あっと! ヴィーナス!!(18)

 愛が連れ去られた!  しかも羽根が生えた黒服の天使?によって空の彼方へと。  天使、天使、天使……。  天使といえば天上界。  天上界といえば、ヴィーナス!? 「まさか、ヴィーナスの差し金か?」  大急ぎで、自宅へと駆け出す弘美。  息咳切りながらたどり着いた自宅に駆け上がり、台所に飛び込む。  そこには、相も変わらず酒びたりのヴィーナスがいた。 「ヴィーナス!愛ちゃんをどこへ連れて行った!!」 「なんのことらろ?」  呂律の回らない口調で問い返すヴィーナス。 「愛ちゃんが連れ去られたんだよ!」 「つれはられた?」 「羽根の生えた天使のような黒服に空の上に連れ去られたんだよ!」 「なんらろ?」 「天使は、おまえの仲間だろうが。おまえが指示したんだろ?」 「なんのことらあ?」  へべれけに酔っていて、意思の疎通ができない。 「まったく肝心な時に役に立たない奴だなあ」  どうするべきかと悩む弘美。  こうしている間にも、愛が何をされているか……。 「なんで、愛ちゃんがさらわれなきゃならないんだよ」  憤りいきどおりを収めきれない。  その時だった。 「お困りのようだな」  どこからともなく声がした。  その声は母ではなく、もちろんヴィーナスでもなかった。  ヴィーナスの方を見ると、すでに昏睡状態のようで話しかけることはできないだろう。  あたりを見回したが、自分とヴィーナス以外は、ここにはいなかった。  では、誰の声だ? 「うふふふ……」  まただ。  姿は見えないが、確かに誰かがいて話しかけている。 「もしかして、ディアナですか?」  姿が消せるということは、神の部類以外に無い。  ヴィーナスに初めて会った時に、天空の女神ディアナのことを、口を滑らしていた。 「ほほう……。記憶力は良い方だな」  と言いながら、スーーと姿を現した。 「ヴィーナスが話していましたからね。女神は他にはいない」 「なるほど。改めて、天空の女神ディアナだ」
     
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