■概念・定義
神経線維腫症T型(NF1、レックリングハウゼン病)はカフェ・オ・レ斑、神経線維腫を主徴とし、骨病変、眼病変、神経腫瘍、そのほか多彩な症候を呈する全身性母斑症であり、常染色体性優性の遺伝性疾患である。
■疫学
平成元年度に行われた全国疫学調査では、我が国の神経線維腫症T型患者数は約4万人前後と推定されている。
■病因
神経線維腫症T型の遺伝子は、17番(17q11.2)に座位することが明らかになった。また、遺伝子がつくる蛋白はneurofibrominと命名された。
■症状
カフェ・オ・レ斑−扁平で盛り上がりのない斑であり、色は淡いミルクコーヒー色から濃い褐色に至るまで様々で、色素斑内に色の濃淡はみられない。形は長円形のものが多く、丸みを帯びたなめらかな輪郭を呈している。
神経線維腫−皮膚の神経線維腫は思春期頃より全身に多発する。このほか末梢神経内の神経線維腫(nodular plexiform neurofibroma)、びまん性の神経線維腫(diffuse plexiform neurofibroma)がみられることもある。
その他の症候:骨病変-脊柱・胸郭の変形、四肢骨の変形・骨折、頭蓋骨・ 顔面骨の骨欠損など。眼病変-虹彩小結節(Lisch nodule)、視神経膠腫など。皮膚病変-雀卵斑様色素斑、有毛性褐青色斑、貧血母斑、若年性黄色内皮腫など。脳脊髄腫瘍−脳神経ならびに脊髄神経の神経線維腫、 髄膜腫、神経膠腫など。脳波の異常、クロム親和性細胞腫、悪性神経鞘腫などがみられる。
■治療
手術療法などの進歩は著しいが、薬物療法、遺伝子治療は未だ困難である。
■予後
神経線維腫T型の生命の予後は比較的良く、悪性神経鞘腫の合併率は数パーセント以下である。
神経皮膚症候群に関する調査研究班から
研究成果(pdf 23KB)
この疾患に関する調査研究の進捗状況につき、主任研究者よりご回答いただいたものを掲載いたします。
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