難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

脊髄性進行性筋萎縮症/診断・治療指針

特定疾患情報

■概念・定義
脊髄性進行性筋萎縮症(SPMA)は、下位運動ニューロンのみが障害される運動ニューロン疾患の一型で、上位運動ニューロン徴候を伴わないことが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と異なる点である。

■疫学
十分な疫学調査はないが、筋萎縮性側索硬化症(人口10万人当たり2〜3人)よりは少ない。

■病因
近年の遺伝子解析で、乳幼児期に発症する常染色体性劣性遺伝を呈する脊髄性筋萎縮性(Werdnig-Hoffmann病、Kugelberg-Welander病)のうち第5染色体長腕(5q)に遺伝子座がある家系が報告されているが、病因は未だ不明である。

■病型と症状
(1)遺伝性脊髄性進行性筋萎縮症
1) Werdnig-Hoffmann病

常染色体性劣性遺伝を示す。出生直後から1〜2歳に発症し、四肢近位部優位の筋萎縮、筋緊張低下、筋力低下を示す。腱反射は初期には認められるが、後に消失する。筋緊張低下が著しいと乳児として印象的な症状から、floppy infant (ぐにゃぐにゃ児)と呼ばれる。

2) Kugelberg-Welander病

常染色体性劣性遺伝が基本であるが、優性遺伝例も報告されている。児童期から思春期にかけて、下肢近位筋の筋力低下で発症し、筋萎縮、筋力低下、腱反射消失を主徴とする。次第に障害は全身に拡がり、進行性で運動機能が低下する。 早期から歩行困難に陥るが、就学、社会生活は10〜20年の長期にわたり可能な場合がある。

(2)狭義の脊髄性進行性筋萎縮症
孤発性で、成人から老年にかけて発症し、緩徐に進行する。多くの場合上肢遠位に始まる筋萎縮、筋力低下、筋線維束性収縮、腱反射低下が見られる。これらの症状は、徐々に全身に拡がり、運動機能が低下する。四肢の近位特に肩甲帯の筋萎縮で初発する場合もある。本型は、経過が長く、末期になっても球麻痺症状や呼吸障害は目立たない。

■治療・予後
明らかな症状改善あるいは進行を阻止する薬物治療は実用化されていない。病勢の進行を遅らせる生活療法、理学療法や、運動機能低下を代替する装置や器具を用いる。

予後は、遺伝の有無、発症年齢などにより異なる。出生直後に発病するWerdnig-Hoffmann病は急速に重症化するが、思春期以降に発症する場合は経過が長く筋萎縮性側索硬化症より明らかに予後は良好である。


神経変性疾患に関する調査研究班から
研究成果(pdf 28KB)
この疾患に関する調査研究の進捗状況につき、主任研究者よりご回答いただいたものを掲載いたします。

この疾患に関する関連リンク
神経変性疾患に関する調査研究班ホームページ

情報提供者
研究班名 神経・筋疾患調査研究班(神経変性疾患)
情報見直し日 平成17年5月30日

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