美奈の日記 10

 1・2時限目の身体検査が終わった。  3時限目は……。  男の子と女の子と、それぞれ別れての体育だった。  小学校の時は、男の子とはそれほど体格差も運動能力差もあまりないから、一緒に体育 をしていたけれど、中学校からは別々に授業を受けるんだ。  この年齢ぐらいから、体格とか運動力とかに男女差が顕著に現れるし、何と言っても女 の子は胸が膨らんでくるからね。思春期に入って、異性を意識しはじめる年頃になった男 の子の目には毒になるというわけね。目の保養にはなっても、肝心の体育の授業に身が入 らなくなるでしょ。  というわけで、身体検査を終えた講堂で体育着に着替える。  うちの学校の女の子の体育着はブルマーだよ。  今時、ブルマーなんて減りつつあるらしいけど、動きやすくていいんじゃない?  え?  大丈夫か? ……ですって  もちろんだよ。  身体検査の時と同じだよ。  ちゃんとやるべきことをやっていれば目立たないよ。  サポーターを履いてがっちりと固定しちゃうという手もあるけど……。  ボクの場合は、そこまでしなくても大丈夫。  さて、体育を教える先生は、ボク達の担任の本条美津子先生だよ。  男の子は、別の男性教師が担当して、運動場のほとんどを使用しての、サッカーの授業 を受けている。  そしてボク達女の子は、運動場の片隅にマットや跳び箱を並べて、器械体操だよ。 「何か、不公平な感じしない?」 「何が?」 「男の子の体育ってさあ……。サッカーとか野球とか、運動場を広く占有してやるのが、 多いでしょ? それに比べて女の子は、マットや鉄棒とかこんな器械体操とか、いつも運 動場の片隅に追いやられているじゃない。それだけじゃなくて、体育の替わりに保健があ ったりさあ……」 「そうだね」  そうだよね。  学校の教育方針にもよるだろうけど、明らかに男女を区分けしている学校が多いんじゃ ないかしら。  授業科目としては、保健体育なんだけど。男の子は体育に主眼が置かれているけど、女 の子は保健の比率が多くなってる。これは女の子には、男の子にはない生理的なものがあ って、同じ授業日程の範囲でやろうとすると、どうしても同一の教育を行うことができな いという事だろうね。  え?  どういうことか判らない?  もう……。  男の子にはないものといったら、生理でしょ!  それに、妊娠・出産といったこともね。 「はい、はい。そこ! 美奈さん。喋ってないで、あなたの番よ!」  い、いっけない!  わたしの番が回ってきたよ。  跳び箱に向かうことにする。  何というか……。  やっぱり跳び箱って勇気がちょっぴりないとちゃんと飛べないよね。  助走で思いっきり走って勢いをつけて、跳ね板を蹴って……。  ほら、やっぱりね。  ぺたんと跳び箱の上に尻餅ついちゃったよ。  なかなか飛べないものだよね。 「美奈さん。もっと助走をつけないとだめよ」 「だって、怖いんだもん」 「しようがないですねえ……。はい! 次の人!」
     
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