機動戦艦ミネルバ/第五章 ターラント基地攻略戦(1)

 ムサラハン鉱山跡地に時間通りに到着したミネルバ。
 補給艦とも無事に接触して補給の真っ最中だった。
 相手の艦長は、前回と同じベルモンド・ロックウェル中尉だった。
 ロックウェル中尉は、補給の任の他に、次の作戦指令を伝達する任務も負っていた。
「次なる作戦は、モビルスーツ生産工場であるリスキー開発区の攻略です。工場を破壊するのが目的ですが、出来うる限りのモビルスーツをも奪取することも、作戦内容に含まれております」
「工場の破壊とモビルスーツの奪取ですか……」
「その通りです。モビルスーツ戦となることは必定でしょう」
 ここに至って、バイモアール基地攻略の作戦理由が見えてきた。
 新型モビルスーツを手に入れ、このリスキー開発区の攻略に当たらせることだったのだ。
 カサンドラ訓練所の訓練生を収容したのも、モビルスーツ奪取の後のことを考えてのことだったようだ。
「今回は、ミネルバ以外にも計五隻の艦艇が作戦に参加することになっています。ミネルバは、その旗艦として働いています」
「合同作戦ですか?」
「戦術士官としての腕の見せ所ですね」
 たった六隻の小隊とはいえ、複数の艦艇を指揮運用できるのは戦術用兵士官だけである。
 一般士官の艦長の権限では、自艦のみしか指揮できない。
 フランソワの出番だった。
 合同作戦の旗艦として、ミネルバが位置づけられたことで、フランソワの責任も重大なものとなりつつあった。
「モビルスーツ同士の格闘戦ですか。壮絶なる戦いとなることが避けられないでしょうね」
 副長のベンソン中尉が、感慨深げそうに言葉を漏らす。
「新型は、経験豊富なナイジェル中尉とオーガス曹長、そしてサブリナ中尉とハイネ上級曹長に任せましょう」
「無難でしょうね。ついでにパイロット候補生達の訓練教官になってもらいましょう」
「それは結構ですね」
「パイロット候補生というと、例の三人組の男子が意識を取り戻したそうです。女子の方はまだのようですが」
「そう……。お見舞いにいってみましょう。しばらくここをお願いします」
 立ち上がって、指揮官席を交代するフランソワ。
「了解。指揮を交代します」

 フランソワが医務室に入ると、すでに先客がいた。
 特殊工作部隊の隊長のシャーリー・サブリナ中尉だった。
 バイモアール基地において、訓練生の行動を阻止できずに、結果としてこのような事態になった責任を感じているのである。
「あ、艦長殿もお見舞いですか?」
「具合はどうですか?」
「元気なものですよ」
 とはいうものの、訓練生はガラスで隔たれた集中治療室に入れられていた。
 ベッドに横たわり、点滴の針を刺されている。
 突然一人が起き上がって、ガラス窓にへばりついて叫びだした。
「なあ、いい加減ここから出してくれよ!」
 ジャンである。
「だめだ! おまえは死にかけていたんだぞ。見た目は元気でも内臓は弱っているだぞ。その点滴も内臓を回復させるためだ。感染を防ぐためにもまだそこから出すわけにはいかん」
「いつまで入ってりゃいいんだ?」
「回復するまでだ」
 アイクの方は、背を向けたまま動かない。
「もう一人はどうしたんですか?」
「いやいや、向こう向きで見えませんが、携帯ゲームで遊んでいるんですよ。心配はいりません」
「そう……。重体の女の子は?」
「CCUの方です」