難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

悪性関節リウマチ/診断・治療指針(公費負担)

特定疾患情報認定基準

■概念・定義
既存の関節リウマチ(RA)に、血管炎をはじめとする関節外症状を認め、難治性もしくは重篤な臨床病態を伴う場合、悪性関節リウマチ(MRA)という。内臓障害がなく、関節リウマチの関節病変が進行して関節の機能が高度に低下して身体障害がもたらされる場合には悪性関節リウマチとはいわない。悪性関節リウマチの一年間の受療者数は4,000人と推定されている。悪性関節リウマチと診断される年齢のピークは60歳代で、男女比は1:2である。悪性関節リウマチの血管炎は結節性多発動脈炎と同様な全身性動脈炎型(内臓を系統的に侵し、生命予後不良) と内膜の線維性増殖を呈する末梢動脈炎型(四肢末梢及び皮膚を侵し、生命予後は良好)の2つの型にわけられる。血管炎以外の臓器症状としては間質性肺炎を生じると生命予後不良である。

■病因
母疾患の関節リウマチと同様に病因は不明である。悪性関節リウマチ患者の関節リウマチの家族内発症は12%にみられ、体質・遺伝性が示唆されるが、遺伝性疾患といえるほどの強い遺伝性はない。HLA抗原との関係では、関節リウマチはDR4との相関が指摘されているが、悪性関節リウマチではその相関がより強い。
悪性関節リウマチでは、関節リウマチで認められる免疫異常が強く現れる。抗リンパ球抗体は関節リウマチの3倍以上の陽性率を示し、サプレッサーT細胞機能低下に関係している。リウマトイド因子は主にIgMクラスに属するが、悪性関節リウマチではIgGクラスのリウマトイド因子が高率に認められ、その免疫複合体は補体消費量が高く、血管炎の起因に関与しているとみなされる。

■症状
全身血管炎型では既存の関節リウマチによる多発関節痛(炎)のあるところに、発熱(38゜C以上)、体重減少を伴って皮下結節、紫斑、筋痛、筋力低下、間質性肺炎、胸膜炎、多発単神経炎、消化管出血、上強膜炎などの全身の血管炎に基づく症状がかなり急速に出現する。

末梢動脈炎型では皮膚の潰瘍、梗塞、又は四肢先端の壊死や壊疸を主症状とする。

全身血管炎型ではリウマトイド因子高値、血清補体価低値、免疫複合体高値を示す。

■治療
基本方針は
(1)それまでの抗リウマチ薬による関節リウマチそれ自体の治療を継続することを原則とする
(2)関節機能不全の進行に留意して治療をする
(3)寛解するまで入院治療を原則とする
(4)その上で悪性関節リウマチにたいする治療を行う。
悪性関節リウマチの薬物治療にはステロイド薬、免疫抑制剤、D−ペニシラミン、抗凝固剤などがあり、そのほか血漿交換療法も行われる。 治療法の選択は臨床病態により異なる。

■予後
悪性関節リウマチの転帰は、軽快21%、不変26%、悪化31%、死亡14%、不明・その他8%との最近の疫学調査成績がある。死因は呼吸不全が最も多く、次いで感染症の合併、心不全、腎不全などがあげられる。


難治性血管炎に関する調査研究班から
悪性関節リウマチ 研究成果(pdf 27KB)
この疾患に関する調査研究の進捗状況につき、主任研究者よりご回答いただいたものを掲載いたします。

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