あっと! ヴィーナス!!第二部
第三章 part-7  アポロンの居城。  すでに玉座についているアポロン。  その両脇には、弘美と愛が眠らされて椅子に座っている。 「さて、一応話を聞いてやろうか」  神子に酒を注がせながら余裕綽々ヨユウシャクシャクの態度で応対する。 「おまえが拉致するのを命じられたのは、弘美だけだろう。なぜ愛も連れ去る?」 「ああ、黒服が間違えたのは謝るよ。その黒服は、ほれ、そこの石像になっている」  アポロンが指差した先には、確かに黒服そっくりの顔つきをした石像が置かれていた。 「間違いを犯したと言うだけで、石像にするのか?」  ヴィーナスが追求する。 「心配するな。ほんの一時のことだ」 「神暦時間でだろ。人間の時間にして何百年だ?」 「人間の時間に直してどうなる。ここは天上界だ」 「長年、人間の運命管理していたから、人間時間が身についてしまったわ」 「なるほど……。ともかく一旦わたしの元に来た者は、何があろうともわたしのものだ」 「だがな、弘美はともかく愛は無関係だろ。ヘラ様はともかく、ゼウス様に知れれば懲戒 ものだぞ。解放してやれよ」  ディアナが忠告する。 「ゼウス様か……」  ふふんと鼻を鳴らすような態度で、 「そもそもファイルーZなどという可愛い女の子リストを作成するゼウス様に、わたしの ことを責めるには及ぶまい」  と、相手にもしない雰囲気だ。 「ふぁああ!よく寝た……」  大きな欠伸と共に弘美が目覚めた。 「あれ?ここはどこだ?」  キョロキョロと辺りを見回す。 「弘美!」 「ヴィーナスじゃないか!ディアナもいるな」  まだ、現状を把握していない様子だった。 「ところで、隣のこいつは誰だ?」  アポロンを指差して訊ねる。  が返答する前に、 「あれ?そのまた隣にいるのは、愛ちゃんじゃないか!」  椅子を立ち上がり、アポロンの前を横切って、愛のところに駆け寄る。 「愛ちゃん!大丈夫?」  声を掛けるが返事は無い。  まだ眠っているのか? 「これは、どういうことだよ?」  ヴィーナスに向かって問いただす。 「それは、そこにいる人物に聞くんだな」  とアポロンを指差すヴィーナス。  向き直り、 「おい、おまえは誰だ!?」  と訊ねる。
     
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