難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

黄色靭帯骨化症/特定疾患情報

診断・治療指針

1. 黄色靭帯骨化症とは
黄色靱帯骨化症とは脊柱管の後方にある椎弓の間を結ぶ靱帯、すなわち黄色靱帯が骨化し、脊柱管が狭くなり、神経の圧迫症状が出現してくる病気です。

 

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
後縦靭帯骨化症と比べると疫学調査が少ない状態ですが、骨標本からの研究で20歳以上の胸椎下部に殆どに認められています。レ線写真からの調査では約4.5%の発生率を見ています。

3. この病気はどのような人に多いのですか
男女比では性差はほとんど認めません。年齢的には20歳以降に認めていますが40歳以上が一般的です。また頚椎後縦靭帯骨化症の患者さんの13%に胸椎黄色靱帯骨化症があるとの報告があり、この病気は脊柱靱帯骨化の一部分の病気と理解した方が良いと思われます。

4. この病気の原因はわかっているのですか
病気の原因は不明です。後縦靭帯骨化症と合併しやすい事実がありますが、病因ははっきりしていません。胸椎の下位に起こりやすいことは胸椎と腰椎の連結するところに負担がかかりすぎることから起こりやすいとされています。

5. この病気は遺伝するのですか
遺伝形式ははっきりしていません。しかし後縦靭帯骨化症の合併では家族内発症が認められています。

6. この病気ではどのような症状がおきますか
胸椎黄色靱帯骨化症が多いのでこの病気につき症状をのべます。初発症状として下肢の脱力やこわばり、しびれまた腰背部痛や下肢痛が出現してきます。痛みがない場合もあります。数百メートル歩くと少し休むといった間歇性跛行を来すこともあります。重症になると歩行困難となり、日常生活に障害を来す状態になります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか
神経が圧迫されて症状が出現した場合に治療の対象になります。安静臥床や消炎鎮痛剤の内服を行います。痛みが強い場合は硬膜外ブロックを行うこともあります。種々の治療法を組み合わせて経過を見ますが、神経症状の強い場合は手術を行います。この場合、骨化巣を切除して神経の圧迫を取ります。頚椎後縦靭帯骨化症が合併している場合は症状を来している部位を検査してどちらが病気の主体をなしているか決定します。どちらかはっきりしない場合、頚椎を先に手術することもあります。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか
全く症状を来さない方もいます。また徐々に下肢症状が悪化する方もいます。症状がなくても脊柱靱帯骨化症の一部分の病気と考えられますので頚椎、胸椎、腰椎のレ線写真の検査をおすすめします。骨化症が存在することが判明すれば、定期的なレ線写真検査を行った方が良いかと思います。後縦靭帯骨化症同様、些細な外力、転倒等に注意しなければなりません。


情報提供者
研究班名 骨・関節系疾患調査研究班(脊柱靭帯骨化症)
情報見直し日 平成20年4月25日

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