難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

橋本病

橋本病とは?
橋本病とは?(つづき)
橋本病の症状について
橋本病の治療と解消法
橋本病の日常生活について
橋本病の妊娠・出産について


甲状腺の病気である 橋本病とは?

慢性の甲状腺炎を、別名橋本病といいます。  橋本病は、甲状腺ホルモンが減少する病気です。
大変頻度の高い病気で、女性に多くみられます。 (男性の20倍)

明治45年に、橋本 策(はかる)博士がドイツの医学誌に初めて発表したもので、橋本病は世界的にも有名な病気です。


橋本病とは?

慢性の甲状腺炎を、別名橋本病といいます

橋本病は、大変頻度の高い病気で、女性に多くみられます。 (男性の20倍)

明治45年に、橋本 策(はかる)博士がドイツの医学誌に初めて発表したもので、橋本病は世界的にも有名な病気です。

橋本病は、甲状腺に炎症を起こす抗体が体の中でできてしまうことによって起こります。
自己免疫疾患、つまり自分の甲状腺臓器を自分の中のものとみなさず、異物と認識しまって攻撃しているような疾患です。

抗体とは、本来細菌などの異物に対して作られて、体を守る役目を持っています。
甲状腺は自分の体の一部ですから、甲状腺に対する抗体ができることは異常なことなんですね。

このような自分の体に対する抗体を自己抗体と呼び、橋本病も自己抗体によって起こる病気です。なぜ甲状腺に対する自己抗体ができるかは、まだわかっていません。

橋本病が進行すると、自己抗体(リンパ球)で攻撃された甲状腺は破壊され、慢性的な炎症を起こします。 痛みもなく本人の知らないうちに少しずつ甲状腺が腫れていきます。

甲状腺が腫れて、甲状腺ホルモンが減少していくと、さらに甲状腺機能低下症という症状を生じることがあります。その程度は様々ですが、いまは特効薬はなく、完治することは難しいといわれいる疾患です。かといって命にかかわる疾患ではありません。


橋本病の症状について

甲状腺は、甲状腺ホルモンを分泌する臓器ですので、橋本病の病状もこのホルモンの分泌状態で違ってきます。

1.甲状腺の働きが正常の場合 (甲状腺機能正常)
橋本病で甲状腺に慢性炎症が起きていても、甲状腺の障害の程度が少ないと症状は出ません。甲状腺は腫れていますが、橋本病の甲状腺腫大がのどの痛みや異物感を起こすことはありません。
この場合、橋本病が体に悪影響をすることは全くないため、治療は必要ありません。しかし、甲状腺の働きが将来低下してくる可能性はありますので、定期的な経過観察は必要です。

2.甲状腺の機能が低下している場合 (甲状腺機能低下症)
甲状腺の働きが低下し、甲状腺ホルモンが不足します。
甲状腺ホルモンは、体の新陳代謝を促進させる働きがありますので、これが不足すると体全体の代謝が低下し、身体に支障が起こります。
橋本病の甲状腺機能低下症は、しばしばゆっくりと進行するため、症状を自覚しないこともありますが、代表的な症状には以下のものがあります。

【代表的症状】
顔や手足がむくむ、食べない割に体重が増える、気力が低下する、動作が鈍くなる、皮膚が乾燥する、毛髪が少なくなる、声が嗄れる、寒がりになる、眠くなる、物忘れがひどい、ろれつが回りにくい、便秘、貧血、月経異常

また、症状がなくても、体の代謝状態を正常化させるためには甲状腺ホルモンの補充治療が必要ですね。

3.甲状腺ホルモンが一時的に過剰になる場合 (無痛性甲状腺炎)
甲状腺には作られた甲状腺ホルモンを蓄えておく場所があります。
まれですが、橋本病の炎症が強いときにこのタンクからホルモンが漏れだして、一時的に甲状腺ホルモンが多くなり、バセドウ病の甲状腺機能亢進症と紛らわしい症状(動悸・息切れなど)を起こすことがあります。

痛みもなく無痛性甲状腺炎と呼ばれています。通常は治療をしなくても数ヶ月で自然に治まります。


橋本病の治療と解消法

橋本病の診断はどのようにしますか?
触診や超音波検査で、びまん性甲状腺腫を確認します。
橋本病では、甲状腺自己抗体である抗サイログロブリン抗体と抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体の2つが陽性になります。自己抗体が陰性の人でも、甲状腺の生検や穿刺吸引細胞診でリンパ球浸潤を認めれば診断が確定されます。甲状腺機能(FT3・FT4・TSH)は正常の人が多いですが、低下症になっている例もあります。

【治療法】
橋本病でも甲状腺機能が正常の場合には、定期的な観察をするだけで特別な治療は必要ありません。

甲状腺機能が低下している場合には、内服療法で甲状腺ホルモン剤(チラージンS錠)を毎日内服します。普通1日に1〜2錠を飲みます。服用すると腫れも小さくなります。甲状腺の腫大がひどい場合は、手術で甲状腺を切除する場合もあります。

甲状腺ホルモン剤の内服量は、それぞれの患者さんで至適量が異なりますので、自分に一番合った内服量を見つけることが大切です。

甲状腺ホルモンの不足状態は血液検査でわかりますので、甲状腺ホルモン剤を内服し始めた当初は、通院毎に血液検査が必要です。
いったん自分のお薬の量が決まりましたら、それが急に変化することはありませんので、採血も半年から1年に1度位になります。

甲状腺ホルモン剤は、本来自分の甲状腺が作り出すべきホルモンの不足を補うために飲むものですから、至適量を内服している限り副作用は何もありません。

薬は数カ月から数年の間だけ飲んだら後はいらなくなる人もまれにありますが、多くの場合は一生薬を続けなければなりません。
薬を飲むことは目が悪い人が眼鏡をかけるのと似ています。 眼鏡がないと色々と不都合がでますが、眼鏡さえかけていれば何も問題はありません。

飲み忘れなどが無いように継続して下さい。

血液中の甲状腺ホルモンが正常化すれば、甲状腺機能低下症の症状はとれてきます。
ホルモンが正常化しても症状が残る場合は、橋本病が原因ではありませんので、他の原因を考える必要がありますね。


橋本病の日常生活について

【 食べ物 】
特別に注意する必要ありません。海草類(昆布など)を毎日意識的に大量に摂取すると、甲状腺機能正常の橋本病では一時的な機能低下症を起こすことがありますが、食べるのをやめれば治ります。
普通に昆布や昆布だしのものを食べたりするぐらいでは心配ありませんから、特別に海草類を制限する必要はありません。

ただし、甲状腺ホルモン剤を内服している方はこの限りではありませんのでご注意を!

【 運動 】
甲状腺機能低下症が強く、特に心臓にも影響がでているときには、普段より運動や生活を制限する必要があります。ホルモンの補充治療により、ゆっくりと病状が改善してきますので、安定してくればその人の体力に見合った運動・生活が可能になります。

【 薬の飲み合わせ 】
甲状腺ホルモン剤と飲み合わせてはいけない薬はありません。風邪薬等をもらったときでも、甲状腺ホルモン剤は通常通りの内服を続けてください。


橋本病の妊娠・出産!

橋本病だからといって不妊症になることはありません。甲状腺機能が正常化していれば、一般の妊娠と変わることはないですよ。妊娠を希望される方で不安などがあるようなら、医師に相談することをおすすめします。
また、甲状腺ホルモン剤により赤ちゃんに奇形ができるなどの副作用は全くありません。逆に甲状腺ホルモンが不足していると、一般の妊婦さんより流産の可能性が高くなります。
お母さんに必要であれば薬の内服を続けることが大切ですので、自己判断で薬を中止することなく、必ず医師の指導に従ってください。

出産直後、橋本病以外の原因で起きている甲状腺機能低下症の場合は、産後の変化はありませんが、橋本病ではしばしば血液中のホルモン濃度が変化します。

よくあるのは、バセドウ病のところでも述べたものと同じ「無痛性甲状腺炎」です。
これは橋本病の炎症が一時強くなって起こるもので、これと同じものは産後と関係ない時期にも起こりますが、産後にはよく起こります。

まず甲状腺ホルモンの濃度が高くなって、バセドウ病と同様の症状(動悸、手の震え、多汗など)がでるので、今でもよくバセドウ病とまちがわれます。

起こる時期は、産後2〜4か月の間が多く、甲状腺の腫れが増大します。そうした後は、甲状腺にホルモンの蓄えがなくなるので、逆に甲状腺ホルモンが不足することがよくあります。
このときも甲状腺の腫れがひどくなりますが、通常はせいぜい数か月で回復します。

ただし、ひどい場合は甲状腺機能低下症の症状が出ますので、そのときはしばらく甲状腺ホルモンを服用した方がよいでしょう。

また、甲状腺ホルモン剤を内服し続けながら赤ちゃんに授乳しても全く問題ありませんよ。

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