純愛・郁よ
(二十)彼氏?
それがあなたでした。
まさか本当に連れてくるとは。びっくりしました。
私達はあなたに尋ねましたよね。
「この娘は、本当は男の子。それでも女の子として交際していただけますか?」
それにあなたは、はっきりと明確に返答してくれました。
「僕は、郁さんのやさしい性格や表情、その女性的な心に惚れたんです。姿形が男で
あるとか女であるかとかは関係ありません。もし許して下さるならば、生涯郁さんと
暮らしていきたいとも思っています」
あなたの瞳は真実の輝きを持っていると感じました。真剣に郁を愛してるのだと。
あなたは郁や私達に対して決して逃げませんでした。ちょんと私達の下を訪れて交
際を求めてきました。
それには応えるしかないでしょう。
まだ高校生ですから、まず一歩手前の睾丸摘出するということで、何とか納得させ
ました。
そして手術の日。
あなたは病院まで同伴して、郁を安心させてくれました。
あなたは、まるではじめて産まれる子供の分娩に立ち会っている新婚の夫みたいに
そわそわしながら、病院の廊下を行ったり来たりしていましたね。笑ってしまいまし
たが、性転換を受けさせて結婚させる価値のある男性だと確信しました。
その日から、性転換し女性としての戸籍変更に向かって、私達は動きだしました。
ところが、あなたは郁を連れて東京へ行ってしまいました。
後日届いた郁の手紙から、あなたの実家で起こった勘当のことを、知らされました。
ほぼ定期的に、郁から電話や手紙が届いて、幸せに暮らしているとの事で、安心は
していましたが、やはり気掛かりなのは途中中断した性転換のこと。
と思っていたら、性転換手術を受けたいという知らせ。
すでに法律的に正式な性転換手術の認定が降りていましたので、すぐに帰ってきな
さい。こっちで手術すると。
その時のことを話して差し上げましょう。
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