妻に変身した男の話(12)
その日から、男は美智子の部屋をねぐらと決め込んで、出て行かなかった。
昼間から酒を煽って寝て暮らし、ふらりと出て行ったと思ったらパチンコ・麻雀ですっ
たと言って戻ってくる。
アパートの中年女性にも、その関係は知られることとなった。
「前の旦那とは縁が切れたばかりだというのに、あんたも運がないわねえ。あれじゃ、ヒ
モじゃない」
「運がなかったとあきらめています」
「よっぽど男運がないんだねえ」
確かに運が悪いといえるだろう。
しかし、美智子も密かに楽しみにしていることもある。
それは、夜毎の営みだった。
せっかく性転換手術をして女になったのだ。
女としての喜びを味わってもいいだろう。
男がいるからこそ、それは実現できるのだ。
回数を重ねるたびに、感じる度合いが高まってくる。
性に興奮する感覚が鋭敏になってきているのである。
妊娠することもないので性交渉に専念できる。
思いっきり身体を預けることができる。
セックスは美智子の生きがいになっていた。
いずれこの男にも飽きる日がくるだろう。
その時はまた、闇サイトにアクセスして、この男を抹殺してもらおう。
金ならいくらでもあるのだ。
どうにでもなるわよ。
さて、次なる男性はどんな人かしら。
密かに胸の内に小躍りしている美智子がいた。
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