■概念・定義
激しい運動や外傷を契機として急速に、皮膚の硬化と関節の運動制限をきたす疾患で、病変部の好酸球浸潤又は末梢血好酸球増多の有無に関係なく筋膜の炎症変化に引き続き線維化と肥厚をきたす疾患として位置づけられている。
同義語:Shulman症候群、diffuse fasciitis with eosinophilia、eosinophilic fasciitis、diffuse fasciitis with or without eosinophilia
■症状
主として四肢対側性に、有痛性の発赤腫脹が生じ、同部の皮膚硬化と四肢関節の運動制限が急速に現れる。一見強皮症に類似するが、レイノ一現象、内臓病変を伴わない。関節痛を訴える症例でも、明らかな関節炎の像は見られない。四肢末端、顔面、躯幹の変化は稀である。また、手そのものには硬化は及ばないが、前腕が侵されるので手指は屈曲拘縮をきたすことがある。
■疫学
発症年齢は小児から老人まで広く分布するが、多くは30〜60歳代に発症している。国内でも100例前後が報告されているにすぎないが、実際にはもっと多いものと思われる。男女比は1.5:1で男性にやや多いとされている。
■病因
激しい運動、外傷、高熱の後、急速に発症する群と、徐々に四肢の動きにくさを自覚する亜急性に発症する群がある。病因は不明であるが、何らかの自己免疫学的機序の関与も想定されている。
■治療
自然寛解をきたすこともあるが、大部分の症例では副腎皮質ホルモンの内服により、急速に軽快する。しかし進行した皮膚硬化、関節拘縮は難治性である。
■予後
生命予後は良好であるが、治療が遅れると硬化や関節拘縮が残存することがある。中等量までの副腎皮質ホルモンの内服によく反応する症例が多く、通常プレドニゾロン0.5〜0.7 mg/kg/日から開始し、漸減する。約2〜4年の維持療法後(5mg/日程度)、治療を必要としなくなる。
強皮症に関する調査研究班から
研究成果(pdf 18KB)
この疾患に関する調査研究の進捗状況につき、主任研究者よりご回答いただいたものを掲載いたします。
情報提供者
研究班名 皮膚・結合組織疾患調査研究班(強皮症)
情報更新日 平成20年4月29日
メニューに戻る