続・冗談ドラゴンクエスト 冒険の書・9

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聖なる祠 勇者「次の依頼はあるか?」 ギルト「これなどいかがでしょうか。聖なる祠にいる神官からの依頼ですが、ある物をとあ る人物へ届ける仕事です。700Gになります」 勇者「また届け物かよ。依頼料安いんだよな。パス!」 ナタリー「それ、引き受けますわ」 勇者「あ、こら!」 ギルト「では、引き受け書に署名をお願いします」 ナタリー「はいはい。ほら、あんたもサインしなさい」 ナレ「いつものように耳を引っ張って書類に顔付けして、強引に署名させる」 ギルト「はい、承りました。聖なる祠は、リマルダールの南にある島の中にあります」 勇者「なんだよ。またリマルダールに行くのか?」 ギルト「大丈夫ですよ。明朝5時にマイレ東の港から、聖なる祠に行く巡礼の船が出ますか ら乗せてもらうと良いでしょう」 コンラト「分かりました。乗せてもらうことにします」 ナタリー「ということで、今夜はここに泊まりましょう」 リリア 「露天風呂にも入ってみたいですね」 ナレ「翌朝、マイレ東の港から出発する巡礼船に乗り込む一行」 勇者「センサーにギルド証かざしてピッ!とな……あれ?センサーがないよ。どこ?」 ナタリー「必要ないわよ。これは巡礼船で、巡礼者と職務中のギルド員は無料だから」 リリア 「そうよ。商用船じゃないからセンサーも付いてませんわ」 勇者「そうなんだ……」 船頭「出港しますよ。揺れますから何かにお掴まりください」 ナレ「静かに港を離れる巡礼船。只今海原を航行中」 リリア 「わたし、森の中生まれの育ちなんで、船に乗るの初めてなんです」 勇者「俺も乗ったことがねえな」 ナタリー「そうでしょうね。あんた遊び人やってて、一度も外に出たことないって言ってたも んね」 勇者「おお!羽が生えた魚が飛んでいるぞ!」 ナタリー「それはトビウオっていうのよ。飛んでいるんじゃなくて跳ねてるのよ」 勇者「あれは!?海の中に噴水があるぞ!」 コンラト「クジラですよ。呼吸のために水面付近に上がった時に、肺に溜まっていた古い空気 を吐き出すときに、一緒に周りの水をまき上げるのです。潮吹きとも呼ばれます」 勇者「なんか、でっかい奴が近づいてくるぞ。触れるかな?」 コンラト「いけません!手を引っ込めて!!」 勇者「な、なんだよ!?」 ナタリー「今のは、凶暴な人食い鮫よ」 勇者「人食いざめ"(-""-)"」 コンラト「質の悪い奴は、船に体当たりして海に落ちた人々を襲うこともあります」 勇者「ひええっ!ほんまかいな」 ナタリー「第一、そんなにはしゃいで、巡礼のみなさんに迷惑よ」 リリア 「その気持ち、わたしには分かりますけど……」 ナレ「そうこうするうちに、聖なる祠のある島に到着した」 船頭「船は1時間碇泊(ていはく)します。遅れないように戻ってきてください」 ナレ「ぞろぞろと下船する巡礼者たち。勇者達も一番最後に降りる」 勇者「さてと依頼主とやらに会うか」 ナレ「聖なる祠に入る」 神官「待っておったぞ」 勇者「おお、来てやったぞ」 ナタリー「こらこら、その言い草はないでしょ」 神官「お主たちに運んでもらいたいものは、この二つじゃ。【太陽の石】をナダトーム城 地下に隠居している長老に、そして【雨雲の杖】をマイレ西北に立っているラビスの塔に いる賢者に渡して欲しいのだ」 勇者「2カ所も回るのかよ」 神官「それでは、くれぐれも失くしたり奪われたりしないようにな」 ナレ「再び巡礼船に乗ってマイレに戻った」 ナタリー「まずは、手近な所で西北にあるというラビスの塔にいる賢者に会うことね」 ナレ「神官の指示したマイレ西北に到達した」 勇者「これがラビスの塔か?」 ナレ「一行の目の前に広がっていたのは、無残にも崩れ去った塔の残骸ともいうべき有様 だった」 リリア 「なんか立札が立っています」 立札「この地にはラビスの塔が立っていました。しかし、勇者が大魔王ズーマを倒した後 に魔の残党が腹立ちまぎれに破壊していきました。管理人」 ナタリー「ですってよ。一応、管理人とやらに会う必要があるわね」 コンラト「あそこに祠がありますよ。管理人がいるかも知れません」 勇者「行ってみよう」 賢者「良くいらした。お待ちしておりましたよ」 ナタリー「待っていた?」 賢者「ラビスの精霊のお告げで、若者が雨雲の杖を携えてやってくるとありました」 勇者「荷物運びの依頼は、全部お告げによるものなのか?」 ナタリー「別にいいじゃない。お金さえ貰えればね」 リリア 「はい。これが雨雲の杖です、お渡しします」 賢者「ご苦労様でした」 ナタリー「では、この書類にご署名をお願いします」 コンラト「こんな寂れた村はずれの祠で何をなさっておられるのですか?」 賢者「私の家系は代々、精霊ラビス様をお守りしてきました。ラビス様が大魔王に捕らわ れて石像にされてしまった時も、塔の城壁外に身を隠して勇者様の到来するのを、息を潜 めて待っていたといいます」 勇者「知っているぞ!ラビスの塔で」 老人「ようせいのふえをもっているならば、この塔の5階にいきなされ」 勇者「とか、言っていた奴だろ!」 *参照 冗談ドラクエV ラビスの塔 賢者「ええ、まあ。たぶんそうだと思います。この塔は島の中に立っていたのですが、 塔が崩れた影響でしょうか、陸続きになってしまいました」 コンラト「塔が崩れた今、ラビス様はどうなされたのですか?」 賢者「役目を終えたとのことで、天上界にお戻りになられました。ただ、次なる災いを予 言し、お告げとして地上の人々に指示を出しておられるようです」 勇者「そのお告げとやらに、俺は翻弄されているわけか」 ナタリー「有体に言えばそうなるのかしらね」 勇者「俺らは、ラビスとやらの操り人形かよ」 ナタリー「さあ、次の依頼を遂行するわよ」
     
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