第十一章 帝国反乱
Ⅶ  神聖銀河帝国母星アルデラーンの衛星軌道上にある宇宙ステーション。  その展望ルームに大演習観艦式用の特設会場が増設されている。  壇上に立つのは、神聖銀河帝国皇帝ロベール三世。  その両側に、ロベスピエール公爵と摂政エリザベス皇女の姿がある。  後方には、第一艦隊以下の指揮官提督が並んでいる。  彼らの目前を、各艦隊から選び抜かれた精鋭部隊が、整然と隊列を組んで進んで ゆく。  二チームに分かれて両側から進軍し、すれ違った後に反転して攻撃開始という内 容だった。  展望ルームの前を艦艇が通過する度に、特設スクリーン上に艦橋内の映像が流さ れ、艦長が敬礼していく。展望ルーム後方の将軍達も敬礼している。  第一艦隊旗艦エリザベス号は、第一皇女の名を冠してはいるが、実質的にはロベ スピエール公爵の息が掛かっている提督が乗艦している。  フランシス・ドレーク提督。  戦闘経験の少ない帝国軍にあって、唯一と言ってもよいくらい戦闘経験豊富な逸 材だ。  彼は海賊として帝国内を荒らしまわった経歴がある。  ある時、彼の標的として狙われたのが、ロベスピエール公爵の奴隷貿易船だった。  奴隷密売買がために詳細は闇に埋もれて公表されていない。  あくまで商人たちの噂話でしかないが、彼が貿易船に勇躍飛びついたところが、 敵は護衛船団を隠し持っていて、手痛い反撃を喰らって航行不能となり、彼は拘束 されてしまったらしい。  公爵の前に突き出されたものの、その気っ風に惚れた公爵が自分の配下にした。  奴隷狩りの私掠船(しりゃくせん)の艦長に取り立てられ、摂政派VS皇太子派 分断騒動時に第一艦隊の提督に推挙された。  艦艇のすれ違いが終わり、反転しはじめる。  態勢を立て直して、戦闘準備にかかる。  最初から向き合ってすぐさま撃ち合ってもよいのだろうが、戦意高揚と冷静沈着 とを両立させるにはこの方が良いとされていた。  すれ違ううちに精神を安定させる時間を与えるのである。  公爵がロベール皇帝に耳打ちしたかと思うと、やおら右手を上げる皇帝。  その手を降ろした時が、戦闘開始の合図のようである。  振り下ろされる小さな手。  砲弾飛び交う模擬戦闘の開始だった。
     
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