冗談ドラゴンクエスト II 冒険の書・3

メニューへ 勇者「おい、王子」 王子「なんでしょう?」 勇者「いや、呼んでみただけだ」 王子「はあ……」 勇者「うむ、やはり話し相手がいるというのはいいもんだ」 ナレ「あの……わたしもいますけど」 勇者「おまえは、話し相手じゃないだろ。テレパシーでの会話だし、他人の目には俺がブ ツブツと独りで呟いている危ない奴と思われてるんだぞ」 ナレ「それはどうもです。冒険のストーリーを端折ってサマートリア王子を仲間にするの を急いだのはそのためだったのですね」 王子「あの……。誰と話しているんですか?(ナレとの会話は聞こえていない)」 勇者「ほらな」 ナレ「納得しました」 勇者「もう話しかけないで、解説だけしてろ」 ナレ「判りました」 勇者「ところで王子よ」 王子「なんでしょう?」 勇者「おまえ、なんでレベル1なんだよ」 王子「はあ?」 勇者「だってよ。モンスター徘徊する平原や洞窟を難なくクリアして、あっちの町、こっ ちの城と廻り廻ってきたんだろ?レベルアップしてて当然だろ」 王子「実はですね、一人じゃ怖くて逃げ回ってたんですよ」 勇者「逃げ回ってた?洞窟なんか狭い通路じゃ逃げられないだろ?」 王子「穴掘って隠れたり、水の中に潜ったりして、モンスターが通り過ぎるのを、息をひ そめてました」 勇者「とんでもねえ奴だな。忍者のスキルがあるんじゃないか?」 王子「いやだなあ、ドラクエに忍者なんて職業ないですよ」 勇者「とにかく足手まといにはなるなよ」 王子「わかりました」 勇者「さて、次の行動予定は……『ぎんのカギ』を手に入れることか」 王子「それは、ルリザの北西の湖の洞窟にあると聞きました」 勇者「よし、早速行こう」 王子「その前に、装備を整えましょう」 勇者「おい、武具屋」 武具「へい、らっしゃい!」 勇者「見せてみろや。お勧めは?」 武具「へい。くさりがま330G、くさりかたびら390Gです」 勇者「よし、その二つをくれ」 武具「ありがとうございます。装備されますか」 勇者「おうとも。装備してくれ」 武具「装備しなくてはね。お似合いですよ」 王子「あの……。自分のは?」 勇者「まだ一匹もモンスター倒してないのにか?」 王子「パーティーの面倒を見るのも勇者の勤めではないですか」 勇者「そうはいっても、もう金がねえよ」 王子「外した装備を売ればいんですよ。せいなるナイフくらい買えるじゃないですか」 勇者「しようがねえ、ほれ、せいなるナイフだ」 王子「ありがとうございます」 勇者「じゃあな武具屋」 武具「またのおこしを」 勇者「おい、そこの禿げてるおっさん、なにしてんだ?」 男 「わっ!いきなり話しかけないでくれ!おしっこが足にかかったじゃないかっ」 勇者「なんだ、たちションか」 ナレ「こうして装備を整えた二人は、北西の湖の洞窟へ向かって冒険を開始したのであっ た」
     

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