美津子 II(美人教師の戯れ)
「君は石川君に対して個人授業を行っているそうだね」
唐突に核心をつく田島であった。
「はい。最近成績が急激に落込んでいましたので、補習授業をしてさしあげま
したわ。彼は野球部のエースで学校も春の選抜には期待していますけど、私の
教えている科目の成績が悪くて単位を取れないんですよ。当校は文武両道の有
名校ですし、そこのエースが落第なんて世間にしれたら、評判を落しかねませ
ん。来年の入学志願にも悪影響を与えますから、自分の判断で補習を……いけ
ませんでしたか」
「君の学校を思う気持ちは良く判った。しかし、他の一般の生徒がそのことを
知ったらどう思うか考えたのかね」
「考えました。でも一番これが良いと判断しました。前回の試験では及第点を
取って安心しましたわ」
「まあ、それはそれで良いとしてだな……もう一つ別なことも教えているので
はないか?」
「別なこと……?」
「つまり……ベッドの上でだな……」
核心をついてきたわね。
美津子は思ったが、わざとはぐらかすように言った。
「ベッドの上でとは何のことでしょうか」
「隠し通そうとしても、無駄だぞ。君と彼とがラブホテルから出てくるのを見
たという人がいるのだ。それをなんと説明するつもりだ」
田島の口調が強くなってきていた。
もしかしたら現場を見たのは田島自身に違いないわね。たぶん自分も誰かど
こかの女性と一緒だったのよ。
美津子は田島の女好きな性格をよく知っていた。
逆に見られたのが田島であったのが良かったと思った。
この田島ならどうにでもできるわ。
「わかりました。白状します」
「ほほう。では言ってみろ。何をしていたのか」
田島は勝ち誇ったように薄笑いを浮かべていた。
「はい。わかりました」
美津子はゆっくりとブラウスのボタンをはずしはじめた。
「な、何をする」
「何をするって、そのときのことを再現してさし上げようとして思いまして。
口でいうより実際にやってみたほうが、先生もよくわかりますでしょう」
「ちょ、ちょっと待て」
「あら、何をしていたかって、お聞きになったのは先生ですわ」
美津子はかまわず衣服を脱ぎにかかる。
すでにブラウスは脱ぎ終りテーブルの上に置かれている。
美津子は立ち上がってスカートのファスナーに手をかけた。
「待ってくれ」
田島は狼狽していた。
本来、自分が主導権を握るつもりでいたのに、逆に美津子のペースに乗せら
れていたからだ。
「あら、どうしてですの。ここまできて今更後には引けませんわよ」
スカートを脱いでブラウスの上に重ねる。
「どう、この下着素敵でしょう」
美津子は、下着だけになった身体を田島に見せつけるように、ファッション
モデルがするように二回ほどその場でターンしてみせた。
ラッセルレースの上に二色使いの刺繍を施したブラジャーがやさしく美津子
の胸をおおっている。豊かな胸が身体の動きに合わせてふるふると小気味よく
ゆれる。
「私ね、パンストは嫌いだから履きませんのよ。だって蒸れるし静電気が起き
てスカートが足にまとわりついちゃうし……」
確かにパンストは履いていない。いわゆる悩殺三点セットと呼ばれるガータ
ーベルトにストッキングそしてパンティーである。ブラとお揃いのこの下着を
美津子は好んでつけていた。それも通信販売で買うような安物ではない。銀座
や青山の高級下着専門店で見つけてくるのだ。
下着だけではない。身に付けるものすべて高級品である。資本がかかってい
るのだ。
美津子がいわゆるお嬢様であるがゆえに可能なことなのであるが……ま、そ
の辺の事情はまた別の機会にゆずることにしよう。
「先生もお脱ぎになってください」
「馬鹿な」
「あら、だってそうしないと、再現ができませんわ。つまり先生に敏夫君の役
をやって頂かなくちゃ」
「役だと……」
「そうですわ。さあ、はやく」
そう言って美津子は、田島の足元に膝まずきベルトをはずしはじめた。
「待ってくれ」
田島は制止しようとしたが、口とはうらはらに身体は拒絶しようとはしてい
なかった。そのモノは張り裂けんばかりに膨らんでいる。
「まあ、こんなになっちゃって。先生のここって正直なのね」
ズボンはすでに床の上に落ちている。
パンツをずり下ろし田島のモノをくわえ込む。
「むうう……」
思わず吐息をもらす田島であった。
美津子の舌技は絶妙。数多くの男達をこなしてきただけのことはある。
好むと好まざるとにかかわらず、すでに田島は完全に美津子の手中にあった。
「うう……」
イキそうになったのか、田島は両手で美津子の肩を突き飛ばすようにして、
むりやり引き離した。
男として三分も持たないうちにイッてしまっては顔がたたない。
田島は肩で息をし、呼吸は乱れあえいでいた。
「こんなことを……していたのか……」
「ええ、そうですわ」
本来美津子を手込めにして自分のいいなりにさせるつもりだった田島であっ
たが、逆に美津子に完全にもて遊ばれている。しかも興奮状態の中でそれに気
がついていないことも田島にとっては不幸としかいえなかった。
さて、どう料理しようかしら。
最初に声をかけられた時はどうしようものかと思案したが、こうなった今で
は楽しむだけ楽しんじゃえという心の余裕すらうまれていた。
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