あっと! ヴィーナス!!第二部(25)

第二章 part-3  その頃、神殿に密かに侵入したディアナ達。 「本当にここに連れ込まれたのか?」  疑心暗鬼の弘美。 「それは間違いありましぇん!」  弘美の周りを飛び交いながら、先に潜入していたエンジェルが断言する。 「あっ、そう……」  神殿の冷たい床の上を、あまり音を立てないように慎重に歩を進める一同。 「なあ、とうにアポロに気づかれてるんじゃないの?」 「かもな」 「なら、こんな忍び足は無駄じゃないの?」 「衛兵もいるからな。少しでも争いは避けたい」  突き進んでいくと、目の前が大きく広がった。  玉座の間に到着したようだ。  アポロは、どっしりと構えて玉座に鎮座していた。 「やあ、待っていたよ。ディアナ」  指名されたディアナが、 「やはり、気が付いてたのね」  一歩前に進んだ。 「その娘が本命だね」  ディアナの後ろに隠れるようにしていた弘美を見て、指摘するアポロ。 「ほう、さすがゼウスの目に適う顔つきをしているね」  穴が開くほど弘美を見つめて品定めしている。 「ゼウス?」 「あれ、知らないの?君は、ゼウスのお気に入り娘リスト【ファイルーZ】の一人なんだ から。ZはゼウスのZというのは判るよね」  ファイルーZという言葉を聞いて、首を傾げる弘美。 「それは、何でしょうか?」  その言葉は、ヴィーナスもディアナも説明していなかった。  というよりも、秘密にしていたのだから。  読者の皆さんも、気づいていた方、気づいていなかった方いるでしょうが……。 「まあ、まあ。その話は後でゆっくりと話しましょう。今は、目の前の愛ちゃんを助ける ことが先決です」  ヴィーナスが話題をそらす。 「そうだねえ。その娘が、わたしの元にくるなら、この娘は解放しましょう」  交換条件を示すアポロ。  当然承諾できるような内容ではない。 「お断りします!」  きっぱりと答える。  うろたえる女神。 「そんな、いきなり断るのは……」 「そうそう、できるだけ交渉を伸ばして、時間を稼がなくちゃ」  弘美に耳打ちする。 「時間稼ぎって、何……? そういえば、エンジェルの姿が見えないようだが」 「しーっ!」  人差し指を唇に当てて、口止めする。
     
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