■概念・定義
ミトコンドリア病は筋カ低下,筋萎縮などの骨格筋の症状だけでなく, 知能低下,痙攣,ミオクローヌス,小脳失調,難聴,外眼筋麻痺などの多彩な神経症状がみられる。ミトコンドリア脳筋症のなかでも心臓に症 状を表すものが多く存在する。
■分類
(1)慢性進行性外眼筋麻痺症候群(chronic progressive external ophthalmoplegia;CPEO),
(2)脳卒中様症状を伴うミトコンドリア脳 筋症(mitochondrial myopathy,encephalopathy,lactic acidosis and stroke‐like episodes;MELAS),
(3)Ragged−red fibersを伴うミオク ローヌスてんかん,福原病(myoclonus epilepsy with ragged‐red fibers;MERRF),
(4)ミトコンドリアDNA異常を原因とする心筋症
■病因
CPEOでは数千塩基対の欠失を示す多種類の異常ミトコンドリア DNAの存在が知られている。MERRFでは塩基番号8,344:tRNALys,MELASでは塩基番号3、243:tRNALeuの一塩基置換が見い出されて いる。心筋症に関与すると考えられている点変異として塩基番号 3、260:tRNALeu(uuR),4,317:tRNAlso,4、269:tRNAlso,3、243:tRNALeu(uuR),8、993:ATPase6Leu‐Argなどが報告されている。
■症状
(1)CPEO
外眼筋麻痺筋脱力外眼筋麻痺を主症状とするもので,外眼筋麻痺, 網膜色素変性,心伝導ブロックを3主徴とするKearns‐Sayre症候 群を含む。10歳代に始まることが多い。Kearns‐Sayre症候群は他に筋脱カ,難聴,小脳失調,髄液蛋白上昇,性腺ホルモン異常,糖尿病 などがみられる。
(2)MELAS
10歳代に発症するものが多いが,発作性頭痛,嘔吐に加え,全身の 痙攣発作や片麻痺,同名半盲などの脳卒中様発作がみられる。肥大型心筋症がしばしば伴い,また神経筋症状が軽微で心症状が優位のMELAS不全型も存在する。
(3)MERRF
全身のミオクローヌスに加え小脳失調,深部感覚低下,足変形など がみられることがある。
(4)ミトコンドリアDNA異常を原因とする心筋症
主に肥大型心筋症の所見を示し,糖尿病,低身長,難聴等の全身症 状を伴うことが多いが軽微なものもある。
■予後
CPEOは心ブロックが認められるものでは死亡するものが20%存在 する。MELAS,MERRFは一般に予後不良で30〜40歳代で死亡するものが多い。
特発性心筋症に関する調査研究班から
研究成果(pdf 88KB)
この疾患に関する調査研究の進捗状況につき、主任研究者よりご回答いただいたものを掲載いたします。
情報提供者
研究班名 循環器系疾患調査研究班(特発性心筋症)
情報見直し日 平成19年6月26日
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