難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

原発性アルドステロン症/特定疾患情報

診断・治療指針

1. 原発性アルドステロン症とは
 高血圧症の5%〜10%をしめる病気です。アルドステロンは、ナトリウムの貯留により血圧を上げるホルモンで、副腎(腎臓の上にある小さな内分泌臓器)の腫瘍(大部分は片側の腺腫で、一部が両側の副腎全体が大きくなる過形成)から過剰に作られるのが病気です。

2. この病気はなぜ大切なのですか
 原発性アルドステロン症は、高血圧の中の頻度が高く、脳卒中、心血管疾患の頻度が本態性高血圧よりも高く、またこの病気に特異的な治療があることから、放置すべきではないです。降圧薬による血圧のコントロールだけでなく、アルドステロンの過剰な作用を抑制することが脳卒中、心血管疾患の予防に重要です。

3. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
 本疾患は以前はまれと考えられていましたが、近年では高血圧症の患者の約5-10%を占めると言われています。

4. この病気はどのような人に多いのですか
 若年から高齢者まで広く認められます。どの時期に本疾患を疑い、診断されるかにより発症年齢は様々です。男女差は、女性でやや多い程度です。

5. この病気の原因はわかっているのですか
 副腎に腫瘍ができて、アルドステロンが過剰に作られます。腫瘍の種類に、片側の副腎の腺腫による場合が約80%を占め、両側の副腎全体が大きくなる過形成の場合が8%程度です。これらの腫瘍がなぜできるのかは現時点ではわかっていません。また、遺伝性に副腎に過形成ができる場合がありますが、きわめて稀です。

6. この病気は遺伝するのですか
 通常は遺伝はしません。極めて稀に遺伝する例があります。

7. この病気ではどのような症状がおきますか
 血圧が高くなることが唯一共通した症状です。その他には、血液中のカリウムが低下する場合は、脱力感、筋力低下、多尿などが起こることがあります。野菜や果物の積極的な摂取と減塩食は有効である。また、初期症状が多飲、多尿、夜間尿のことがあります。

8. この病気にはどのような治療法がありますか
1) 手術療法
 副腎の片側だけが腫れた腫瘍の場合は、泌尿器科または腹部外科にて、副腎の腫瘍を取り除く手術を行います。通常は、内視鏡でお腹の中を覗きながら、腫瘍を摘出します(腹腔鏡下副腎摘出術)。この手術法では翌日から歩行、食事が可能です。

2) 薬物療法
手術が無理な方、希望しない方、あるいは両側の副腎が腫れた場合は、薬で血圧を調節します。なお、アルドステロンは脳卒中、心筋梗塞、腎不全などの危険因子なので、可能な限り早くアルドステロンを正常化する必要があります。


情報提供者
研究班名 内分泌系疾患調査研究班(副腎ホルモン産生異常)
情報更新日 平成20年1月28日

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