美津子 II(美人教師の戯れ)

「あら、先生。どうなさいましたの」
 と言って、美津子は最後の一枚を脱ぎ捨てた。

 ここは学年主任室。
 応接セットのソファーの上に全裸になった美津子と、裸の美女を前にたじろ
ぐ田島教諭の二人きりだった。
「き、君は何を考えているんだ。ふ、服を着なさい」
 そう言いながらも、田島の股間は張り裂けんばかりにふくらんでいた。必死
にそれをかくそうとしてる。
「ふふふ」
 美津子は笑った。
「男の方ってみな根はスケベですのね。口では真面目をよそおっていても、身
体の反応はかくせないみたいですわね。本当は私を押し倒したいと思ってらっ
しゃるくせに」
「ば、馬鹿な」
 反射的に田島は否定した。
 しかし田島の視線は、美津子の豊かな胸や股間の茂みに釘付けになっていた。
 美津子の美しさは完璧といってよかった。みずみずしい肌、流れるようなボ
ディーライン、すべての男を虜にしてしまう妖艶さを全身で表している。

「本条先生。ちょっといいですか」
 美津子が学年主任の田島教諭に呼び止められたのは、その日最後の授業を終
えて帰り自宅をしていた時だった。
「田島先生、なんでしょうか」
「うん、実は三年五組の石川敏夫君のことなんだが……」
「敏夫君……?」
「ああ、そのことで話しがある。ちょっと学年主任室まで来てくれないか」
「わかりました」
 先に職員室をでた田島の後について美津子も身なりを整えてから出ていく。
 大理石風のコンクリート廊下に美津子のハイヒールの音が軽やかに響き渡る。
 今日の美津子の服装は、ちょっと胸のはだけたシルクジョーゼットのブラウ
スに、紺のタイトスカートそれもちょっとかがむと中のパンティーがみえてし
まうという超ミニである。それはプロポーションに絶体の自信を持つ美津子な
らではというべきか。
 その美貌に少年達はついみとれ、少女達は深いためいきをもらす。

 学年主任室は職員室をでて右に廊下を渡った突き当たりにある。
「どうぞ、はいって」
 田島は促すように美津子を先に部屋の中に通した。
 カチャリ。
 その時、田島が後ろ手に部屋の鍵をかけるのを美津子は見逃さなかった。
「そういうわけね……」
 美津子はすべてを悟ったようにつぶやいた。

「石川敏夫君のことでお話がおありだそうですけど」
「うん、実はだね……」
 田島はもったいぶったような口調で、話題をすぐには切り出さなかった。美
津子の反応を探っているという風だ。胸ポケットからタバコを取り出して、
「吸ってもいいかね?」
 紳士的に尋ねた。
 紳士的?
 普段なら他人のことなどお構い為しにパカパカ吸ってるくせに。職員会議の
時なんかいつも灰皿を山にしている人物なのだ。
 見えすいてるわ。
 美津子は思った。ここはいかにも自分は紳士なんだと主張しておきたいのだ
ろう。その魂胆も良くわかっているが。
 それが証拠に、その視線は美津子のブラウスの襟元からのぞかれる豊かな胸
の谷間やミニスカートの裾のあたりに注がれているではないか。
 美津子はわざと足を組みかえてみる。田島のいる位置からミニスカートの中
のパンティーが良く見えるようにである。
 一瞬田島の視線の動きが止まるのが、はっきりとわかった。
「どうぞ……」
 表情には出さずに事務的に美津子は答えた。

「君は石川君に対して個人授業を行っているそうだね」
 唐突に核心をつく田島であった。
「はい。最近成績が急激に落込んでいましたので、補習授業をしてさしあげま
したわ。彼は野球部のエースで学校も春の選抜には期待していますけど、私の
教えている科目の成績が悪くて単位を取れないんですよ。当校は文武両道の有
名校ですし、そこのエースが落第なんて世間にしれたら、評判を落しかねませ
ん。来年の入学志願にも悪影響を与えますから、自分の判断で補習を……いけ
ませんでしたか」
「君の学校を思う気持ちは良く判った。しかし、他の一般の生徒がそのことを
知ったらどう思うか考えたのかね」
「考えました。でも一番これが良いと判断しました。前回の試験では及第点を
取って安心しましたわ」
「まあ、それはそれで良いとしてだな……もう一つ別なことも教えているので
はないか?」
「別なこと……?」
「つまり……ベッドの上でだな……」
 核心をついてきたわね。
 美津子は思ったが、わざとはぐらかすように言った。
「ベッドの上でとは何のことでしょうか」
「隠し通そうとしても、無駄だぞ。君と彼とがラブホテルから出てくるのを見
たという人がいるのだ。それをなんと説明するつもりだ」
 田島の口調が強くなってきていた。
 もしかしたら現場を見たのは田島自身に違いないわね。たぶん自分も誰かど
こかの女性と一緒だったのよ。
 美津子は田島の女好きな性格をよく知っていた。
 逆に見られたのが田島であったのが良かったと思った。
 この田島ならどうにでもできるわ。
「わかりました。白状します」
「ほほう。では言ってみろ。何をしていたのか」
 田島は勝ち誇ったように薄笑いを浮かべていた。
「はい。わかりました」

 美津子はゆっくりとブラウスのボタンをはずしはじめた。
「な、何をする」
「何をするって、そのときのことを再現してさし上げようとして思いまして。
口でいうより実際にやってみたほうが、先生もよくわかりますでしょう」
「ちょ、ちょっと待て」
「あら、何をしていたかって、お聞きになったのは先生ですわ」
 美津子はかまわず衣服を脱ぎにかかる。
 すでにブラウスは脱ぎ終りテーブルの上に置かれている。
 美津子は立ち上がってスカートのファスナーに手をかけた。
「待ってくれ」
 田島は狼狽していた。
 本来、自分が主導権を握るつもりでいたのに、逆に美津子のペースに乗せら
れていたからだ。
「あら、どうしてですの。ここまできて今更後には引けませんわよ」
 スカートを脱いでブラウスの上に重ねる。
「どう、この下着素敵でしょう」
 美津子は、下着だけになった身体を田島に見せつけるように、ファッション
モデルがするように二回ほどその場でターンしてみせた。
 ラッセルレースの上に二色使いの刺繍を施したブラジャーがやさしく美津子
の胸をおおっている。豊かな胸が身体の動きに合わせてふるふると小気味よく
ゆれる。
「私ね、パンストは嫌いだから履きませんのよ。だって蒸れるし静電気が起き
てスカートが足にまとわりついちゃうし……」
 確かにパンストは履いていない。いわゆる悩殺三点セットと呼ばれるガータ
ーベルトにストッキングそしてパンティーである。ブラとお揃いのこの下着を
美津子は好んでつけていた。それも通信販売で買うような安物ではない。銀座
や青山の高級下着専門店で見つけてくるのだ。
 下着だけではない。身に付けるものすべて高級品である。資本がかかってい
るのだ。
 美津子がいわゆるお嬢様であるがゆえに可能なことなのであるが……ま、そ
の辺の事情はまた別の機会にゆずることにしよう。
「先生もお脱ぎになってください」
「馬鹿な」
「あら、だってそうしないと、再現ができませんわ。つまり先生に敏夫君の役
をやって頂かなくちゃ」
「役だと……」
「そうですわ。さあ、はやく」
 そう言って美津子は、田島の足元に膝まずきベルトをはずしはじめた。
「待ってくれ」
 田島は制止しようとしたが、口とはうらはらに身体は拒絶しようとはしてい
なかった。そのモノは張り裂けんばかりに膨らんでいる。
「まあ、こんなになっちゃって。先生のここって正直なのね」
 ズボンはすでに床の上に落ちている。
 パンツをずり下ろし田島のモノをくわえ込む。
「むうう……」
 思わず吐息をもらす田島であった。
 美津子の舌技は絶妙。数多くの男達をこなしてきただけのことはある。
 好むと好まざるとにかかわらず、すでに田島は完全に美津子の手中にあった。
「うう……」
 イキそうになったのか、田島は両手で美津子の肩を突き飛ばすようにして、
むりやり引き離した。
 男として三分も持たないうちにイッてしまっては顔がたたない。
 田島は肩で息をし、呼吸は乱れあえいでいた。
「こんなことを……していたのか……」
「ええ、そうですわ」
 本来美津子を手込めにして自分のいいなりにさせるつもりだった田島であっ
たが、逆に美津子に完全にもて遊ばれている。しかも興奮状態の中でそれに気
がついていないことも田島にとっては不幸としかいえなかった。
 さて、どう料理しようかしら。
 最初に声をかけられた時はどうしようものかと思案したが、こうなった今で
は楽しむだけ楽しんじゃえという心の余裕すらうまれていた。

 目の前には、美津子の裸体に目を奪われて呆然と立ちすくむ田島がいた。
 下半身裸のその股間のモノは張り裂けんばかりに怒り狂っている。

「まあ、素敵」

 田島の性格はともかく、そのモノは今までのどの男よりも立派であった。
 美津子は、欲しくなった。
「これはどうしても田島をその気にさせるしかないわね」

 美津子は次のステップに入るべく、ソファーの上に膝をつくようにして座る
と田島を手招きした。
「さあ、先生続きをやりましょう」
 と言って、下着を脱ぎはじめた。
 腕を後ろに回して、ブラのホックをはずす。
 美津子のしなやかな指がブラの肩紐にかけられ、そのなで肩から肌をすべる
ようにしてゆっくりと静かにずりおろされていく。
 乳首がブラの生地の端に引っかかって、ぷるんとはじけるようにあらわれる
美津子の豊満な胸。何人の男に揉みしだかれたのだろうか、その形良く整った
山肌と谷間の稜線の美しさは、男をして放心状態に導く神の造形であった。
 一挙一動が計算されつくされた官能的な動きをもって、田島の視線は完全に
釘付けであった。
 美津子は田島に見せつけるようにたっぷり時間をかけてブラを脱ぎ終ると、
右手を差し出すようにしてそのブラをひらひらと宙にかざしてみせた。そっと
手をゆるめると一瞬指にまとわりついたかと思うと、ブラはテーブルの上に舞
い降りるように静かに落ちた。
 田島の視線がそれを追ってガラステーブルへと移動する。
 そこにはまだ温もりが残っているだろう美津子のブラが、冷たいガラステー
ブルの上でブラウスとスカートと共に仲良くならんで輝いているようにみえた。

「先生……」
 美津子はさらにガーターベルト、ストッキングを脱いでゆく。
 そして最後の一枚に手がかかった。美津子のしなやかな手が、肌を這うよう
にゆっくりとした動きで、パンティーの縁にかかったところでふと止まる。す
こし腰を上げるようにしてすこしずつすこしずつパンティーをずらしていく美
津子。熱い視線を田島の方に投げかけながら、時々ためいきにもにた表情を見
せる……。

「あら、せんせい。どうなさいましたの」
 と言って、美津子は最後の一枚を脱ぎ捨てた。

 結局美津子はすべての衣類を自分で脱いでしまったが、お気に入りの下着を
田島になんかに触れられたくなかったのだ。それが恋人であったならば、少し
ずつ下着を脱がされるという行為もまた興奮していいものであるが……。ちょ
っとした微妙なる女心といったところか。
 だが今の相手は田島である。目的はその股間のモノだけでしかなかく、単な
るセックスマシンであればいいのである。
 時には娼婦のように。
 美津子の現在の心境である。
 美津子はソファーから降りて、呆然と立ちすくむ田島ににじり寄ると、その
手を取って自分の胸にあてがった。
「どう? あたしの胸の感触、素敵でしょ。こうやって敏夫君にも愛撫しても
らったのよ」
「石川が?」
「そうよ」
 と言って、美津子がじりじりと後ずさりをはじめると、手を取られている田
島もつられて前のめりにながらも追従してくる。
 ソファーの縁に美津子の足が触れる。
 ここぞとばかりにソファーに倒れ込む美津子。手を取られたままの田島も、
バランスを失って、美津子においかぶさるように倒れ込んだ。
 その瞬間を他人が見たら、田島が美津子を押し倒したかのように感じるであ
ろうか。
 美津子の豊かな胸の谷間にうずもれるようにして、田島の顔があった。美津
子は田島の頭を抱えて、自分の乳房に押し付けていたのだ。
「うふふ。先生もやっぱりお好きなのね。私をソファーに押し倒すなんて」
「ち、違う……」
 田島は真っ赤になって否定した。
「いいのよ、先生。とりつくろわなくっても。男なんですもの、それくらいの
積極さがなくっちゃいけませんわ」
「ちがうんだ。足がもつれて……」
 言い訳を続ける田島であったが、美津子の誘導でそうなったことに少しも気
づいていない。完全に舞い上がっていて冷静な判断力を失っていた。
「さあ、つづきをはじめましょうか」
「つづき……?」
「そ・う・よ」
 美津子は田島の耳にささやくように言った。
「お乳を触って下さいな」
「なんと」
「だから、敏夫君と同じ事をするのですのよ。ちゃんとやって頂かないと」
「こ、こうか」
 田島は、美津子の胸を震える手で揉みはじめた。
「そうよ。そんな感じでしたわ。そのまま続けてくださいませ」
「わかった」
「あ、感じる。次は乳首を吸ってください」
「こ、こうか」
「そうよ。もっと強く吸って、舌で転がすようにして」
「わ、わかった。こうだな」
「あ……いいわ。じゃあ、次はここよ」
 美津子は田島の手を自分の下腹部の花園へと誘導して言った。
「ここも触ってもらいましたのよ」
「ここもか」
「そうよ、やさしく愛撫してね」
 美津子のいいなりに愛撫を続ける田島であった。もはや完全に意識は美津子
に支配されてしまっている。とはいえ、さすがに手慣れているだけあって、ポ
イントを外さず確実に急所をついてくる。
「あ、ああ。そこよ」
 思わず身をよじってしまう美津子であった。
「そうか、ここが感じるのだな」
「そうよ。そこよ」
 美津子はすっかり出来上がってしまっていた。
 四這いになるとお尻を突き出すようにして催促した。
「入・れ・て」
 田島の方も最高潮にたっしており、今や遅しと待ちかねていたのだった。

 田島のその太いモノが、ずぶりと美津子の股間を貫いた。
 あ!
 思わず声を上げてしまう。
「こんなことまでしていたのか」
「そうよ」
「じゃあ、こんなこともしていたのだな」
 といって背後から、美津子の乳房をわしずかみにした。
「ああ、そうよ。もっと強く」
「こうか」
「そうよ。あっ、いいわ」
 やはり熟練の域に達した田島の手にかかると、いかに精神をコントロールさ
れているとはいえ、好色な美津子といえどもたまりかねて、つい喘ぎ声を出し
てしまうのであった。敏夫のような若さにまかせたパワーと回復力もいいが、
場慣れしたテクニックと持続力はまた別の快感があった。なによりその巨根が
突き上げられ子宮にまで到達する時、敏夫のような若い衆では得られない快感
が全身を襲う。
「もっと、もっと、突いてよ」
 田島はその硬くなった肉棒をズンズンと突き上げながらも、時々フェイント
のように右手で美津子の花弁を、そしてそこからのぞく女芯にアタックする。
「あっ、あっ、いい」
 そろそろ絶頂に近付きつつあった。田島の動きに合わせて美津子も腰を同調
させるように動かしはじめる。
「だめ、もういっちゃう」
 美津子はたまらなくなって声を出した。
 と同時に美津子のその部分が田島のモノを締め上げていった。
「お、おおう……」
 今度は田島の方がうめき声を上げる番だ。
「い、いくぞ」
「いいわ」
 田島は激しく痙攣したかと思うと、どうっと美津子の中に放射を繰り返した。
「あ、ああ」
 美津子もほとんど同時に果てていた。

 美津子は衣服を着終え、乱れを整えると言った。
「あ、それから。念のためにいっときますけど。私、理事長の孫娘なんです」
「何! 理事長の?」
 このことは学園では校長しか知らないことであった。
「それじゃ失礼しますわ」
 美津子は、呆然とする田島を学年主任室に残し、ハイヒールの音も高らかに
大理石調の廊下をゆったりと歩きはじめた。



メニューへ