1. 好酸球性筋膜炎とは
激しい運動や外傷を契機として急速に、皮膚硬化と関節の運動制限を来す病気です。筋膜の炎症変化に引き続き線維化を来します。
2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
詳しくはわかりません。国内でも100例前後しか報告がありませんが、実際にはもっと多いものと思われます。
3. この病気はどのような人に多いのですか
多くは30〜60歳代に発症します。男性にやや多いようです。
4. この病気の原因はわかっているのですか
激しい運動、外傷、高熱のあと発症する例が多いようです。1990年始めにトリプトファンを内服している人にこの病気が多いことに気づきトリプトファンの中止後、その後症例報告が減少しています。古い変性した脂を食べた後、ボレリア感染(ダニに噛まれた後に高熱が出る)のあとにも本症が発症したとする報告もあります。いずれもその発症機序は不明です。血液検査で好酸球の増加、免疫グロブリン上昇があります。赤沈値の亢進、筋原性の酵素の軽度上昇を認めることがあります。通常抗核抗体やリウマチ因子は認められません。病理組織では筋膜周囲のリンパ球、組織球、好酸球の炎症細胞の浸潤があり、筋膜が肥厚して、線維化が見られます。病名が示しますように好酸球が浸潤するのが特徴的ですが、好酸球の浸潤が認められない場合が約1/3あります。
5. この病気は遺伝するのですか
遺伝性の病気ではありません
6. この病気ではどのような症状がおきますか
四肢に対側性に痛みのある紅斑と腫脹が生じて皮下に硬くしこりがでます。皮膚をつまむことが出来にくくなります。一見強皮症の様に見えますが、強皮症のようにレイノー症状や内臓病変はありません。時に関節の痛みを伴いますが、明らかな関節炎はレントゲン検査で認めません。関節の運動制限のために関節拘縮が起こることがあります。強皮症のような、四肢末端、顔面、躯幹に硬化がくることは希です。
7. この病気にはどのような治療法がありますか
副腎皮質ステロイドの内服(20mg/日)に良く反応します。自覚症状の改善に伴って減量し、2−4年の維持療法(5mg前後/日)のあと治療の必要がなくなります。
8. この病気はどういう経過をたどるのですか
自然寛解を来すこともあります。副腎皮質ステロイドの内服により軽快しますが、進行した皮膚硬化や、関節拘縮は難治性です。
情報提供者
研究班名 皮膚・結合組織疾患調査研究班(強皮症)
情報更新日 平成20年4月29日
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