冗談ドラゴンクエストⅢ 冒険の書・2
2020.03.26
冗談ドラゴンクエストⅢ 冒険の書・2
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ナレ「というわけで、勇躍原野へと踏み出したのであった」
勇者「よっしゃあ!冒険のはじまりだあ!」
コンラト「気を引き締めていきましょう」
ナタリー「まあ、まかせるわ」
リリア 「お手柔らかにお願いします」
コンラト「西に塔が見えますね」
ナタリー「と言われても、島になってるから行けないわ」
勇者「いずれ行くことになると思うが、とりあえず行けるところへ行く。ってことで橋を渡る
しかないが……」
コンラト「ともかく町や村を探しましょう」
ナレ「スライムやおおがらすなどの魔物との遭遇戦に苦労しながらも、城から北の方に村を発
見した」
リリア 「行ってみましょう!」
レーベの村へ
住人「レーベの村にようこそ」
コンラト「レーベの村というのですね」
勇者「そうだな。とりあえず、時計回りに聞いてみよう」
ナレ「中央の北側の家を訪ねる」
住人「とうぞくのかぎは、手に入れましたか?」
勇者「とうぞくのかぎ?持ってないな」
住人「この村の南の森にも、ナジミの塔に通じる洞くつがあるとか……。うわさでは、その塔
に住む老人がそのカギをもっているらしいですよ」
ナタリー「とうぞくのカギですって、重要アイテムのようね」
勇者「そりゃ、カギといえば、ドラクエ共通のクリア必須アイテムだもんな」
ナレ「池のほとりに立つ町人」
町人「まほうのたま……か。うちのじいさんにも、こまったもんだのお」
リリア 「また、重要アイテムのようですね( ..)φカキカキ」
勇者「北東の家は……だめだ、カギが掛かっているな」
コンラト「先ほどの、とうぞくのカギがあれば開くのでしょうか?」
勇者「かも知れない……」
ナタリー「とうぞくのカギを手に入れたら、戻ってきましょうよ」
ナレ「南東の片隅に人がいる。大きな岩を動かそうとしているようだ」
村人「よいしょよいしょ。だめだ……。重くて押してもビクともしないや」
勇者「どれ、俺にやらせてみろ!」
ナレ「岩を押しまくる」
村人「やや、すごい!そのチカラがいつかきっと役に立ちましょう!」
リリア 「たいしたこともなく動かせたようですが……。これって、ステータスの【チカラ】の数
値によっては、押せないこともあるのでしょうか?」
コンラト「関係なさそうですが……」
勇者「今はたんなるイベントのようだが……本人も言っているように、いずれ役にたつ……と
思うぞ。俺の感がそう言っている」
リリア 「感……ですか?」
町人「町の外を出て歩くとき、あやしげな場所にはなにかあるかも知れぬ。遠くから見るだけ
でなく、その場所まで行くことだな」
コンラト「意味深ですね」
勇者「覚えておこう。さて、最後は宿屋だな。1階の部屋は……ちぇ、鍵が掛かってるぜ」
ナタリー「二階に上がってみましょう」
子供「うわ~勇者さまって女の人だったんだ!」
ナレ「はい、いいえ、で答えてください」
勇者「いいえ、と言ったら?」
子供「え?ちがうの?でも、ボクには女の人に見えるけどなあ。いっぱいいっぱい魔物をやっ
つけてね!あいつらが、ボクのパパとママを……。ぐすん」
勇者「一応、はいと答えてみるか?」
子供「やっぱり!女の人なのに、魔物をやっつけながら、旅をしてるなんて、えらいなあ!
いっぱいいっぱい魔物をやっつけてね!あいつらがボクのパパとママを……。ぐすん」
勇者「うむ、まかせておきな」
コンラト「一応一通り、聞き終わりましたね」
ナタリー「鍵部屋を除いてね」
勇者「次の場所へ移動しようぜ」
リリア 「ナジミの塔ですね」
ナレ「レーベの村を出る一行だが、少し進んでナタリーが気づく」
ナタリー「ね、見て!森の中ほどに空き地のような所があるわよ」
コンラト「確かにそうですね。町人の言っていた、怪しげな場所ってことですね」
勇者「しかしよう……ドラクエのような2Dマップ、トップビューだから見えるけど、普通は
木々が邪魔して森の中なんか外からは見えねえよな」
コンラト「それ、言っちゃだめですよ」
リリア 「そうそう」
勇者「ま、いいや。とにかく、行ってみよう」
ナレ「その森に入ってみると建物があった」
リリア 「残念。鍵が掛かってます」
勇者「他に何かないか?」
コンラト「あ、階段がありますよ」
勇者「よし!降りてみよう」
岬の洞くつ~ナジミの塔
ナレ「そこはナジミの塔への近道。目の前にある階段を昇るとナジミの塔である」
勇者「通常、ダンジョンというものは基本、一番遠くの階段を昇るのがセオリーだが、元々隠
し通路的にここへ入ったのだから、今回は目の前の階段を昇るぞ」
ナタリー「そんなもの?」
ナレ「そんなこんなで、塔の魔物を成敗しながら、頂上にたどり着いた」
リリア 「誰かいますけど……。壁に囲まれてます」
ナタリー「扉にも鍵が掛かっているわ」
コンラト「おーい!そこの人聞こえますか?(扉を叩きながら)」
勇者「無駄だよ。ドラクエは、隣に接触した状態でないと会話できないんだから」
ナタリー「ほんと、面倒なのよね。特に動き回る人と会話するのは疲れるわ」
コンラト「でも、その人のそばに階段が見えます」
勇者「どうやら、昇る階段を間違えたようだな。一旦降りて、別の階段を探そう」
ナレ「元来た道を引き返して、さらに探索する」
リリア 「階段がありました。上の階の位置関係からすると、ここがあの部屋に入れる階段です」
勇者「わかった。昇ろう」
ナレ「その階段を昇り、例の人物のところにやってきた」
翁 「おお、やっと来たようじゃな。そうか、勇者というのか。わしは、いく度となくおまえ
にカギをわたす夢を見ていた。だからおまえに、このとうぞくのかぎをわたそう。受けとって
くれるな?」
勇者「無論だ。ここまで来て、いらないとは言えないだろ」
ナレ「勇者は、とうぞくのかぎを受け取った」
翁 「ところで勇者よ。この世界には、そなたの性格を変えてしまうほど、えいきょう力のあ
る本が存在する。もし、そのような本を見つけたら、気をつけて読むことじゃな。では、ゆく
がよい勇者よ。わしは夢の続きを見るとしよう」
リリア 「ごゆっくりどうぞ」
勇者「本棚があるな……(調べる)お、『おてんばじてん』があったぞ」
ナタリー「なにそれ?おてんばになれる事典かしら」
リリア 「勇者さんは、十分おてんばだから、必要ないですね」
勇者「うるせいやい!」
ナタリー「コンラッドさん、使ってみたら?」
コンラト「け、結構です。今のままで十分です(;'∀')」
勇者「とうぞくのかぎを手に入れたことだし、一旦城に戻って回復とセーブして、改めて取り
損ねた宝箱を収集しよう。レベルアップも兼ねてな」
リリア 「そうですね」
ナレ「洞窟に入って宝箱集めする一行。鍵のかかった扉には、すばやさのたね、きのぼうし、
があった。そうこうするうちに勇者のレベルが上がり『ホイミ』の呪文を覚えた」
勇者「おお!この俺が呪文を覚えたぞ。前々作冗談ドラゴンクエストと前作Ⅱではありえな
かったのにな」
ナタリー「でも、元祖ドラクエIでは呪文使えたでしょ?」
勇者「……。忘れた……。どうやら宝箱回収は終わったな。城に戻ろう」
ナレ「レベルアップを兼ねて、洞窟を適当に進んでいくと……」
勇者「おや、牢獄のようなところに出たな」
コンラト「アリアハンの地下牢獄ですよ」
勇者「ちょっと囚人に聞いてみるか。意外と重要なことを話すこともあるからな」
囚人「くそ~あのナジミの塔の老人め!このバコタさまを牢なんかに閉じこめて、おまけにカ
ギを持っていってしまいやがった!……ん?あっ、それは、とうぞくのかぎ!」
勇者「お、知っているのか?」
バコタ「とうぞくのかぎがあれば赤いトビラを開けられたのに…ちくしょう!このバコタさまが
つくったんだから大切に使えよなっ」
勇者「なるほど、こいつがバコタで盗賊の鍵を作ったのか……。牢の鍵がないと開けられない
ようだな」
ナレ「牢獄をあとにして、上へと向かう」
勇者「ふむ、城内に戻ったようだな。兵士がいるぞ」
兵士「私は、勇者オルテガにあこがれて城の兵士に志願しました。それなのに……。勇者オル
テガは戦いのすえ帰らぬ人に……。しかし、あのオルテガさまがカンタンに死んでしまうとは
どうしても思えません。きっとどこかで、生きているような…そんな気がしてならないのです」
勇者「そういう話があると、たいがいそうなるのだよな」
ナレ「王様に会って、冒険の書に記録してもらい、自宅にて休憩。そして再び旅立つのであっ
た」
勇者「レーベの村に鍵の掛かった家があったよな」
ナレ「ということで、レーベの村にやってきた。鍵の掛かった家の扉を、盗賊の鍵で開けて入
る」
老人「ん?なんじゃ、お前さんは?わしの家にはカギをかけておいたはずじゃが、もしやカギ
をもっておるのか?」
勇者「おうともよ。こいつが目に入らぬか( `ー´)ノ」
老人「なんと!それはとうぞくのかぎ!するとお前さんが、あの勇者オルテガの……。そう
じゃったか……。であれば、これをお前さんにわたさねばなるまい」
ナレ「勇者は、まほうのたまをうけとった!」
老人「その玉をつかえば、旅の扉への封印がとけるはずじゃ。気をつけてゆくのじゃぞ」
勇者「はいよ……。次は宿屋だな」
ナレ「鍵の掛かった宿屋の部屋を開けて入る」
兵士「ここより東に旅をし、山をこえると小さな泉があるという。かつては、その地より多く
の勇者たちが旅立ったそうだ」
コンラト「東の方の泉に次なる冒険の糸口がありそうですね」
ナタリー「行ってみるしかないわね」
ナレ「レーベの村を離れて、一路東に向かって歩き出した瞬間、バブルスライムに遭遇した」
勇者「バブルスライムだと?」
コンラト「こいつは毒攻撃を仕掛けてきます」
リリア 「痛い!毒にやられました」
勇者「誰か、毒消しか毒治療の呪文持ってないか?」
リリア 「持ってません。呪文はわたしの担当ですけど、レベルが足りなくて」
ナレ「毒攻撃を受けながらもバブルスライムスライムを倒した。魔物は毒消しを落とした」
ナタリー「ラッキー!毒の治療ができるわ」
勇者「なるほど、毒攻撃を仕掛ける奴は、毒消しを持っているってことか」
コンラト「リリアさんが、毒消しの呪文を覚えるまでは、あまり遠出はしないほうが無難なのです
が……」
勇者「そうもいくまい。早いとこ攻略しないと、この物語も先に進めないだろが」
ナレ「それを言っちゃうのですか?」
勇者「通ればリーチだぜ。HP回復させながら、進むっきゃないだろ?」
コンラト「バブルスライムが必ず毒消しを落とせば良いですが、いったん村に戻って毒消しなどを
調達しましょう」
リリア 「わたしも、そうした方がいいと思います」
ナタリー「賛成!」
コンラト「三対一です。戻って毒消しを調達しましょう」
勇者「しようがねえ。一旦町に戻る」
ナレ「毒消しを調達し、再びカザーブから東へと向かうのだった」
リリア 「あそこに何か祠のようなのがありますよ」
勇者「行ってみよう」
ナレ「祠に入り、鍵の掛かった部屋を盗賊の鍵を使って中に入る」
老人「お若いの。まほうのたまを、お持ちかな?」
勇者「持ってるぞ」
老人「ならば、いざないの洞くつにおゆきなされ。泉のそばのはずじゃ」
リリア 「その泉って、レーベの村の兵士が言ってましたよね」
コンラト「間違いないでしょう」
勇者「お、壺があるじゃないか♪ちいさなメダルとキメラの翼、見っけ(*^^)v」
コンラト「私は本棚を閲覧させていただきます」
ナレ「ムチやブーメランについて書かれた本を見つけた」
コンラト「読んでみましょうか?」
勇者「まあ、読むだけならタダだよな。読め!」
ナレ「ムチ、ブーメランは、1度に多くの敵を攻げきできる武器だ。ムチは、そのグループ。
ブーメランは、敵すべてにダメージをあたえるだろう。たとえ今より、こうげき力がおちよう
とも、そのほうが得という場合もある。考えて使うべし」
コンラト「なるほど。スライムなどの弱いモンスターが多数現れた時には重宝するが、強敵が出て
きた時は使えないということですね」
勇者「ふむ……他にはないようだな。出よう」
ナレ「祠を出ると、山脈に囲まれた中にある泉に向かった」
ナタリー「ほんとに小さな泉ね」
リリア 「対岸に階段がありますよ」
コンラト「あれが、新たなる地へといざなう洞窟のようですね」
ナレ「降りた洞窟の中には老人が立っていた」
老人「ここは、いざないの洞くつじゃ。じゃが、階段は石カベで封じられておる」
リリア 「ここで、あの『まほうのたま』を使うのではないでしょうか?」
勇者「まあ、やってみることだな、みんな下がっていろ!」
ナレ「勇者は、まほうのたまをカベにしかけた」
勇者「ちゅどーん!おお、カベが崩れたぞ!」
ナタリー「これで通れるようになったわね」
リリア 「宝箱があります」
勇者「どれどれ」
ナレ「アリアハンより旅立つ者へ。この地図をあたえん!地図を見たくば【地図】ボタン。さ
らに【開いた地図をタップ】で、より見やすくなるであろう。なんじの旅立ちに栄光あれ!」
勇者「ふしぎなちず……を手に入れたぞ。うん?ここでは使えないようだな」
コンラト「外に出たら、早速使ってみてみましょう。どんな風に役に立つかを確認しないと」
勇者「ドラクエⅡでは最初から持っていたのにな……(独り言)」
ナタリー「階段を降りてみたけど、ただ広くて、至る所に崩れた個所があるわね。落ちないように
気をつけなくちゃ」
勇者「まあ、こういうところは一番遠回りするのがセオリーだよな」
ナレ「ってことで、陥没場所を避けながら、ぐるりと遠回りで進む」
リリア 「下への階段がありましたわ」
勇者「降りてみよう」
ナタリー「あちゃー!三つの道に別れているわよ」
勇者「手当たり次第に行くか」
コンラト「西側の通路が正解でしたね」
ナレ「盗賊の鍵で開けた先に、旅の扉が現れた」
リリア 「これが旅立の扉ということですね」
勇者「いざ、ゆかん!あらたなる旅立ちの地へ!」
ナタリー「かっこつけるんじゃないわよ」
ナレ「と、旅の扉に飛び込む一行だった。この先、彼らの身になにが起こるか……。次回を
待て!」

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銀河戦記/機動戦艦ミネルバ 第六章 新造戦艦サーフェイス IX
2020.03.22
機動戦艦ミネルバ/第六章 新造戦艦サーフェイス
リンゼー少佐のサーフェイスも、艦の修理を終えて造船所を出立したところであった。
「今度はどこに現れますかね」
「奴らが今一番欲しがっているものは何だと思う?」
「そうですね……やはり超伝導回路用のヘリウム4ですかね。宇宙空間と違って、この大気中
は消耗が激しいですから」
「それだな。となると一番近い供給プラントは?」
「マストドーヤです」
「よし!そこへ急行しろ」
「了解!」
一足早くマストドーヤに到着したミネルバと補給艦は、ヘリウム4の補給を早速始めた。
ほぼ半分ほどの補給を終えた頃、
「左舷七時の方向に大型戦艦接近中!」
「おいでなすったわね。何はなくとも補給艦の護衛です。砲弾一発、ミサイル一基たりとも当
てさせないで」
「了解しました」
「ここで決着をつけましょう。どちらかが撃沈されるまで戦い抜くのです」
サーフェイスにいつまでも追い回されていたら身が休まらなかった。
不幸にも先に撃沈されたら、後に残された部隊に命運をかける。
再び激しい戦闘が開始された。
厳しい表情のフランソワ。
これ以上の損害を被るのは避けたかった。
「Z格納庫を開けて、アレを出してください」
それを聞いて驚く副長。
「Z格納庫!最後の切り札を使うのですか?」
「最後の踏ん張りどころでしょう。今が使いどころだと思います」
「分かりました」
副長がミサイル発射管室に伝える。
「発射管室、Z格納庫を開いて、次元誘導ミサイルを取り出せ!」
次元誘導ミサイル。
それは、フリード・ケースンが開発した極超単距離ワープミサイルだった。
どうしようもないほどの苦境に陥った時のためにと、搭載された最後の切り札だった。
もちろんミネルバ級の中でも1番艦であるミネルバにしか搭載されていない。
「次元誘導ミサイルを1番発射管に装填しろ!」
「重力探知機による目標着弾点を入力。機関部にセットオン!」
「セットしました!」
「発射体制完了」
「次元誘導ミサイル、発射!」
「発射します!」
ミネルバ発射管から射出される次元誘導ミサイル。
サーフェイス側では驚きの声が上がった。
目の前に迫っていた大型のミサイルが、迎撃態勢に入ろうとする寸前に突然消えたのだから。
「ミサイルが消えました!」
「加速度計は!?」
「重力加速度計からも消えました!!」
すべての計測器からミサイルの痕跡が消滅した。
「どこへ消えたのだ?」
次の瞬間だった。
激しい震動が艦橋を襲う。
「な、なんだ?報告しろ!」
「た、ただいま……」
機関部から報告がなされる。
「超伝導磁気浮上システムに被弾!損害甚大です。浮上航行不能です!」
「なんだと!」
地磁気に対しての浮力を失って、徐々に高度を下げてゆくサーフェイス。
「海に着水します!」
「総員何かに掴まれ!」
激しい水飛沫を上げて、海上に着水する。
「サーフェース、海上に着水。機関部炎上のもよう」
報告を受けて安堵する艦橋要員。
「見事、心臓部をぶち抜いたようです」
「間合いを取って、こちらも海上に降りましょう」
静かに海に着水するミネルバ。
双眼鏡を覗いて敵艦の動静を観察している。
「完全に沈黙したもようです」
「サーフェイスに、十分後に撃沈するからと、敵艦に総員退艦を進言してください」
強大な戦力を相手に持たせておくわけにはいかなかった。今撃沈しておかなければ、回収・
修理して再戦してくる可能性を排除するためには、海の藻屑とする以外にはない。
敵艦甲板上では、救命ボートが引っ張り出されて、サーフェイスの乗員が乗り込んでいる。
中には直接海に飛び込む者もいた。
「十分経過しました」
「艦首魚雷室に魚雷戦発令!」
「魚雷戦用意!」
「一発で十分でしょう」
救命ボートが、サーフェイスから十分離れたところを見計らって、
「魚雷発射!」
下令する。
「魚雷、発射します」
ミネルバからサーフェイスへと続く海面上に、一条の軌跡が走る。
魚雷が命中して、火柱が上がる。
やがて大音響を上げて沈んでゆく。
沈むサーフェースを遠巻きに見つめながら、
「やられましたね」
救命ボート上の副官のミラーゼ・カンゼンスキー中尉が嘆いていた。
「ああ、ミネルバには幸運の女神がついているようだ」

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銀河戦記/鳴動編 第二部 第六章 皇室議会 Ⅲ
2020.03.21
第六章 皇室議会
謁見の間は、相変わらず紛糾していた。
アレックスの意見具申に対しことごとく反対意見を述べる大臣達。
いつまでも結論が出ず、結局最後は摂政裁定で議決されるという有様だった。
ここにはいないロベスピエール公爵の意向がすべてを左右していた。
傀儡政権の大臣達には公爵に逆らえるわけがなかったのである。
「統合軍第四艦隊及び第五艦隊に対し出撃を命令し、先行する第二艦隊と第三艦隊の後方
支援の任務を与えます」
アレックスが意見具申を申し出てから、今日の裁定に至るまで七日という日が無駄に費
やされていた。
皇女が直接指揮権を有する皇女艦隊と違って、一般の統合軍艦隊は国防大臣(艦隊運
用)及び国務大臣(予算配分)の配下にあった。どちらも摂政派に属しているために、い
ろんな理屈を並べて首を縦には振らなかったのである。
議論は平行線をたどった挙句、直接戦闘には参加しない後方支援ということで、やっと
のこと日の目をみたという次第だった。
「皇女様に対し敵艦隊との矢面に立たせて、第四・第五艦隊は安全な後方支援とはいかな
る所存か?」
第四艦隊・第五艦隊司令官からも、なぜ自分達は後方支援なのだという意見具申が出さ
れていた。
しかし大臣達は、戦闘経験のない艦隊を最前線に出すわけにはいかないという一点張り
で対抗した。
謁見の間から、統制官執務室に戻ったアレックスだが、思わず次官に対して愚痴をこぼ
してしまう。
「まったく……頭の固い連中を相手にするのは疲れるよ」
「お察し致します。総督軍が迫っていると言うのに、相も変わらず保身に終始しています
からね。総督軍との戦いに敗れれば、皇族も貴族もないのに」
「で、艦隊編成の進み具合は?」
「大臣達のお陰で何かと遅れ気味でしたが、燃料と弾薬の補給をほぼ完了して、やっとこ
さ一週間遅れで出撃できる次第となりました」
「一週間遅れか……。何とか間に合ったと言うところだな」
「後方支援ですからね。ぎりぎりセーフでしょう」
「ともかく後方かく乱されることなく、先行することができるようになったわけだ。一日
でも早く先行する艦隊との差を縮めるようにしたまえ」
「かしこまりました」
背を向けて窓の外の景色を眺めるようにして、腕組をし考え込むアレックス。
しばしの沈黙があった。
やがて振り返って命令する。
「第二艦隊及び第三艦隊に出撃命令を出せ。四十八時間以内に共和国同盟に向けて出撃す
る」
「了解。第二艦隊及び第三艦隊に出撃命令。四十八時間以内に共和国同盟へ進撃させま
す」
「よろしい」
ついに迎撃開始の命令を出したアレックス。
次官はデスクの上の端末を操作して、統合軍総司令部に命令を伝達した。
艦隊数にして百五十万隻対二百五十万隻という敗勢必至の状況ではあるが、手をこまね
いているわけにはいかなかった。
数で負けるならば、それを跳ね除けるような作戦が必要なのであるが……。

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- CafeLog -
2020.03.26 15:36
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