ですか?」
「いや、そうでもなさそうだ」
「ちぇっ、それは残念だ」
「ふふん。で、今日はどっちが先にやるんだ?」
「今日は、俺からっすよ。前回はこいつでしたからね」
「しかし今日のは、ずいぶん綺麗な女じゃないですか。前回のはひどかったですから
ね。仕事だから仕方なくやりましたけど」
「だめっすよ。交代はしませんからね」
「とにかく一ラウンド目はいつも通り。ニラウンド目は、覚醒剤を打って淫乱女風に
なった状態で撮る」
そんな男達の会話を、真樹は目を覚ました状態で聞いていた。
うとうとと眠ってしまったが、男達が周りで動き回る音に目を覚ましたのである。
「ひどいことを言ってるわね……」
覚悟していたとはいえ、いざ男達に取り囲まれ、強姦生撮りされると思うと、さす
がに緊張は極度に高ぶっていた。
しかし、それもこれもより多くの女性たちを救うための人身御供である。
何とかこの試練に耐えて、奴らのアジトに潜入しなければならないのである。
身が引き締まる思いであった。
「よし! ビデオの準備OKだ。はじめてくれ!」
その合図で、男優達が動き出した。
真樹の横たわっているベッドに這い上がってきた。
「きた!」
思わず身を硬くする真樹であった。
性転換倶楽部/響子そして 真実は明白に(R15+指定)
2019.03.28
響子そして(覚醒剤に翻弄される少年の物語)R15+指定
この物語には、覚醒剤・暴力団・売春などの虐待シーンが登場します
(十九)真実は明白に
すると今まで黙っていた、その青年が口を開いた。
「響子、意外に冷たいんだな」
「あなたに響子なんて呼びつけにされる筋合いはありません」
「そう言うなよ。響子というのは、俺がつけてやった名前じゃないか」
「ええ?」
「俺の母親の名前だ。忘れたか? ひろし」
「ひろしって……。そ、その名前をどうして? ま、まさか……」
その名前を知っている限りには、わたしの過去の事情を知っているということ。響
子とひろしとが同一人物だと知っているのは……。そして母親の名が響子ということ
は。
「なあ、生涯一緒に暮らすから、性転換して俺の妻になってくれと言ったよな」
「う、うそ……。まさか……明人?」
「ああ、そうだ。俺の名は、遠藤明人。祝言をあげたおまえの夫だ。もっとも今は柳
原秀治って名乗っているけどな」
「で、でも。社長、明人は死んだって……」
「あれからすぐに臓器密売組織に運ばれてきてね。わたしが執刀医になったのさ。で
も脳が生き残っていた。明人のボディーガードの一人が、頭部を射ち抜かれて脳死に
なったのが同時に運ばれて来ていたから、二人から一人を生き返らせたわけ」
「じゃ、じゃあ。明人の脳を?」
「その通り」
「ほ、ほんとに明人なの? 担いでいるんじゃないでしょう?」
「何なら俺だけが知っているおまえの秘密を、ここで明かしてもいいんだぞ」
「それ、困るわ……」
「なら、俺を信じろ。嘘は言わん。俺は正真正銘のおまえの夫の明人だ」
ああ……。その喋り方。
「明人……」
わたしは、明人の胸の中で泣いた。
明人はやさしく抱きしめてくれた。
身体こそ違うが、わたしをやさしく見つめる目、その抱き方。間違いなく明人だ。
明人がわたしのところに帰って来てくれた。
ひとしきり泣いて、落ち着いてきた。
「でもどうして今まで黙ってたの?」
「それはね。脳移植自体は成功したけど、身体と精神の融合がなかなか進まなかった
のさ。身体も脳も生きているけど、分断したままという状態が長く続いた」
社長が説明してくれた。
「俺は、生きていた。身体と融合していないから、真っ暗の闇の中でな。そしてずっ
とおまえのことを考えていた。おまえを残しては行けない。もう一度おまえに会いた
い。その一心だった。その一途な願いがかなってやがて俺の耳が聞こえるようになっ
て、さらに目の前が開けて来た。身体との融合が進んで耳が聞こえ目が見えるように
なったんだ。俺は生きているんだと実感した。だとしたらおまえを迎えにいかなきゃ
と思った。その思いからか、急速に回復していった。そして今ここにいる」
「明人、そんなにまで、わたしのことを思っていてくれたのね」
「あたりまえだろ。おまえを生涯養ってやると誓ったんだからな。それとも姿形が違
うとだめか?」
「ううん。そんなことない。明人は明人だよ。ありがとう。明人」
「ああ、言っておくけど……。俺は、今は柳原秀治なんだ。柳の下にドジョウはいな
いの柳に、そうげんの原、豊臣秀吉の秀、そして政治経済の治と書いて柳原秀治。覚
えていてくれ」
「柳原秀治ね」
「ああ。そうだ。秀治と呼んでくれていい」
「判ったわ。秀治」
「あははは!」
突然、社長が高笑いした。
「なーんてね……。実は、里美君のご両親もここに呼んであるのさ」
「ええーっ!」
今度は里美が目を丸くして驚いている。
「倉本さん。お入り下さい」
社長が応接室に向かって声を掛けると、その人達が入って来た。
そして里美の方をじっと見つめながら言った。
「やあ、元気そうだね。里美」
「ちっとも連絡してこないから、心配してたのよ」
まだ紹介していないが、両親は里美がすぐに判ったようだ。何しろ母親と里美がそ
っくりだったのだ。
「パパ! ママ!」
「なにも言わなくてもいいわよ。みんな社長さんからお聞きしたから」
「ママ……」
そういうと里美は母親に抱きついて泣き出した。
「えーん。本当は逢いたかったんだよ。でもこんな身体になっちゃったから……寂し
かったよー」
まるで子供だった。
パパ・ママなんて呼んでるから、笑いを堪えるのに苦心した。
どうやら両親に甘えて育ったようね。道理でわたしをお姉さんと慕ってついてくる
理由が今更にしてわかったような気がする。
「泣かなくてもいいのよ、里美。ママはね、里美が女の子になって喜んでるの」
「え? どうして?」
「ほんとは女の子が欲しかったの。だから産まれる時、里美という名前しか考えてな
かったのよ。結局男の子だったけど、そのままつけちゃったの」
「でも、仁美お姉さんがいるじゃない」
「実をいうと仁美は、私達の子供じゃないんだ。パパの兄さんの子供なんだ。母親も
すでに亡くなっていたからうちで引き取ったんだ」
「先に癌で亡くなった伯父さん? そのこと、仁美お姉さんは知ってるの?」
「結婚する時に教えたわ。びっくりしてたけど、納得してくれたわ。わたしが産んだ
子じゃないけど、二人を分け隔てたことないわ。ほんとの姉弟のように育ててきたつ
もりよ」
「うん。知ってる」
「それにしても、ほんとうに奇麗になったね。もう一度近くでじっくりと顔を見せて
頂戴」
見つめ合う母娘。
「えへへ。ママの若い頃にそっくりでしょ」
「ほんとだね、そっくりよ。だから入って来た時、里美だってすぐに判ったわ」
そっかあ……。
里美は母親似だったんだ。
それにしても良く似ている。
わたしや由香里も母親似だし……。
男の子を女にしたら、みんな母親に似るらしい。
「でも、わたしが子供を産んでもママとは血が繋がっていないよ」
「そんなこと気にしないわよ。里美は、ママがお腹を傷めて産んだ子。その子が産ん
だ子供なら孫には違いないもの。里美はママと臍の緒で繋がってたし、里美の子供も
やはり臍の緒で繋がる。母親と娘は血筋じゃなくて、臍の緒で代々繋がっていくわけ
よ。そう考えればいいのよ。でしょ?」
「うん、それもそうだね」
母親はやさしく包みこむように里美を諭している。
臍の緒で代々繋がっていく。
そういう考え方もあるのか……感心した。
さすがは母親だと思った。妊娠し出産する女性にしか気づかない考え方ね。
由香里も、なるほどと頷いて、納得した表情をしている。
「里美のウエディングドレス姿を早く見たいわね」
「社長さん達が、お見合いの話しを進めてるらしいから、もうすぐかも」
「楽しみね」
「うん」
ほんの数分しか経っていないのに、すっかり打ち解け合っている。
あれがほんとうの母娘の姿だと思った。
ふと気づいたが、会話にはほとんど父親が参加していない。数えてみたらほんの二
言しか喋っていないし、抱き合っている母娘のそばで、突っ立っているだけで、まる
で蚊帳の外にいるみたいだ。
こういうことは、男性はやはり一歩引いてしまうんだろうか?
いや、それでもやさしく微笑んでいるから里美のことを認めているには違いない。
里美が最初に抱きついたのは母親の方だし、母娘のスキンシップを邪魔しちゃ悪いと
思っているのかも知れない。11
- CafeLog -
2019.03.30 15:48
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