陰陽退魔士・逢坂蘭子/蘇我入鹿の怨霊
其の弐 京都文化会館にて  JRと近鉄の「京都駅」から地下鉄で「烏丸御池駅」下車【5】番出口から三条通り を東へ3分。  京都文化博物館の建物の壁には「刀剣乱舞DAY」開催中!という垂れ幕が下がり、玄 関入り口には立看板が立っている。  京都文化博物館は、2・3階総合展示場で一般500円、大学生400円、高校生以 下は無料となっている。  ちなみに、2017年2月25日〜4月16日「刀剣乱舞DAY」の目玉である【短刀 銘 吉光 (号 五虎退)】の描き下ろしイラスト公開は年3月1日〜5日まで、先着500名にクリア ファイルの配布があった。  現在、2017年10月3日〜12月3日まで、4・3階展示室にてウッドワン美術館コレクシ ョンが開催されている入場料は、一般1300円、大高生900円、中小学生400円。  会場入り口付近には刀剣ファンである女子達が、開館時間前から数多く並んでいる。  やがて時間となり、お目当ての刀剣目指して足早に急ぐ。  そんな大勢の観客に混じって、金城聡子の姿もあった。  国宝や重要文化財に指定された貴重な刀剣を、ショーケース越しに眺めながら、熱心 にメモを取っている。  博物館内では、文化財保護のために、展示品やケースに触れないことの他、  ・写真撮影  ・鉛筆以外の筆記用具の使用  ・飲食・喫煙  ・携帯電話の使用  ・ペットを連れての入館  など、禁止されている項目がある。  これらの禁則は、重要文化財を展示している全国各地の博物館などで行われているの で注意が必要である。 「きみ……。刀剣に興味があるのかい?」  と、声を掛けてきた者がいた。  声をした方を振り向くと、優しそうに微笑む若者がいた。 「実は、僕も刀剣それも古代に伝わる伝説級とか妖剣とかいう類のものが興味があるん です」  刀剣の事に関しては、わざわざ大阪から京都にまで鑑賞するために来館した聡子であ る。  館内を廻りながら、それぞれの刀剣についての薀蓄(うんちく)を語る若者。  聡子は、この博学な若者とはすぐに打ち解けてしまった。 「それにしても、いにしえの刀剣って皆京都や奈良に集中していて残念です」 「何をおっしゃいますか。京都だけでなく、あなたのお住まいの大阪にも国宝の刀剣が あるじゃないですか」 「大阪に?」 「四天王寺に【七星剣】と【丙子椒林剣】という国宝剣がありますよ」 「知っています。でも、東京国立博物館に寄託されていて、模造品が飾られていますけ どね」 「ご存知でしたか」 「宝物展とかで重要文化財の仏像とか書物とかは頻繁に名宝展とか開催するけど、七星 剣とかは模造品だからか展示しないのよね」  やがて京都博物館を出た二人は、揃って京都観光を楽しむこととなった。  名所旧跡を巡りながら、会話も弾む二人が急速に懇意になるのは必然だった。
     
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