難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

重症筋無力症/特定疾患情報(公費負担)

診断・治療方針認定基準

1. 重症筋無力症とは
末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、脳の命令によって神経側から遊離されるアセチルコリンの筋肉側の受け皿(アセチルコリン受容体)を攻撃する抗体が原因とされる病気です。全身の筋力低下、易疲労性を特徴として、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴です(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型とよんでいます)。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
1987年の調査では推定有病率は人口10万人あたり5.1人で、全国患者数は約6,000人と推定されていますが、現在は10,000人を超えていると考えられます。

3. この病気はどのような人に多いのですか
男女比は1:2で女性に多く、眼筋型の40%は幼年・若年層が占め、全身型は20から60歳代を中心に各年齢に分布しています。

4. この病気の原因はわかっているのですか
神経筋接合部の筋肉側に存在するアセチルコリン受容体が抗体によって障害を受け、神経の命令が筋肉に十分伝わらなくなるために起こってくる病気です。最近抗アセチルコリン受容体抗体陰性の患者さんの一部に抗MuSK抗体を有する患者さんが存在することが明らかになってきました。なぜこのような抗体が作られてくるのかは、まだわかっていません。約70%の患者さんにおいて胸腺の異常(胸腺腫,胸腺過形成)がみられることより、発病の引き金として胸腺の関与が疑われています。

5. この病気は遺伝するのですか
遺伝しません。

6. この病気ではどのような症状がおきますか
全身の筋力低下、易疲労性が出現して、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状がでやすいことが特徴です。症状が強くなると嚥下や発語が困難となり、さらに悪化した場合は呼吸ができなくなることもあります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか
発症年齢、重症度、胸腺異常の有無により治療法が選択されます。対症療法として、コリンエステラーゼ阻害薬が使用されますが、根治的には免疫療法が必要です。それには、胸腺摘除手術、ステロイド薬投与、免疫抑制薬投与、血液浄化療法などがあります。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか
昔は多くの患者さんが亡くなられていましたが、治療法の進んだ現在では亡くなられる患者さんはごくまれになりました。社会復帰状況をみますと、約50%の患者さんは発病前と同じ状況にまで回復されますが、仕事ができなかったり、身の回りのことに介助が必要になるケースも約10%の患者さんでみられます。


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