■概念・定義
中・大動脈の動脈炎を主徴とする原因不明の疾患である。その部位は, 頸動脈とその分枝,特に側頭動脈の病変が主であり,大動脈とその分枝部の病変は10〜15%にみられる。臨床症状はリウマチ性多発筋痛症の症状を伴い,後述するように両者は極めて近似した疾患と考えられている。
■疫学
50歳以上の高齢者に発症し,若年者に発症する高安動脈炎と対照的である。男女比はほぼ1:1.7である。地理的な偏り及び遺伝素因が認められ,欧米白人に多く,HLA−DR4との相関が報告されている。病因は不明である。
■病理
巨細胞を伴う汎血管炎を確認する。主に中・大動脈を侵し,リンパ球, マクロファージが巨細胞とともに集積しているのが認められる。内膜は著明に増殖・肥厚し,内弾性板の変性・断裂を認める。巨細胞内に貪食された弾性線維が認められる。内腔には血栓形成を認める。巨細 胞を含む肉芽腫を形成する傾向があり,巨細胞性動脈炎(giant cell arteritis;GCA)とも呼ばれている。主に浅側頭動脈が侵されるが, 頭蓋内の中動脈,大動脈弓やその頸・腕への分枝に病変を認める。
■治療
プレドニゾロン0.6〜0.8mg/kg/日にて治療を開始する。失明の恐れがある場合には、ステロイドパルス療法を含むステロイド大量療法を行なう。ステロイド薬は4週間の初期治療の後に漸減する。10mg/日程度のステロイド薬維持量を必要とする症例が多く、10mg/日未満への漸減はさらに慎重に行なう。ストロイド薬抵抗性の症例、ステロイド薬の漸減に伴い再燃する症例においては、メトトレキサートを中心とした免疫抑制薬の併用を検討する。
■予後
ステロイドに著効し,数年以内に寛解をみる。最も留意すべき点は失明に対する配慮であるが,早期からのステロイド治療により防止が可能である。
難治性血管炎に関する調査研究班から
側頭動脈炎 研究成果(pdf 20KB)
この疾患に関する調査研究の進捗状況につき、主任研究者よりご回答いただいたものを掲載いたします。
情報提供者
研究班名 難治性血管炎に関する調査研究班
情報更新日 平成20年5月15日
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