冗談ドラゴンクエスト II 冒険の書・17

メニューへ ナレ「ラダトーム城で旅の打ち合わせをする一行」 王子「どうしますか?」 勇者「陸伝いでは、もう行くところがねえようだ。旅の扉も金の鍵がないとダメだし。舟 で行けるところまで行くしかない」 王女「ちょっと、いいですか?」 勇者「なに?」 王女「迷った時には原点に戻れ、って良く言いますよね?」 勇者「原点?ルーラシア城か?」 王子「そういえば、以前勇者に会いに行った時に、旅の扉を見かけましたけど……入って みましたか?」 勇者「いや、入ってないぞ。旅の扉というものすら知らなかったからな」 王子「行ってみませんか?」 勇者「そうだな。行こう」 ナレ「というわけで、ルーラでルーラシア城に戻る」 勇者「あった、あった。こんな所にあったとは、灯台下暗しだな」 王子「ともかく入ってみましょう」 ナレ「ルーラシア城からの旅の扉の行き着く先は?」 勇者「なんだ、何もないぞ。ただの孤島じゃないか」 王女「東の方に島が。町も見えますよ」 王子「世界地図で場所を確認しましょう」 ナレ「ステータスから世界地図を確認する」 王女「ルーラシア城からはるか南に行った場所ですね」 勇者「つまり舟で、ルーラシア城から南へ出発しろということか」 王子「そのようです」 勇者「考えても仕方がないな。行動あるのみだ。城に戻るぞ」 ナレ「ルーラシア城に戻り、舟に乗って大航海に乗り出したのだった 勇者「なーみをちゃっぷちゃっぷかきわけて♪」 王女「ごきげんですね。何の歌ですか?」 勇者「ひょっこりひょうたん島」 王子「ちょっと歌詞が違うようですが」 勇者「いいんだよ、JASRACがうるさいから。お!島が見えたぞ。町もある」 王子「原点に戻れと進言した王女の功績です」 王女「仲間ですから」 勇者「この島の存在はどこにもヒントがない!ルーラシア城の旅の扉から飛んだ孤島で、 世界地図を使って初めて発見できる。まさしくゲームクリエイターの作為そのものだな。 運命の神は自分の手で掴めということ」 王子「早く町に入りましょう」 勇者「そうだな。台風に合わないうちに上陸するぞ。長旅の末に沈没じゃたまらん」 王女「たいふう、ってなんですか?魔物の一種ですか?」 勇者「まあ、有体に言えばそうかもな。絶対に倒すことが出来ず、猛烈な攻撃を耐え忍ん で、通り過ぎるのを待つだけの怪物だ」 王子「倒せない魔物がいるなんて……」 勇者「だから、さっさと舟を降りよう」 王女「そうしましょう」 ナレ「押っ取り刀で上陸し、町に入る一行」 女 「漁師町ザハンにようこそ。今、男たちは漁に出ていて、留守でございますわ」 勇者「ここは、ザハンというのか。にしても男がいない?もしかして酒池肉林か?」 老人「ええのう、ここは女ばかりの町じゃ。ええのう、実にええのう」 勇者「おおともよ。あんたも、そう思うか?うししっ」 ナレ「以心伝心。二人は顔を合わせて笑う」 王女「男どもはどうしようもないわね」 ナレ「あきれ返る王女だった」 王子「このザハンの町は、どの町を巡っても一つのヒントも得られなかった島にある町。 絶対に重要な情報やアイテムが隠されていると思います」 王女「あたしもそう思います。慎重に情報集めをしましょう」 ナレ「町人から知らされる情報を、一つ残らず漏らさないようにとメモに取る王子」 商人「実は、この町の男たちの船が魔物に襲われて海のもくずに……私はそのことを知ら せに来たのですが……おお、神よ!私にはとても言えない!」 王子「その魔物って、たいふうって奴でしょうか?」 勇者「ん?ああ、そうかもな……」 宿女「春になればルークが、私の恋人ルークが漁から帰ってくるんです。ああ、ルーク… …」 勇者「そんな男は忘れて、この俺としようぜ」 女子「あのね!海のどこかにサンゴに囲まれた洞窟があるんだって。その洞窟に入るには 月のかけらがいるって、おばあちゃんが言ってたわ!」 王子「これは重要な情報ですね。サンゴに囲まれた洞窟、月のかけら……マーク入りでメ モしておきますね」 男子「ぼく、大きくなったらお父さんみたいな立派な漁師になるんだい!」 勇者「おう、頑張れよ」 主婦「私はタシスンの妻。夫はとても動物好きで、特に犬が大好きでした。でも、3年前 の冬の漁で夫は帰らぬ人と……今あんなことが再び起きぬように、皆が無事に戻ってくる よう、お祈りしていたところですわ」 勇者「犬か……。王女も犬にされたんだよな。何かありそうだ。お、あそこに犬がいるぞ。 おい、犬!」 犬 「わん、わん」 ナレ「犬が後退すると……」 王子「あ!犬がいたところに、何か落ちていますよ!」 ナレ「拾い上げる勇者」 勇者「カギだ。それも金の鍵だ!!」 王子「やりましたね。これで金の扉が開けられますね」 勇者「よし、町人の話を聞くだけ聞いたら、各地にある金の扉を開けに行こう」 王子「そうね。強力な武器とかあったら、後々の冒険が楽になりますから」 王女「あたしは、強力な杖か防具が欲しいな」 勇者「情報集めを続けるぞ。お?ここは教会か?」 修女「お引き返しあそばせ。神殿を荒らす者には災いが降りかかりましょう」 勇者「そう言われると余計に踏み荒らしたくなるな。後ろに見える通路に何か良いものを 隠しているんだろう」 ナレ「神殿に踏み込もうとする勇者」 王子「ダメです!床が強力なバリアーになっています。一歩踏むだけで、相当なダメージ を受けます。数歩で全員死亡します」 勇者「ほんとか?」 王子「トラマナという移動呪文がないと……」 勇者「トラマナ?おまえできるのか?」 王子「たぶん出来ますが、まだレベルが足りません」 勇者「しかしなあ……。こういう常人では通れない罠の先には、一級品のアイテムが眠っ ているものだぞ」 王女「レベルが上がるまで、ここは保留にしておきましょう」 勇者「いや待て!!一歩進むごとに、HPを回復させながら行けば良い」 王子「ずいぶんな荒行ですね」 勇者「通ればリーチだ!」 王子「あの……それ、間違ってますよ。マナー違反とか言われちゃいます」 勇者「おかしいのか?」 王子「はい。ただ、リーチとだけ宣言すれば良いのです」 勇者「詳しいな。やったことあるのか?」 王子「少しだけ」 王女「話がそれてますよ」 勇者「そうだった。とにかく、荒行でバリアーを突破する!」 ナレ「というわけで、荒行を決行した先で見たものは……」 勇者「……鉄格子があるな」 王子「ありますね……」 王女「牢屋のようですわ」 勇者「なんでやねん!バリアーに守られて、しかも鉄格子まで……一体どんなアイテムが 入っているというんじゃあ!!」 王子「ろうやのカギを手に入れるしかないですね」 勇者「おまえ、ルーラで鉄格子の先に飛べ!今飛べ、すぐ飛べ!」 王子「無理ですよお」 勇者「なぜだあ!町から町へと長距離を一瞬で 飛べるのに、なぜ目と鼻の先には飛べないんじ ゃあ!!テレポートしろ!」 ナレ「声を荒げ、文字フォントも色もサイズも変えて叫ぶ勇者だった」 王女「そういうシステムになってますから」 王子「システムです」 ナレ「はい。お二方のおっしゃる通りです」 勇者「ぐぬぬぬっ……」 王子「仕方がないですよ」 王女「荒行も無駄でしたわね」 王子「戻りましょう。ルーラシア城の金の扉を開けに、ルーラ!」
     

11