難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

難治性の肝炎のうち劇症肝炎/認定基準(公費負担)

特定疾患情報診断・治療指針

18.難治性の肝炎のうち劇症肝炎

1 主要項目

 (1) 劇症肝炎とは,肝炎のうち初発症状出現後8週間以内に高度の肝機能異常に基づいて昏睡U度以上の肝性脳症をきたし,プロトロンビン時間が40%以下を示すものとする。
 (2) 肝性脳症の昏睡度分類は犬山分類(1972 年)に基づく。(表1)
2 参考所見
 (1) 症状出現後10 日以内に脳症が発現する急性型と,11 日以降に発現する亜急性型がある。
 (2) 成因分類は「難治性の肝疾患に関する研究班」の指針(2002 年)に基づく。(表2)

表1:肝性脳症の昏睡度分類
昏睡度 精神症状 参考事項
T 睡眠・覚醒リズムの逆転
多幸気分,ときに抑うつ状態
だらしなく,気にとめない態度
retrospective にしか判定できない場合も多い
U 指南力(とき・場所)をとり違える(confusion)
異常行動(例:お金をまく,化粧品をゴミ箱に捨てるなど)
ときに傾眠状態(普通の呼びかけで開眼し,会話ができる)
牟礼な言動があったりするが,医師の指示には従う態度をみせる
興奮状態がない
尿,便失禁がない
羽ばたき振戦あり
V しばしば興奮状態,せん盲状態を伴い,反抗的態度をみせる
嗜眠状態(ほとんど眠っている)
外的刺激で開眼しうるが,医師の指示には従わない,又は従えない
(簡単な命令には応じる)
羽ばたき振戦あり
指南力障害は高度
W 昏睡(完全な意識の消失)
痛み刺激に反応する
刺激に対して,払いのける
動作,顔をしかめる
X 深昏睡
痛み刺激に反応しない


表2:劇症肝炎の成因分類
 T.ウイルス型
  1) A 型 IgM-HA 抗体陽性
  2) B 型 HBs 抗原,IgM-HBc 抗体,HBV-DNA の何れかが陽性
   ・急性感染:肝炎発症前にHBs 抗原陰性が判明している症例
   ・急性感染(疑):肝炎発症前後のウイルス指標は不明であるが,IgM-HBc 抗体が陽性かつHBc 抗体が低力価
           (血清200 倍希釈での測定が可能な場合は80%未満)の症例
   ・キャリア:肝炎発症前からHBs 抗原陽性が判明している症例
   ・キャリア(疑):肝炎発症前後のウイルス指標は不明であるが,IgM-HBc 抗体陰性ないしHBc 抗体が高力価
           (血清200 倍希釈での測定が可能な場合は95%以上)の何れかを満たす症例
   ・判定不能:B 型で上記の何れをも満たさない症例
  3) C 型:肝炎発症前はHCV 抗体陰性で,経過中にHCV 抗体ないしはHCV-RNA が陽性化した症例あるいは肝炎発症前の
       HCV 抗体は測定されていないが,HCV コア抗体が低力価で,HCV-RNA が陽性の症例
  4) E 型 HEV-RNA 陽性
  5)その他(TTV,EBV など)
 U.自己免疫性
  1) 確診 AIH 基準を満たす症例またはステロイドで改善し,減量,中止後に再燃した症例
  2) 疑診 抗核抗体陽性またはIgG 2,000mg/d ・でウイルス性,薬剤性の否定された症例
 V.薬物性 臨床経過またはD-LST より薬物が特定された症例
 W.成因不明 十分な検査が実施されているが,T〜Vの何れにも属さない症例
 X.分類不能 十分な検査が実施されていない症例


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