冗談ドラゴンクエスト
冒険の書・18

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滝の裏側 ナレ2「コンラッドが放った矢は、見事滝のそばの木に絡まった」 ナタリー「やったね!」 コンラッド「さてと、ここからが大変ですよ(ロープを軽く引いて、しっかりと木 に掛かっているのを確認する)」 リリア「どうするんですか?」 コンラッド「このロープを伝って向こうの崖に渡ります(言いながら、ロープのも う片端を近くの木に結び付けた)」 ナタリー「大丈夫ですか?」 コンラッド「見ていてください(とロープを伝って渡り始める)」 ナレ1「弛んだロープは川面に浮かび、コンラッドはそれを伝って慎重に川の中を 渡ってゆく」 ナレ2「やがて滝の真下脇にたどり着くと、真上の木に向かって登り始めた」 ナレ1「木にたどり着くと、掛かっているロープをピンと張るようにしっかりと結 びなおした」 ナタリー「大丈夫ですか?(大声で)」 コンラッド「大丈夫です(大声で返す)ちょっと中を見てきます」 ナレ1「コンラッドのいる木から洞窟の穴までは、少し距離があったが、ロープの 残りを身体に縛り付けて安全を確保して、慎重に壁伝いに洞窟へ渡った」 ナレ2「危なげにも無事に洞窟にたどり着いたコンラッドは、身体に縛り付けてい たロープを外して、洞窟内にまで根を張っていた木に結び付けた」 コンラッド「さてと、洞窟は……だいぶ先まで続いているようだな」 ナレ1「残した者達のことも気になるが、まずは洞窟内を調べることが肝心だ。行 き止まりだったら全員で来ても意味がない」 ナレ2「30分ほどして、コンラッドが洞窟入り口に出てきた」 リリア「コンラッドさん!どうでしたか?」 コンラッド「今から戻りますよ」 ナレ1「レスキュー隊よろしく、するするとロープを伝って一行のいる対岸へ戻る コンラッド」 勇者「すごいな、まるで猿だな」 リリア「勇者さん、失礼ですよ」 コンラッド「いいんですよ。気にしません」 ナタリー「それで洞窟の中はどうでしたか?」 コンラッド「行けば分かりますが、ビックリしますよ」 勇者「なんだ、意味深だな」 リリア「このロープを渡るんですか?(怖気づいている)」 コンラッド「大丈夫ですよ。ここにもう一つのロープを用意します。張ったロープ を通すように輪っかを作ってもう一方を勇者さんの身体に巻き付けます。そしてグ イと押し出すと」 勇者「な、何をするんだ。あ、ああ!」 ナレ1「スーっと勇者は、ロープを伝って前へ進んでいく」 ナタリー「これが本当のロープウェイね」 勇者「馬鹿野郎!なんてことすんだよお(大声で叫んでいる)」 コンラッド「そこから洞窟へ入って下さい。入ったらロープを外して(大声で)」 勇者「分かったよ。こんなところにいつまでもぶら下がってられっかあ!」 ナレ1「言われた通りに洞窟へ飛び移り、身体のロープを外す勇者。それを見届け て、ロープに括り付けていた補助紐を引くと、移動用ロープは戻ってくる」 コンラッド「リリアさん。今のように渡って下さい」 リリア「ええ!あたしもですか?」 ナタリー「行くしかないでしょ。元の身体に戻りたければね」 リリア「(じっと考え込んでいたが)分かりました。行きます」 ナレ1「おっかなびっくりだが、意を決してロープを巻き付け飛び出した」 ナレ2「見事無事に洞窟へ渡り、続いてナタリー、そしてコンラッドと全員が洞窟 へ渡るのに成功した」 勇者「で、洞窟の先には何があるんだ?」 コンラッド「進みます。行けば分かります」 勇者「同じこと言うんだな。訳ありか?」 ナタリー「いいじゃない、行けば分かるというんだから」 ナレ1「というわけで、ともかく洞窟内を前へと進みだす一行だった」 ナレ2「ピトピトと地下水が染み出る洞窟をに突き進んでいくと、前方に光が見え てきた」 リリア「出口だわ!」 ナレ1「出口が見えたということで、自然足早になるのだった」 ナタリー「出たわ!」 リリア「何よ、これは!」 ナレ1「目の前には、見渡す限りの原野が広がっており、周りは崖が取り囲んで中 心には大きな湖が青い水をたたえていた。いわゆる外輪山に囲まれたカルデラ地形 の中だろうか」 リリア「凄いですね」 勇者「滝の中のトンネルを抜けると、そこは別世界だった」 ナタリー「なんか聞いたような言葉ね」 リリア「このどこかにクアール最高導師様がいらっしゃるのでしょうか?」 コンラッド「大神官様から頂いた、導きの羅針盤が反応しています」 リリア「それは何ですか?」 コンラッド「どうやら魔力に反応するようでして、最高導師様の居場所を指し示す そうです」 リリア「魔力ならナタリーも持ってますよね」 ナタリー「あたしなんかクアール様の足元にも及びませんよ」 勇者「だよな、羅針盤も全然反応しねえし、そもそも売春婦だろ」 コンラッド「売春婦にこだわるんですね」 勇者「日本軍性奴隷制被害者と言わないだけましだろ」 コンラッド「とにかく、羅針盤が指し示している方角に向かいましょう」 リリア「クアール様は本当にいらっしゃるのでしょうか?」 ナタリー「ここまで来たんだもの。信じて進むしかないでしょ」 ナレ1「羅針盤の示す方向へと歩むこと5時間、日が暮れ始めた来た」 コンラッド「今日はここで野宿しましょう」 勇者「ちょっとおかしくないか?」 リリア「なにがですか?」 勇者「足が棒になるほど歩いたというのに、反対側にたどり着かないってのはよお。 そんなに広い窪地じゃないだろ?」 コンラッド「気づいてましたか」 勇者「気づくさ。見た目、1時間もあれば端まではおろか、周囲をぐるりと回れる はずだぜ」 ナタリー「だって結界の中を進んでいるんだものね」 勇者「結界だって?」 ナタリー「隠遁していらっしゃるクアール様が、そうそう簡単に人里の者と会うは ずがないでしょ。この結界は、私達の本気度を試してらっしゃるのよ」 リリア「本気度ですか?」 ナタリー「そうよ。今日は歩かされるだけだったけど、明日からは強力なモンス ターをぶつけてくるかもね」 勇者「分かった!引き返そうぜ」 コンラッド「さあ、今日はもう休んで明日に備えましょう」 勇者「おい、聞いてんのかよ」 ナタリー「さあ、寝よう寝よう」 ナレ1「勇者を無視して、野宿の支度をはじめる一行だった。やがて夜が更け、朝 が来る」 コンラッド「さあ、気を引き締めて行きましょう」 ナタリー「クアール様がどんな試練を与えるかが問題ですね」 コンラッド「モンスターをぶつけてくる物理攻撃か、幻惑視などの精神攻撃なのか、 しっかりと見極めなければなりませんね」 リリア「昨日は幻惑視だったということですよね。すると今日はモンスター?」 コンラッド「ともかく羅針盤の示す通りに進みましょう」 勇者「ちぇっ!面倒くさいな」 ナレ1「と、突然モンスターが現れた」 コンラッド「おいでなすった!」 ナレ1「スライムが現れた!」 勇者「こいつなら楽勝だぜ、それ!」 ナレ1「スライムは仲間を呼んだ。スライムが十匹になった」 ナレ2「なんとスライムたちがどんどん合体していく」 ナレ1「なんとキングスライムになってしまった」 ナタリー「仲間を呼ぶモンスターか、厄介だわ」 コンラッド「素早く倒さないとキング化しますからね。言いながらキングスライム を倒す」 ナレ1「ドロルメイジが現れた!」 ナタリー「ああ、こいつはマホトーンかけてくるわね」 コンラッド「まかせてください」 ナレ1「腰の剣を抜くと、えいやっと斬りかかる」 ナレ2「次から次へと現れるモンスターを倒してゆく一行。最初はかなりの頻度で 現れたが、やがて少なくなってゆく」 勇者「もしかして種切れか?」 ナレ1「大神官ハーゴンが現れた!」 勇者「ハーゴンだと!?ドラクエUのラスボスじゃないか。フェリス王国の大神官 の回し者か?」 コンラッド「まさか……とにかく、気を引き締めていきますよ。ナタリーさん攻撃 魔法できますか?」 ナタリー「攻撃魔法ね。分かったわ」 勇者「こいつとの対戦にはスクルトが有効だぜ、甘い息掛けられても多少耐えられ る。ベホマ使われないようにマホトーンを掛けるのも良作だ」 ナタリー「全部あたしの役目じゃない。あんたのやることないの?」 勇者「俺は遊び人だぜ。せいぜい応援するだけだ。それ!フレーフレー(と応援団 長よろしく踊り始めた)」 ナタリー「使えねえ奴だな」 リリア「あたしは、回復薬で支援しますね」 コンラッド「お願いします」 ナレ1「ナタリーとリリアの支援を受けて勇猛果敢にハーゴンに飛び掛かるコンラ ッド。悪戦苦闘しながらも何とか倒すことに成功する」 リリア「やったあ!倒しました」 ナタリー「さすが正義の騎士。惚れちゃうわね」 勇者「さあ、エンディングだあ!テーマソング高らかに……あれ?」 ナレ1「ハーゴンは倒され消え去ったが何事も起こらない。いや、地面をよく見る と何やら紋章が出現していた」 コンラッド「これは、クアール最高導師様の紋章です」 勇者「なぬ?するとこの紋章の上に乗ると、クアールさんとやらの所に行けるって ことか?」 ナタリー「何のこと?」 勇者「そうじゃないか。2Dマップの上に描かれた城や町の図柄の上に乗ると、そ の内部に入れるじゃないか。ワープゾーンだよ」 リリア「相変わらず、ドラクエなんですね」 勇者「あったりめえよ。冗談ドラゴンクエストだろうが」 ナタリー「これが罠ということも考えないの?」 勇者「これ以上、当てもなく歩き回る方が馬鹿だよ。俺は行くぜ!(と紋章の上に 乗る)」 リリア「消えました!?」 ナタリー「どこへ飛んだ?奈落の落とし穴かな?」 コンラッド「とにかく、彼を放っておくわけにはいきません。我々も続きましょ う」 ナタリー「そうね。クアール様もそうそう酷いことしないでしょう」 リリア「行きましょう」 ナレ1「意を決して、勇者の後を追って紋章の上に乗る一行だった。途端にどこか へと消え去った」

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