難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

先天性魚鱗癬様紅皮症/特定疾患情報

診断・治療指針

1.先天性魚鱗癬様紅皮症とは
全身皮膚にさまざまな厚さのうろこ状ないし鮫肌状の皮膚(鱗屑、魚鱗癬症状)を生じ,さまざまな程度に全身皮膚の赤み(紅皮症)を伴う遺伝性角化異常症です。水疱を伴う群(水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症)、水疱を伴わない群(非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症)、紅斑が無く大型の鱗屑を生じる群(葉状魚鱗癬)、よろい状の非常に硬い皮膚をもつ群(道化師様魚鱗癬)、皮膚以外の症状を持つ群(魚鱗癬症候群)があります。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
最近の疫学調査では、全国で100〜300人の患者さんが推定されています。

3. この病気はどのような人に多いのですか
男女ともほぼ同数で、ほとんどは生下時より症状が見られます。

4. この病気の原因はわかっているのですか
表皮角化細胞の細胞骨格、角化細胞の細胞膜とその内側の裏打ち構造あるいは角質細胞間脂質構造に関与している、多くのタンパク質の遺伝子の異常(変異)により生じます。それらのタンパク質として、ケラチン1、ケラチン10、ケラチン2e、transglutaminase 1、 ATP-binding cassette subfamily A member 12 (ABCA12)、 ichthyin、arachidonate 12-lipoxygenase R type (ALOX 12B)、arachidonate lipoxygenase 3 (ALOXE3)、CYP4F22などがあります。

5. この病気は遺伝するのですか
水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症は常染色体優性遺伝し(親子で発症する)、その他は常染色体劣性遺伝します(親子ではなく兄弟で発症する)。

6. この病気ではどのような症状がおきますか
多くは出生時より全身皮膚の潮紅(全身まっか)と鱗屑(かさかさ)が見られます。水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症ではそれに加えびらん(あかむけ)や水疱が生じます。非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症や道化師様魚鱗癬では、眼瞼外反、口唇突出、手足の角化などを生じることが有ります。道化師様魚鱗癬は最重症型であり、固くて厚いよろい状角化となり死亡することもあります。魚鱗癬症候群では皮膚症状に加え、様々な臓器の合併症がみられます。

7. この病気にはどのような治療法がありますか
特効的治療法はなく、対症療法が行われています。保湿剤やビタミンD3軟膏の外用、ビタミンA誘導体(レチノイド)内服が行われることがありますが、各々特有の副作用に注意が必要です。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか
現在のところ、終生その症状は続きます。重症例では合併症などにより死亡することがあります。


情報提供者
研究班名 希少難治性皮膚疾患
情報提供日 平成21年4月1日


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