冗談ドラゴンクエストV 冒険の書・20

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ジパング 勇者「よし、さらに南下するとしよう。たぶん日本が見えてくるはずだ」 ナレ「言葉通りに、半弓状の日本列島が姿を現した」 町娘「これはこれは!ジパングへようこそおいでくだされました」 勇者「ジパング?……そうか大航海時代だもんな」 リリア 「今回は、どちら回りですか?」 勇者「うん、時計回りにいこうか」 少年「わーっ!ガイジンだあ!」 勇者「外人とは失敬な。これでもムー大陸人だ!」 少年「えーん!ぼくの大好きなやよい姉ちゃんがいけにえにされちゃったよお!」 町娘「(井戸の側)いけにえを、ささげなければ、おろちがやってきて、みなを食べてしま うでしょう」 勇者「……?」 ナレ「真南の家に入る」 勇者「箪笥の中身は……ちぇっ!布の服かよ、しけてるな」 老人「おお!なんということじゃ。ひとり娘がいけにえに選ばれてしまうとは……」 ナレ「南西の小屋、階段があり、当然のごとく降りる一行」 勇者「なんだよ。壺だらけだな、どれかに良い物入ってるかな。お、小さなメダル見っ け!」 リリア 「あら、この壺に人の頭が……」 弥生「(やよい/顔を出して)お願いでございます!どうかお見逃しを!せめて、もうひ ととき生まれ育ったふるさとに別れをつげさせてくださいませ」 勇者「いくらくれる?」 ナタリー「行きましょう(勇者の耳を引っ張る)」 勇者「痛い、痛い!耳がちぎれるう!!」 リリア 「そうですよ。わたし達は、何も見なかったんです」 老人「やまたのおろちは、おそろしいばけものじゃ!」 勇者「……??」 ナレ「西の家へ」 勇者「ふしぎなきのみをみつけた!」 町娘「つぎのいけにえは、私かも…。助けてくださいまし!」 勇者「悪いな、何もできん。それもこれも運命とあきらめよ」 神父「わたし、この国に神のおしえ広めにきました。でも!オー!ここでは、ヒミコ神様 ね」 勇者「宣教師か……。おまえの名前は、フランシスコ・ザビエルというんじゃないか?」 男 「(鳥居の側)われらがあるのも、ヒミコさまのおかげじゃ。ヒミコさまが、おろち にはいけにえじゃというてくれたから…」 勇者「……???」 ナタリー「なによ、さっきから首を傾げてばかりじゃない」 勇者「いやなに……これまで辿ってきた各地の町や村は、大航海時代の名残だろ?ここの ジパングという国名もそうだ。ところがだ!」 リリア 「ところが?」 勇者「大航海時代は15〜17世紀。しかし卑弥呼は2〜3世紀の話で、魏志倭人伝に記 載されているものだ」 コンラト「そういえばそうですね。大航海時代なら、織田信長とかの戦国時代が相応です。だ かこそ、宣教師がいたりするのでしょう」 勇者「卑弥呼を登場させるなら、国名もジパングじゃなくて、倭国とか大和国とかが相応 しいだろ?」 ナタリー「ゲームクリエイターの気まぐれでしょ」 勇者「それを言うのかよ」 ナレ「東の家に入ります」 勇者「箪笥にきのぼうしか……この町、せこいな」 ナタリー「家探ししているあんたの方がせこいと思うわよ」 主婦「ほんに男の子でよかった!娘だったら、いついけにえにされるかと、心配ばかりだ よ」 勇者「ほいじゃ、そろそろ神殿に入るか……と、外をうろついている奴がいるな」 男 「やよいは逃げてくれただろうか…さいだんにしばりつけるなわを、ゆるめておいた のだが……」 リリア 「やよいさんて、壺に隠れていた女性ですよね」 兵A「ここは、われらのあるじ、ヒミコさまのお屋敷であるぞ」 兵B「外国では、みなそのようなきみょうないでたちをしているのか?なさけないのう」 リリア 「殴らないでくださいよ!」 勇者「ま、まさか……」 ナタリー「というわりには、拳を震わせているわね」 勇者「なあ、ここに積んであるのは何だ?」 リリア 「たしか、米俵というこの地方の主食の米が詰め込まれてます。私達の国では麦です ね」 女官「ヒミコさまも、おろちには頭を悩ませているはずじゃ」 勇者「ところで、床に置いてあるこれはなんだ?なにやら、ふわふわしているが」 リリア 「ジパングでいうところの、おざぶとんというものらしいです」 勇者「ここは台所かな。壺にふしぎなきのみが入ってた」 炊事「おろちを退治できたなら、ヒミコさまもきっとよろこばれましょうに……」 勇者「ここも食糧倉庫か……。1俵くらいくすねても分からないかな……。うーん、だめ だ!床に固定されていて取れないや」 ナタリー「あんた、わざとやってるでしょ」 娘 「ヒミコさまは、近ごろ摩訶不思議な神通力を身につけなさったとか」 勇者「じんつうりき……って何だ?俺たちの使う呪文に似たようなものか?」 リリア 「呪文よりもさらに強化された神がかりのようなものと思いますが……」 勇者「う……ん。いまいち分らんが……まあ、そういうことにしておこう」 娘 「いけにえは、ヒミコさまの予言によって選ばれます」 勇者「壺から、小さなメダルとちからのたね、見っけ(*^^)v。隣の部屋の箪笥からは、う ろこのたてとけいこぎ」 従者「ここは、ヒミコさまのお部屋じゃ」 勇者「おお、やっと主とのご対面だな」 ヒミコ 「なんじゃ、お前は?」 ナレ「はい、いいえ、で答えてください」 勇者「おい、ちょっと、設問がおかしいんじゃないか」 ナタリー「なにが?」 勇者「お前はだれだ、と言っているのに、はい・いいえ、はないだろ?」 コンラト「確かにそうですが……常識的には、名前を名乗るものですよね」 勇者「ま、いいや。いいえと答えたら?」 ヒミコ 「答えずともよいわ!そのようないでたち。おおかたこの国のうわさを聞き、外国か らやってきたのであろう。おろかなことよ。わらわは外人を好まぬ。そうそうに立ち去る のじゃ。よいな!くれぐれもいらぬことを、せぬが身のためじゃぞ」 勇者「で、はい、と答えたら……。まったく同じ返答をしやがるな。これじゃ、二者選択 する意味ないだろ?ナレーションも少しは気を使えよ」 ナレ「ほっといてください!ゲームマスターに言ってください!!」 勇者「ともかくだ。ここが卑弥呼の時代ということは……あるはずだよな」 コンラト「何がですか?」 勇者「決まっている。魏の皇帝・曹叡から賜ったとされる親魏倭王国印だよ。それと、漢 委奴国王印もあるかも知れない。そのままだと足が付くから、溶かして金塊にして売りさ ばけば大金持ちだ」 コンラト「それは、カンダタにも劣る悪徳行為ですよ!!」 リリア 「そうです。金印を盗むというなら、パーティー抜けます」 ナタリー「パーティー解散ね」 勇者「じょ、冗談だよ。今の話はなし!」 コンラト「……情報はだいたい集まったようです」 勇者「そうだな。外へ出てみるか」 ナレ「ジパングの側に開いた洞くつがある」 勇者「そういえば、ヤマタノオロチとかいけにえとか、村人が言っていたが……」 リリア 「もしかしたら、この洞窟に生贄とされる娘が、連れ込まれて行くのではないでしょ うか?」 コンラト「ヤマタノオロチが巣くっていそうですね」 勇者「よおし!オロチ退治するぞお!ダーマの神殿で、素戔嗚尊(すさのおのみこと)と 改名するかな」 ナレ「などと言いながら、勇躍として洞窟へと突入するのであった」 ジパングの洞くつ 勇者「おおお!いきなりメタルスライムの群れだあ!!ナタリーの毒針が炸裂するぞ!」 ナタリー「何を興奮しているのよ。まあ、まかせなさい」 ナレ「メタルスライム3匹を倒して、ナタリーがレベルアップ!バイキルトの呪文を覚え た」 リリア 「やったね、ナタリー(*^^)v」 コンラト「これでボス戦も余裕が出てきますね」 勇者「おや、祭壇らしきものがあるな」 リリア 「そこら中に亡骸が散乱しています(と言いながら供養する)」 勇者「なんか落ちてないかな……」 ナレ「祭壇をしらべる勇者。人骨があたりにちらばっている。どうやら、ここがいけにえ の祭壇らしい」 勇者「ちぇっ!何もねえや……いけにえが持っていた何かがあるかと期待していたのに」 リリア 「不謹慎です!」 ナレ「洞窟を突き進むと、行き止まりの壁際に何者かがいた。正面と左右に2対の頭を持 った魔物であった」 勇者「ちょっと待て!頭が五つとはどういうことだ!?八岐大蛇だろ?頭が八つあるはず だろが?」 ナレ「たぶんCG描写と解像度の問題でしょう?八つも頭を描いたら、CGが潰れて何が なんだか分からなくなるからです。最初のファミコンは8ビットのドット絵ですから」 勇者「それを言うのかよ!!」 ナレ「気にしない気にしない。ほらほら、やまたのおろちがあらわれましたよ」 勇者「と、とにかく頑張るぞー!」 ナレ「激しい戦いに奮戦するも、ナタリーが倒れ、リリアが倒れ、コンラッドまで倒れて 勇者一人のみとなった」 勇者「くそくらえ!」 ナレ「乾坤一擲(けんこんいってき)会心の一撃となって、やまたのおろちにとどめを刺 した」 勇者「ふうっ(肩で息をしながら)なんとか倒したが……。俺以外棺桶になっちまった… あれ?旅の扉が出現しているぞ。どうする?(仲間に話しかける)」 ナレ「……(棺桶は答えない)わざとですよね?」 勇者「あれ、なんか落ちているぞ」 ナレ「拾い上げてみると『くさなぎのけん』だった」 勇者「なるほど、八岐大蛇には草薙の剣というわけだ。当然だな」 ナレ「道具として使うと、ルカナン(敵グループ防御力降下)の呪文の効果があります」 勇者「そうなのか?ともかく目の前の旅の扉だ。しようがねえ。死なばもろともだ!」 ナレ「旅の扉に飛び込む勇者だった。そこで見たものは……」 勇者「あれ?ここは……見たことあるな。そうだ、ジパングのヒミコの間だぜ」 従者「ヒミコさま!今すぐきずのお手当てをっ!それにしてもヒミコさまは、いったいど こでこんなおけがをささったのやら……」 勇者「おい、おまえ!」 従者「ヒミコさまが、おけがをなされて大変なのだ。出ていってくれ!」 勇者「くそ!殴りつけたいが……。今は、こちらの回復が先決だ!ルーラ!!」 ナレ「アリアハンに戻って、教会で仲間を復活させて、自宅で休養したのち、国王に冒険 の書に記録してもらう」 コンラト「これからどうしますか?」 勇者「ジパングのヒミコは、やまたのおろちの化身ということがはっきりした」 リリア 「そうなんですか?」 ナタリー「あたし達は棺桶状態だったからね」 勇者「二度目の対戦が必要だろうが、全滅状態だったからな。もっとレベルアップが必要 だ」 リリア 「レベルアップするなら、メタルスライムの群生が出現しやすい、ガルナの塔が良い と思います」 勇者「俺もそう思っていたぞ。早速GO!だ」 ナレ「というわけで、ガルナの塔で適当にレベルアップして、やまたのおろちに再挑戦す るべくジパングに舞い戻ってきた。八岐大蛇たる卑弥呼は、洞窟から屋敷に居を移したよ うだ」 勇者「おい!ヒミコ!」 ナレ「ヒミコは声をださず、頭の中に直接話しかけてきた……」 ヒミコ 「わらわの本当の姿を見たものは、そなたたちだけじゃ。だまっておとなしくしてい るかぎり、そなたを殺しはせぬ。それでよいな」 ナレ「はい、いいえ、で答えてください」 勇者「ふむ。何かくれたら黙ってしんぜよう」 ナタリー「なに、言ってるの!」 ヒミコ 「ほほほ……。よい心がけじゃ」 勇者「おい、何もくれないのか?」 ヒミコ 「……」 勇者「そうか、そういう態度なら。正体をばらしてやるぜ」 ヒミコ 「ほほほ、そうかえ。ならば生きては帰さぬ!食い殺してくれるわ!」 ナレ「やまたのおろちが現れた」 勇者「各自、役割は分かっているよな?」 コンラト「私は、とにかく打撃しか出来ないので」 リリア 「わたしは、敵の守備力を下げるルカニの呪文。後は適時回復呪文です」 ナタリー「あたしは、仲間の守備力を上げるスクルト、仲間の攻撃力を上げるバイキルトをコ ンラッドと勇者に」 勇者「よし、分かっているようだな。では、戦闘開始だ!!」 ナレ「激しい攻防戦を繰り広げながらも、ついにやまたのおろちを倒したのだった」 勇者「ぜぇぜぇ……(肩で息をする)やったぜ!今度は全員生き残った(*^^)v」 ナレ「なんと!ヒミコはおろちだった!そのうわさは、またたく間に、国中に広まってい った。そして夜があけた」 勇者「お!八岐大蛇が消えて、宝箱が目の前にあるぞ。そうか(ポンと拳で掌を叩いて) 奴は宝箱の化身だったんだ。ミミックと同じだ」 ナタリー「そんなはずないでしょ」 リリア 「それはそうと、宝箱の中身は?」 ナレ「なんと!パープルオーブをみつけた!」 勇者「パープルオーブ?これは何の役に立つのかな??」 ナレ「それは……。実はゲームマスターが考えた正しい順路で巡っていないので……各地 を巡り続ければ、いずれ分かります」 勇者「なんだよ。教えてくれてもいいじゃないか」 ナタリー「いいじゃないの。いわゆるネタバレ注意ということでしょ」 勇者「つまらんなあ……」 リリア 「と、とにかく。八岐大蛇を退治したから、もう娘が生贄にされることはなくなりま したね」 コンラト「まだ知らない村人たちに教えてあげましょう」 従者「やまたのおろちがヒミコさまに、なりすましていたとは……」 飯炊「あの、ヒミコさまがおろちだったなんて!あなおそろし!」 娘 「きっと本当のヒミコさまは、おろちのキバにかかって……」 男 「なにはともあれ、めでたいことよ!」 兵A「いやはや!勇者どの!あんたは強いのう」 兵B「ここは、ヒミコさまのお屋敷……じゃあなくなっちまったんだなあ」 神父「ヒミコさん、死にました。でも今度あなたたちまるで神さま!やっぱりお手上げ ね!」 勇者「諦めろ。そもそも日本は八百万の神が治める神道の国だぜ。キリスト教が入り込む 隙はねえよ」 コンラト「これからどうしますか?アリアハンに戻りますか」 勇者「そうだな……久しぶりにショニンに会いに行くか。いや、なんとなくだが……」 ナタリー「なんとなく…ね」 商人の町再訪 ナレ「というわけで、ショニンの町へとやって来た」 勇者「お、店が出来ているじゃないか。やや、ショニンが店子か」 ショニン「あっ、勇者じゃない!なんだかなつかしいわね。見てて、勇者。私、きっとこの町を大 きな町にしてみせるから!」 勇者「おう、頑張れよ。また会いに来るから」 老人「さっそく店できた。これ、あなたのおかげ。ありがとう、ありがとう」 勇者「今とは言わないが、いつかご褒美をくれよな。また来る」
     
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