■概念・定義
アレルギー性肉芽腫性血管炎(allergic granulomatous angiitis : AGA)は、先行症状・所見として気管支炎喘息発作と末梢血好酸球増多を有する症例に、血管炎を生じ、末梢神経炎、紫斑、消化管潰瘍、脳硬塞・脳出血・心筋梗塞・心外膜炎などの臨床症状を呈する疾患である。
■疫学
30〜60歳の女性に好発する。男:女 = 4:6でやや女性に多い。我国における年間新規患者数は、約100例と推定されている。年間の医療受給者数は、約450例である。
■病因
気管支喘息、好酸球増多症を有する症例に発症することから、何らかの抗原刺激により発症すると考えられる。抗原刺激により好酸球が活性化され、好酸球より種々の組織障害因子が放出される。その結果、小動脈〜毛細血管に血管炎を生じ、多彩な臨床症状を呈する。尚、ロイコトリエン受容体拮抗薬で、同様症状を認めることがある。又、抗好中球細胞質抗体の中の抗MPO抗体(抗ミエロぺルオキシダーゼ抗体)が、50%の症例で検出される。此等のことから、ロイコトリエンや抗MPO抗体が、発症に関与していることが考えられている。
■病態
血中の好酸球増加、好酸球性組織障害因子(ECPなど)の上昇、IgE高値が存在する。血管炎の組織では、好酸球の著明な増加を伴った壊死性血管炎や白血球破壊性血管炎(leukocytoclastic vasculitis)が認められる。時に、血管外に肉芽腫形成が観察される。
■症状
種々の臨床症状は、その臓器に分布している血管の血管炎によるものである。末梢神経炎(多発性単神経炎)、筋痛・関節痛、紫斑、胃・腸の消化管出血、肺の網状陰影や小結節状陰影、心筋梗塞や心外膜炎、脳硬塞・脳出血などである。
■診断
3大主要徴候を認めることによる。即ち、・先行する気管支喘息、・血中の好酸球の増加(800/μL以上)、・血管炎症状を認めることによる。さらに病理組織所見が存在すると確実になる。参考所見として、血沈亢進、血小板増加、IgE高値、抗MPO抗体、ECPの上昇などが重要である。
■治療
軽・中等度症例は、プレドニゾロン(PSL)40〜30mg/日で治療する。重症例では、PSL60mg/日かパルス療法とシクロホスファミド1mg/kg/日で治療する。ガンマグロブリン静注療法やIFNαが有効との報告がある。
■予後
上記の治療により、80%の症例は6ヵ月以内に寛解に至る。残りの20%は治療抵抗性であり、ステロイド単独による完全寛解は難しく、寛解・増悪を繰り返す。この内の10%は重篤症例で、重症後遺症を残すか死に至る。寛解例でも時に再発を来す症例があるので、注意を要する。
難治性血管炎に関する調査研究班から
アレルギー性肉芽腫性血管炎 研究成果(pdf 27KB)
この疾患に関する調査研究の進捗状況につき、主任研究者よりご回答いただいたものを掲載いたします。
情報提供者
研究班名 難治性血管炎に関する調査研究班
情報更新日 平成19年6月11日
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