とにもかくにも……。
クローン病である。
病名が確定すれば治療がはじまるのだが、クローン病には明確な
いわゆる対症療法しかない。
腸が炎症を起こして腸閉塞となっているわけだから、まずは腸に
そのための絶飲食であり、中心静脈点滴によって、高カロリー輸
約800キロカロリーの輸液を1日2パック使用する。都合16
抗生物質や抗がん剤なども投与される。
実に退屈な日々が続いていた。
腸閉塞だからといって、手術でお腹を切り開いて閉塞部分を治す
ただひたすらに点滴で栄養補給を続け、薬で腸の炎症を抑えて閉
時折、レントゲンやCTで状態変化の具合を調べるくらい。
ただただ、ベッドの上に横になって時間の過ぎ行くのを待ちぼう
何もすることがないので、携帯電話で小説をダウンロードして読
西村京太郎「十津川警部の旅行ミステリー殺人」
内田康夫「旅情ミステリー殺人シリーズ」
一冊あたり5〜8百円くらいであるが、時間潰しには丁度良い。
病室では携帯電話の使用禁止が原則である。
しかし、声を出して電話したり、相手の声が漏れるわけじゃなし
見逃してくれるやさしい看護師もいれば、今度見つけたら没収し
昼間だと頻繁に看護師がやってくるので、こっそりと読むには夜
昼間に起きて、夜に起きているという、昼夜の逆転が起こり始め
毎朝4〜5時頃に、血糖値の検査がある。たいがいその時間帯は
高カロリーの輸液を点滴しているので、血糖値を常に把握してお
指先を針で刺して血を採集する。毎回痛い思いをするが一瞬のこ
さらに1週間に一度、血液採集もある。