29.膿疱性乾癬
1 主要項目
通常は全身症状と全身の潮紅皮膚上に多発する無菌性膿疱を確認する。また,その他の臨床症状を参考にして,病理組織学的にKogoj 海綿状膿疱を証明し,経過中に以下の(4)の@,A,Bを最低満たす。
(1) 発熱・全身倦怠感等の全身症状を伴う。
(2) 全身または広範囲の潮紅皮膚面に孤立性,無菌性膿疱が多発し,ときに融合し,膿海を形成することがある。
(3) 病理組織学的にKogoj の海綿状膿疱を証明する。
(4) 経過中に下記の臨床検査所見のいくつかを満たす。
@ 白血球増多,核左方移動
A 赤沈の亢進,CRP 陽性,ASLO の高値
B IgG 又はIgA の上昇
C 低蛋白血症,低カルシウム血症など
(5) 以上の臨床的,組織学的所見を繰り返し生じること。
2 参考事項
(1) 尋常性乾癬が明らかに先行し,副腎皮質ホルモン剤などの治療により膿疱化した症例は原則として本症から除くが,皮膚科専門医が一定期間注意深く観察した結果,繰り返し容易に膿疱化する症例で本症に含めた方がよいと判断した症例は,本症に含む。
(2) 教科書で,circinate annulare form と分類されている病型は,通常全身症状が軽微なので対象外とするが,明らかに汎発性膿疱性乾癬に移行した症例は,本症に含む。
(3) 一定期間の慎重な観察により角層下膿疱症,膿疱型薬疹( acute generalizedexanthematous pustulosis を含む。)と診断された症例は除く。
(4) 汎発性膿疱性乾癬に包括しうる疾患
@ 疱疹状膿痂疹:妊娠,ホルモンなどの異常に伴う膿疱性乾癬と理解。
A 稽留性肢端皮膚炎の汎発化:厳密な意味での本症は極めて稀で,かつ予後も不良なため診断は慎重に行う。
B 小児の膿疱性乾癬:汎発性膿疱性乾癬に含む。
(5) 一過性に膿疱化した症例は原則として本症に包含されないが,治療が継続されているために再発が抑えられている場合にはこの限りではない。
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