あっと! ヴィーナス!!第二部
第一章 part-5 「とにもかくにも、お困りのようだな」 「ああ、愛ちゃんが誘拐された」 「取り戻したいか?」 「もちろんだ。出来るのか?」 「出来ないこともない」 「どういうことだ?」 「愛を誘拐したのが、アポロンの使徒だからな」 「アポロンって、すけべったらしで、とっかえひっかえ女を漁るという奴か?」 「言いたい放題だな。まあ、そのアポロンだ」 「で、そのアポロンが愛ちゃんを拐ったのはなぜ?」 「ふむ、ちょっとした人違いだったのだがな」 「人違い?」 「これを見よ」  と差し出したのは、一枚の写真だった。  そこには学校の校門を出てくる二人の少女。  愛と少し遅れて自分の姿が映っていた。 「愛ちゃんだ!隠し撮りか?」 「そのようだな。これと同じものがアポロンの手にある」 「つまりこの写真に映っている愛ちゃんを誘拐したと?」 「そのようなんだが、実は後ろにいる君が本当の標的だったんだ」 「僕を誘拐するつもりが、人違いで愛ちゃんを拐ったということか?」 「そういうことだな」 「しかし、なんで僕を?」 「ああ、それは極秘事項なので言えないんだ」 「じれったいなあ!愛ちゃんを助け出せるのか、助けられないのかはっきりしろよ」 「助けたいのか?」 「もちろんだよ」 「人違いだと言ったよな」 「ああ」 「愛君の代わりに君がアポロンの元へ行けば良い。早い話が、人質交換というわけだ」 「一つ聞いていいか?」 「なんだ」 「僕がアポロンの元へ行ったらどうなる?」 「行けばわかる」 「それでは答えになっていないぞ」 「神は気まぐれなものさ。少なくとも命を奪われることはないぞ」 「わかったぞ!女たらしで有名なアポロンのことだ。そういうことだな!?」 「そういうことにしておこうか」 「僕が行くと思うか?」 「なれば愛とやらがどうなるか判らんぞ。今頃衣服を引っ剥がされて、乳房をもろ出しに 弄ばれているかもな」 「ううっ。卑怯な」 「行くの?行かないの?」 「わかったよ。行けばいいんだろ!」 「素直でよろしい」
     
11