難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

母斑症(あざ)


 皮膚にある斑点を俗に「あざ」といいます。ほとんどの人にあるあざは皮膚の限局性の奇形で、表皮、色素細胞、脂腺、アポクリン腺、エクリン腺、毛包、血管、リンパ管、神経線維、皮下組織などに先天性の素質により種々のあざが生じます。あざは色調や表面の性状から次のように分類されます。
 また、あざに一致するような病変が皮膚だけではなく、神経や内臓、運動器官などに同時に生じて一つのまとまった病像を呈するものは母斑症と呼ばれ、注意が必要です。
 下のテーブルの中の病名は説明とリンクしています。説明部分の黒字は心配の無いもの、赤字ピンク字は要注意で早めに診察を受けた方がよいあざです。

俗称皮膚に限局するもの母斑症(皮膚以外にも同じ病変が存在するもの)
赤あざ 単純性血管腫
正中部母斑
 a) サーモンパッチ
 b) ウンナ母斑
イチゴ状血管腫
海綿状血管腫
若年性黒色腫
スタージ・ウェーバー症候
クリッペル・ウェーバー症候
カサバック・メリット症候
青色ゴム乳首様母斑症候群
黒あざ 母斑細胞母斑
a) 黒子(ほくろ)
b) 中等大母斑細胞母斑
c) 巨大母斑細胞母斑
黒色表皮腫
神経皮膚黒色症
汎発性黒子症候群(LEOPARD黒子症候群)
ポイツ・イェーガース症候群
クロンクハイト・カナダ症候群
青あざ 蒙古斑
青色母斑
大田母斑
色素血管母斑症2型
茶あざ そばかす(雀卵斑)
扁平母斑
ベッカー母斑(遅発性扁平母斑)
色素性じんま疹
フォン・レックリングハウゼン病(神経線維腫症)
マッキューン・アルブライト症候群
色素失調症(ブロック・ザルツバーガー症候群)
白あざ 尋常性白斑
癜風
サットン白斑
まだら症(部分的白皮症)
結節性硬化症(木葉状白斑)
いぼ様あざ 軟骨母斑(副耳)
皮膚線維腫
表皮母斑
脂腺母斑
表在性脂肪腫性母斑
若年性黄色肉芽腫
表皮母斑症候群
結節性硬化症(血管線維腫)


1. 赤あざ

1. 単純性血管腫、あるいはポートワイン母斑
頻度:イチゴ状血管腫に次いで小児に多い。
性状:主に顔面、頭部に盛り上がりのない赤ぶどう酒色の斑点(紅斑)ができる。濃淡のムラは少ない。
大きさ:長径数mmから顔面の半分に及ぶものもある。
出現時期:生まれつき。
原因:真皮内毛細血管の拡張による。
経過:自然治癒なし。ほとんど変化しないが、時にしだいに色調が濃くなり、盛り上がるものもある。
治療:ドライアイス療法、レーザー光線療法、手術的切除、植皮などが試みられているが、有効な治療なし。カバーマーク、スポットカバーによるメークアップが良い。

赤単純性血管腫による母斑症

1) スタージ・ウェーバー症候
顔面両側もしくは半側上部(三叉神経第一枝領域)に出生時より存在する単純性血管腫。多くは両側もしくは片側の痙攣が6〜24ヵ月にはじまる脳軟膜の血管腫による神経症状(てんかん、片麻痺、精神発達遅滞)、ブドウ膜血管腫による牛眼や緑内障などの眼症状を合併する。脳のCTスキャンで石灰像を認める。出生10万人に1人の頻度。
 約半数は抗痙攣薬でコントロール可能であるが、難治性のものについては脳外科的手術を行う。
顔面の単純性血管腫はレーザーで治療されているが,十分でない点も多い.

2) クリッペル・ウェーバー症候
 出生直後より主に片側の下肢の広範な単純性血管腫を認め、成長に伴い先天性動静脈系の異常による患側四肢の肥大延長が20才ころまで続く。一肢だけではなく、広範囲に起こることもある。

2. 正中部母斑

生まれつきある境界不鮮明な淡紅色の紅斑で、サーモンパッチ、ウンナ母斑の2型に分類される。
真皮表層での毛細血管の機能的拡張が原因。自然消失傾向することが多い。

a) サーモンパッチ
頻度:新生児の約30%に生まれつき認められる。
部位:両側上まぶたの内側、眉間から前額中央に見られる。濃淡のムラは少ない。
経過:上まぶたのサーモンパッチは1才半までにほぼ全例が消失。眉間から前額中央のサーモンパッチは成人でも稀に残る。

b)  ウンナ母斑
頻度:サーモンパッチと同程度。
部位:うなじから後頭部に生ずる。サーモンパッチに比しむらが少なく、赤みがいくぶん強い。
経過:サーモンパッチに比し消失傾向がやや遅く、生後1才で50%、成人で10%残存する。
治療:後頭部で毛髪に隠れるため、放置する。

3. イチゴ状血管腫
頻度:血管腫の中で最も多く、女児に多い。
性状:生後1週間前後の新生児の皮膚に、初めは糸くずの様な細かい紅斑が出現、次第に盛り上がってきて表面が軟らかいイチゴ状の外観を呈する。
大きさ:大きいものでも直径数cmまで、稀に顔面の半分位のものもある(巨大型)
経過:生後3〜6ヵ月までに最大の大きさとなり、以降縮小しはじめ、7才くらいまでに自然に退縮する。
おぶい紐のあたる場所、関節、外陰部など傷つきやすい部位に潰瘍ができ、傷跡が残ることがある。
顔面の巨大型は不自然な腫れとして残ることもある(不完全退縮)。
原因:真皮と皮下組織の幼若な血管内皮細胞の増殖と毛細血管の拡大。
治療:ほとんどが自然治癒する。ただし目の周囲の血管腫は視力の発達に影響するので要注意。
巨大型には持続圧迫療法、ステロイド療法、放射線療法、形成外科的切除が必要。

イチゴ状血管腫に関連する母斑症

カサバック・メリット症候
 巨大な血管腫に血小板減少を伴い、全身の出血傾向を来たし危険な状態に陥る。
頻度:少ない、が要注意。
経過:ほとんどが生後6ヵ月までに発症する。最初は皮下の紅色のしこりとして始まり、急速に増大融合して巨大血管腫を形成する。ついで巨大血管腫内部で出血が始まり、さらに全身の出血傾向が現れる。
原因:イチゴ状血管腫よりもさらに未熟な、自然治癒傾向のない巨大血管腫内では血流が遅く、血管内で血液が凝固し、血小板、フィブリノーゲンなどの血液凝固因子を消耗する結果、全身の出血傾向が現れる。
治療:巨大血管腫内の出血がはじまる以前に発見する。
   放射線療法、ステロイドホルモン療法、インターフェロン療法。

4. 海綿状血管腫
性状:生まれつき身体のどの部位にでも生ずる大小さまざまで、皮膚表面から触れる淡紫赤色の軟らかいコブ。平坦なもの、軽度に隆起するものなど種々。
原因:真皮深層から皮下組織、ときには深部筋肉層にまで成熟した奇形性血管がつる状に増殖して、ヘビがとぐろを巻いた様な血管の塊ができる。
経過:成長とともに多少増大傾向がある。舌に生じた時には巨大舌となる。
治療:放射線療法は無効。形成外科的切除を行う。

海綿状血管腫に関連する母斑症

青色ゴム乳首様母斑症候群
皮膚と消化管に海綿状血管腫が多発し、消化管出血のため貧血をきたす。
頻度:少ない。
性状:皮膚の血管腫は青色で弾力性に富むゴム乳首様で押さえると痛みあり。自然消退傾向なし。
   消化管以外にも肝、肺、脳、腎、胆嚢、骨格筋などにも血管腫が生ずることがある。
治療:出血している消化管血管腫の切除、貧血に対する治療。

5. 若年性黒色腫(スピッツ母斑)
次項の母斑細胞母斑の特殊型で良性
頻度:小児に特有で多い。
性状:3〜13才の小児の顔面に通常は単発する淡紅色〜淡紅褐色の半球状腫瘍。血流が多いため赤色に見え、傷つき出血しやすい。表面は平滑で光沢を有し、色素沈着を伴うこともある。直径1cm位まで比較的急速に増大するが、自覚症状なし。
治療:切除する。

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黒あざ



1. 母斑細胞母斑
 神経系の細胞は胎児期に神経細胞か色素細胞(メラノサイト)に分化するが、いずれにも分化しきれなかった細胞が母斑細胞である。表皮内から真皮深層に母斑細胞が増殖した状態を母斑細胞母斑という。成人日本人は平均9個の母斑がある。大きな母斑は先天性であることが多く、皮膚ガンの一種の悪性黒色腫の発生母地となり得る。日本では悪性黒色腫は足底、爪甲、手掌に多いため、同部位の母斑細胞母斑には注意が必要。
次の3型に分類される。
a. 黒子(ほくろ)
 非常に多い。褐色から黒褐色、エンドウマメ大までの大きさ。平滑で皮膚と同高のもの、半球形に隆起するものもある。出生時には認められず、3〜4才ごろから発生し、次第に増加してある年令で頂点に達し、その後は減少する。
b.中等大母斑細胞母斑
 皮膚面から多少隆起する黒褐色から黒色の母斑で、直径が1.5cmより大きく大部分は先天性。乳幼児では初めは一様に褐色の斑のように見え、濃褐色の小点がその中に多数あり、小点が次第に発達して一様に黒褐色の斑になる場合が多い。淡褐色斑の上に黒色点状斑が多く集まる点状集簇性母斑、母斑内に硬毛を生ずる有毛性母斑、上下眼瞼にまたがる分割母斑などがある。
c.巨大母斑細胞母斑
 躯幹、四肢あるいは顔面の広範囲を占めるもので、出生直後は母斑だけでも2才頃から有毛性となりやすい。獣皮様母斑、水着様母斑と呼ばれ、比較的小さな母斑を多数伴うことが多い。すべて先天性であり、悪性黒色腫を生ずる頻度が高い。

2. 黒色表皮腫
頚部、腋窩、外陰部などの擦れる部分に左右対称性に黒褐色の色素沈着と皮膚角質の増殖が起こる。比較的稀。内臓悪性腫瘍に合併する悪性型黒色表皮腫、内分泌障害に合併して生下時〜思春期に発症する良性型黒色表皮腫、肥満に並行する仮性型黒色表皮腫などがある。

黒あざに関連する母斑症

1)神経皮膚黒色症
 巨大母斑細胞母斑と脳脊髄の色素細胞の異常増殖を主症状とした進行性の母斑症。母斑の悪性化率は高い。頭痛、嘔吐、運動障害、けいれん、意識混濁などの神経症状が出現する。上半身に母斑細胞母斑が広範囲にあるものでは注意が必要。幸い非常に稀。
2)汎発性黒子症候群(LEOPARD黒子症候群)
 全身に多発する小さな黒子と心電図異常、両眼開離、肺動脈狭窄、性器異常、発育障害、難聴を伴う遺伝性の疾患。稀。
3)ポイツ・イェーガース症候群
 口唇、口腔粘膜、手のひら、足のうらに多発する小色素斑と多発性の消化管ポリープを特徴とする遺伝性の母斑症。
頻度:日本に300人以上。
性状:口唇、口腔粘膜、手のひら、足のうらに米粒大まの大きさの黒褐色の小色素斑が1〜2才ごろから出現する。これに遅れて胃、小腸、大腸に消化管ポリープが多発し、腸重積(47%)、腹痛、血便、ポリープの肛門外脱出などの症状が現れる。
原因:表皮基底細胞層のメラニン色素の沈着。
経過:色素斑はほとんど変化しないが、消化管ポリープの10%は悪性化する。
治療:口唇色素斑には削皮術を、消化管ポリープは内視鏡にて摘出する。
4)クロンクハイト・カナダ症候群
 口唇、手のひら、足のうらの斑状の色素沈着、多発性消化管ポリープによる下痢、脱毛、爪の萎縮を症状とする非遺伝性疾患。ポイツ・ジェガース症候群と異なり中年以降に発症する。稀だが比較的日本人に多い。

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青あざ


1. 蒙古斑
有色人種の小児のおしりの周りに100%認められる青色斑で、ほとんどは自然に消失する。
性状:出生時または生後まもなく腰のまわり、下背に出現する円形または卵円形の平らな灰色がかった青色斑。四肢、顔面、腹部に生ずるものを異所性蒙古斑と言う。
原因:胎生期の色素細胞の一部が真皮内に残り、青く見える。
経過:生後2才をピークとして次第に自然消失する。異所性蒙古斑は残ることがある。
治療:不要。

2. 青色母斑
頻度:比較的多い。
性状:多くは乳幼児期に生ずる直径1cm以下の平らか、少し盛り上がった青色斑で通常型と云い、やや硬く触れる。きわめて稀に大型のものがある(細胞増埴型)。
原因:メラニン色素に富む青色母斑細胞真皮内で増殖する。
経過:通常型は良性で変化しない。直径1cm以上の細胞増埴型は悪性化することがある。
治療:細胞増埴型は深く広範囲に切除する。

3. 大田母斑
顔面片側上部の眼を中心とする褐青色色素斑。
頻度:1万人に1人。女性は男性の5倍多い。
性状:多くは生まれつき又は生後まもなく、あるいは思春期に通常顔面片側に上下眼瞼、前額部、上顎部、鼻翼、口腔粘膜にかけて淡青色の色素斑が出現し、その上に小さな褐色斑が分布する。2/3に眼球結膜にも色素斑ができるので青く見える。
原因:メラニン色素に富む大田母斑細胞が表皮下層、真皮内に粗く分布する。
経過:自然治癒はないが、おおむね良性。
治療:ドライアイス療法、レーザー療法。

青あざに関連する母斑症

色素血管母斑症2型
 単純性血管腫と蒙古斑様青色斑とが別々にあるいは重なり合って広く皮膚面を覆い、スタージ・ウェーバー症候やクリッペル・ウェーバー症候を高率に合併する。稀な病気。

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茶あざ


1. そばかす(雀卵斑)
性状:顔面、頚部、腕、手背など露出皮膚部位に多発する淡褐色〜黒褐色の小色素斑で、群生して対称性に分布する。太陽光線、熱により色調は増強され、冬季は薄く、夏季に濃くなる。赤毛を合併することが多い。
大きさ:米粒大まで。
経過:5才以上の小児に発症し、思春期に著明となり、中年以降に軽快する。
原因:表皮基底層の色素細胞の機能亢進によるメラニン色素の増加。

2. 扁平母斑
頻度:10%
性状:出生時すでに、あるいは出生後早い時期に出現する境界明瞭、淡褐色ないし褐色の偏平で隆起しない茶色の一様の斑点。面上に色の濃い小色素斑が散在することがある。形状はさまざま。腹部では片側性に出現することが多い。。数は多くとも3〜4個。手掌、足底以外のどの部分にも発生し得る。
大きさ:直径数mmから半肢に及ぶ巨大なものまである。
経過:自然治癒はない。母斑細胞母斑と異なり、悪性黒色腫は生じない。
 直径1.5cm以上の斑が6個以上認められればレックリングハウゼン病(後述)の可能性あり。
原因:表皮基底層のメラニン色素の増加による。
治療:特に必要はないが、削皮術、レーザー療法、凍結療法、遮蔽クリームなどがある。再発しやすい。

3. ベッカー母斑(遅発性扁平母斑)
 思春期前後の男子の前胸部、肩、上背、上腕に片側性に生ずる、有毛性の大型の扁平母斑。母斑の出現初期には有毛性ではなくとも後に発毛してくる。治療に良く反応し、再発することは少ない。

4. 色素性じんま疹(肥満細胞症)
 肥満細胞が増殖する病気のうち皮膚に限局するものを色素性じんま疹、皮膚のみならずリンパ節、骨、肝臓、脾臓、消化管などを侵すものを全身性肥満細胞症と云う。小児には色素性じんま疹が大部分であるので、ここでは色素性じんま疹を説明する。
頻度:300〜2500人に1人。
性状:生下時〜6か月までに発生することが多い。はじめは全身に虫刺され様の紅色丘疹(つぶつぶ)を生じ、やがて直径5cm位までの類円形の褐色斑に変ずる。シコリを伴うこともある。痒みが強く、擦るとじんま疹のように膨れ上がり周囲が赤くなる(ダリエ徴候)。
経過:ふつう10〜15才までに自然消退する。
原因:肥満細胞の放出するヒスタミン、ヘパリン、ロイコトリエン、プロスタグランジンなどの薬理作用による。
治療:抗ヒスタミン剤、ステロイド、紫外線療法、ドライアイスや液体窒素療法など。


茶あざに関連する母斑症

1)フォン・レックリングハウゼン病(神経線維腫症)
 褐色色素斑と神経線維の腫瘍が多発する神経由来の母斑症。
頻度:3000人に1人でかなり多い。
症状:
a)  皮膚症状:大小の褐色色素斑が乳幼児期から全身に出現する。ミルクコーヒーの色に似ていることからカフェ・オ・レ斑と呼ばれる。小褐色斑はそばかす様だが、そばかすは乳幼児期には存在せず、5才以降に出現することで区別できる。大褐色斑は指爪大以上の扁平母斑様で、直径1.5cm以上の大褐色斑が6個以上あれば本症が疑わしい。10才以降に全身皮膚に正常色〜淡紅色で、鶏卵大までの大小不同の皮膚腫瘍(神経線維腫)が出現し、少しずつ増数、増大する。神経線維腫は皮膚表面に近い所に生ずることが多いが、神経の存在する所ならどこにでも生ずる。
b) 骨病変:脊椎側彎、脊椎後彎、下肢彎曲など。
c) 神経病変:聴神経腫瘍による聴力障害、平衡障害、脳腫瘍、けいれん、知能低下。
d) 眼病変:虹彩小結節、視力障害。
e) 内臓病変:褐色細胞腫など。
経過:中枢神経の症状が悪化したり、2〜3%の頻度で腫瘍が悪性化することがある。
原因:明らかではない。遺伝はあるが、70%は突然変異。
治療:根本的な治療はない。

2)マッキューン・アルブライト症候群
症状:
a) 生下時あるいは生後数か月に片側に発生する傾向がある種々の大きさのカフェ・オ・レ斑様の皮膚の色素斑。
b) 手足の骨に多い線維性骨形成異常(骨折、骨痛、骨変形)。
c) 女性における性的早熟を伴う内分泌異常。
 を3症状とする症候群。
頻度:わが国で100人以上。
原因:細胞内の生化学反応に関与するG蛋白の異常による。

3)色素失調症(ブロック・ザルツバーガー症候群)
 女児に新生児期に特有の水疱と丘疹、色素沈着を生じ、皮膚症状はやがて消退するが合併症を残す病気。稀。
皮膚症状:
第1期(水疱期): 生下時〜生後1週間以内に線状に配列する紅斑と小水疱が出現。約2か月間で消退する。
第2期(丘疹・イボ状期期): 水疱の消退とともにイボ状の暗紅色発疹が出現、数か月間持続する。
第3期(色素沈着期): イボ状の発疹部に一致して渦巻き状、飛沫状の褐色ないし灰褐色の色素斑が5〜6才まで残存。
第4期(色素沈着消退期): 色素沈着はゆっくり薄くなり、学童期ごろまでに消退する。
合併症:
 30%程度に知能発育異常、けいれん、小頭症、先天性股関節脱臼、歯牙欠損、斜視、白内障などを認める。

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白あざ


皮膚の色調が正常よりも白くなったもので、脱色素斑と呼ばれる。

1. 尋常性白斑
後天性の脱色素斑をきたす疾患で俗に白なまずと呼ばれる。
頻度:多い。大学病院皮膚科患者の1〜2%。
原因:何らかの原因で色素細胞の破壊、減少、メラニン色素生成の停止が起こると推測されている。
性状:大小の類円形の白斑が身体各部に生ずる。白斑の特徴は乳白色の完全脱色素斑で、白斑部の毛は白毛となり、白斑に接する健常皮膚では色素増強を認める。1〜数個の白斑が集まる場合、全身性に左右対称に生ずる場合、皮膚神経の走行に一致して片側性に生ずる場合とがあるが、小児では後者が多い。
治療:色素は毛嚢のある部位に再生しやすい。
 a. 紫外線療法
 b. ステロイド療法
 c. 植皮術

2. 癜風
 皮膚に常在するカビの一種マラセッチア・ファーファ(癜風菌)が表皮角質内で増殖して粃糠性落屑(角質が増殖して剥離し皮膚面にヌカ状に付着している状態)を伴う淡褐斑ないし脱色素斑を生ずる。
頻度:乳児には比較的少なく、15才以上に多い。
性状:
 a. 生後2〜6か月の乳児には顔面、頭部に脱色素斑を生じ、生後6か月以降に自然治癒する。
 b. 年長児、成人には前胸部や上背部に好発する。毛孔に初発し、次第に融合して小豆大までの淡褐斑ないし脱色素斑を生じ、夏に増悪し冬に軽快する。脱色素斑は治癒後も白斑を残すことが多い。
治療:抗真菌剤の塗布。

3. サットン白斑
 母斑細胞母斑(主に黒あざ)を中心として周辺に円形に拡大する白斑である。母斑細胞母斑の20〜30%は老齢に達すると自然消失するが、小児や若年者では比較的早期にメラニンに対する自己免疫現象により母斑が崩壊し、消失過程をとることがある。この際母斑細胞母斑の周辺皮膚が色素脱出をきたす。中心の母斑を切除しないと白斑が拡大する傾向がある。30〜50%尋常性白斑を合併する。悪性黒色腫でも類似の現象が起こることがあるので注意が必要。

4. まだら症(部分的白皮症)
 胎生期に色素細胞の表皮への移行が一定部位において行われず、その部位に白斑または白毛が生ずる。
頻度:2万人に1人以下。
性状:前頭中央の白髪と前額中央の逆三角形の白斑が90%に認められる。白斑は他の部位にもほぼ左右対称にも現れ、白斑中にカフェ・オ・レ斑様の淡褐色斑が島状に混在する。
経過:多少縮小傾向はあるが、生涯不変。
治療:紫外線療法などがあるが、困難。

5. 結節性硬化症(木葉型白斑、後出)
 尋常性白斑とは異なる不完全色素脱出斑が出生時または生後すぐに出現することが多い。直径1〜3cmのナナカマドの葉状の白斑ないし小点状の白斑が新生児期からすでに認められ、けいれん発作や発育遅延があれば本症の疑いが強い。

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いぼ様あざ


1. 軟骨母斑(副耳)
 軟骨組織を含む小腫瘤で耳介近くのものが多く、副耳、または副耳珠と呼ばれる。胎生期の軟骨、皮膚の過形成による。
頻度:1.5%。
性状:多くは耳介と口角を結ぶ線上の耳の近くに片側性で単発する。頬部の場合は隆起せず臍状に陥凹したり、他の奇形(口蓋裂、下顎低形成)に伴うこともある。
治療:切除する。ときに軟骨組織が深くにまで伸びていることがある。

(付:副耳ではないが日常よく見かける耳前瘻孔について)

耳前瘻孔:
日本人にかなり多く(3%)見られる耳介の前方の小孔で両側性のものも珍しくない。小孔より瘻管(導管)が外耳道に向け1〜1.5cm位伸びて盲端に終わることが多いが、ときに耳輪軟骨を貫通して耳介裏側に小さな開口部を作ったり、中耳腔内に交通したり、顎にまで達するものもある。無症状なら放置するが、瘻管に細菌感染をおこすと悪臭のある分泌液を出したり、赤くなって腫れあがり、疼痛を訴えるようになる。感染を繰りかえすなら摘出する。

2. 皮膚線維腫
頻度:日常よく見られる。若年成人に多いが、子供にもときどき見られる。
性状:手足、とくに大腿の前側に好発する。直径5〜20mmの皮膚面から軽く隆起し、赤褐色〜黒褐色の硬い皮膚結節が単発、ときに多発する。痒み、叩打痛を訴えることもある。周囲の皮膚をつまむと腫瘍部は陥凹するのが特徴。
経過:良好、自然退縮もある。増大する傾向があれば隆起性皮膚線維肉腫(悪性)と区別する必要がある。
治療:希望により切除。

3. 表皮母斑
表皮細胞の増殖によるイボ状小丘疹で出生時、あるいは生後2、3か月以内に発生する。
頻度:大学病院で年間十数人。
性状:躯幹、四肢に多発し、多くは列序性(順序を追って並ぶ)に集まるため、列序性疣状母斑と呼ばれる。常色〜黒褐色で片側性に生ずることが多い。自覚症状は通常はないが、湿疹様変化が加わり、強い痒みを訴えることがある。
経過:幼小児期には大きさを増すが、その後は不変で悪性化は稀。
治療:切除する。

4. 脂腺母斑
表皮、毛のう、脂腺、汗腺(アポクリン腺、エクリン腺)の一部が腫瘍性に増殖したもの。脂腺の増殖を主体とし、表皮細胞やアポクリン腺の増殖をも伴うので類器官母斑とも呼ばれる。大部分は生まれつき存在するが、まれに小児期に生ずる。頭、顔面に単発性のことが多い。
頻度:大学病院で年間十数人。
症状:
第1期(小児期): 頭部では脱毛斑で、他の部位では薄い黄色でわずかに隆起している。
第2期(思春期): 黄色あるいは黄褐色のイボ状となる。痒みを伴うことあり。
第3期(思春期以降): 良性腫瘍を形成するが、10〜20%悪性腫瘍(基底細胞ガン)となる。
治療: 思春期までに切除することが望ましい。

表皮母斑症候群
広範囲の表皮母斑、脂腺母斑は時に骨の彎曲や奇形、精神発育遅延、けいれん発作などの中枢神経異常、眼病変を合併することがある。合併症は多く母斑と同側にみられる。

5. 表在性脂肪腫性母斑
 真皮組織の大部分が脂肪組織に置換された状態となり、皮膚面に柔らかい淡黄色の半球形に隆起した大小結節が多数集まる。臀部、背面下方に片側性に生ずることが多い。出生時すでに存在することもあるが、多くは10才台に生ずる。

6. 若年性黄色肉芽腫
 出生時から6か月以内に発生しはじめ、5、6才ごろまでに自然消失する黄色腫瘍。
頻度:少ない。
性状:主として顔面に好発する初めは橙黄色、徐々に黄色となる直径2cmまでの弾力性のある腫瘍で、75%は単発。高脂血症を伴わない。約20%に眼病変(虹彩、毛様体の混濁、前房内出血、緑内障)、骨、肺、消化器、睾丸などの病変を合併する。本症はフォン・レックリングハウゼン病のカフェ・オ・レ斑に合併することがある。
大きさ:直径数mmから半肢に及ぶ巨大なものまである。
経過:皮膚症状は自然治癒するため良好。

7. 結節性硬化症(血管線維腫)
頻度:1人/1万〜15万人。
症状:てんかん、精神遅滞、顔面両頬の油性光沢のあるイボ様の母斑(血管線維腫)を3主徴とする不規則な遺伝性の母斑症で、てんかん発作は生後半年以内に初発することが多い。本症の70%以上に新生児期からすでに木葉型の色素脱出斑が認められるのが特徴的である。血管線維腫は4、5才から出現するが、顔面以外の皮膚にも結節状の腫瘍が発生する。頭部CTスキャンで脳室の石灰化が認められ、心臓、腎臓、肺にも病変が及ぶことがある。

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