死後の世界と民族の神話
死後の世界観と宗教
人類が猿から進化して、二本足で直立して歩き自由になった手を駆使して武器を手に入れ、地球上の覇者となったとき、もはや人類にかなう動物は存在しなくなった。そこでやむなく神は、人類の身体の内に介在する精神にたいして、敵をおつくりになった。それが霊的なるものの存在の発生であった。 大脳生理が発達するにつれて、人類は感情を持つにいたり、かつ想像力を豊かにした。それが身体と霊魂の存在という二分化の考えを押し進めることとなった。
太古のむかし、猿から進化したばかりでまだ人類が小さな群を作って生活をしていたころ、彼らを恐れおののかせる唯一のものが、夜になり襲い来る深遠の闇であった。風にそよぐ樹々の葉がたてる音、遠くから響く物音、獣達の遠吠え、闇に閉ざされた世界の中では、周りの状況が見えないだけに、彼らの想像力をかきたて恐れおののくには十分な環境であった。眠りにはいり、無防とならざるをえない闇の時間、人々は肌を寄せあってじっと夜の明けるのをただひたすら待ち続けた。
やがて<火>を手に入れ自由に扱えるようになった時、闇を蹴散らす神聖なものとしての、<火>にたいする信仰がうまれる。信仰がさらに体系づけられて祭義となり祭義を専門職とする祭司(巫女)が登場する。祭司は呪術をつかって、悪霊が巻き起こすと考えられていた災いや疫病を追い払った。その一方で闇にうごめく霊なるもののの正体を解明し、後の人々に伝える伝承者でもあった。
歴史は進み農耕文化の発生とともに、小さな群れどうしが集まりより大きな群れとなって、民族と呼ぶ大きな集団が出来上がった。農耕はさらに、大地と恵の信仰を起こし、祭司の重要性はさらに飛躍的に増大し、巨大な権力すら持つようになった。
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⇒part-2