難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

結節性動脈周囲炎(顕微鏡的多発血管炎)/診断・治療診断(公費負担)

特定疾患情報認定基準

■疾患概念および定義
1994年にChapl Hillで開かれた国際会議において、これまで結節性多発動脈炎(PAN)と診断されていた症例のうち、中型の筋性動脈に限局した壊死性血管炎のみを古典的結節性多発動脈炎と定義され、小血管(毛細管、細小動静脈)を主体とした壊死性血管炎は別の疾患群として区別された。後者は、血管壁への免疫複合体沈着がほとんどみられないこととANCA陽性率が高いことを特徴とし、ANCA関連血管炎症候群と定義された。このうち、肉芽腫性病変のみられないものを顕微鏡的多発血管炎と定義され、Wegener肉芽腫症やChurg-Strauss症候群(アレルギー性肉芽腫性血管炎)と区別される。男女比はほぼ1:1で、好発年齢は55〜74才と高齢者に多い。年間発症率はドイツにおける3人/百万人から英国における8.4人/百万人と報告されている。わが国での発症率や有病率は不明である。2006年から結節性多発動脈炎と顕微鏡的多発血管炎が別個の調査票に分けられて調査が開始されている。

■主要徴候
発熱、体重減少、易疲労などの全身症状(約70%)とともに組織の虚血・梗塞や出血による徴候が出現する。壊死性糸球体腎炎が最も高頻度であり、尿潜血、赤血球円柱の出現に続いて尿蛋白が出現、血清クレアチニンが上昇し始める。数週間から数ヶ月で急速に腎不全に移行することが多いので、早期診断が極めて重要である。古典的結節性多発動脈炎に比べると高血圧は少ない(約30%)。その他高頻度にみられるのは、皮疹(約60%:紫斑、皮膚潰瘍、網状皮斑、皮下結節)、多発性単神経炎(約60%)、関節痛(約50%)、筋痛(約50%)などである。肺毛細管炎による間質性肺炎(約25%)や肺胞出血(約10%)を併発すると咳、労作時息切れ、頻呼吸、血痰、喀血、低酸素血症をきたす。心筋病変による心不全は約18%にみられるが、消化管病変は約20%と他のAMCA関連血管炎に比べて少ない。

■主要検査所見
全身症状と相関して赤沈亢進、急性相反応物質(CRP、SAA、alpha2, betaグロブリン分画、フィブリノーゲン)の増加、白血球増多、血小板増多など、マクロファージ由来炎症性サイトカインによる非特異的急性炎症反応がみられる。炎症反応だけでは説明困難な貧血をみた場合は肺胞出血を疑う(血痰がみられないことが少なからずある)。尿所見では尿潜血、尿蛋白とともに尿沈渣に変形赤血球や赤血球円柱の出現が壊死性糸球体腎炎を示す重要な所見である。1ヶ月以内に血清クレアチニンが2倍以上に上昇する場合、急速進行性腎炎として迅速な生検診断と治療を要する。間質性肺炎は、慢性型が多く、胸部単純X線で線状網状影などの両側性間質性陰影と容積減少を下肺野有意に認める。高率に蜂巣肺と伴い、組織型はUIPパターンが多い。高分解能CT(HRCT)で散布性・非区域性にスリガラス影・高い肺野濃度の上昇、線状影がみられ、進行すると牽引性気管支拡張や容積減少、蜂巣肺をみとめるようになる。低酸素血症、肺胞動脈酸素分圧較差の増大、肺胞拡散能の低下、拘束性肺機能障害による呼吸不全を呈する。びまん性肺胞出血は、胸部単純X線で多発性の浸潤影としてみられ、HRCTでは区域性にスリガラス影や気腔内充填像として認められる。気管支肺胞洗浄液は血性となる。一回目の肺胞洗浄液より2回3回と繰り返す毎に血性が濃くなる点で外傷性出血と鑑別できる。鏡検下でヘモジデリンを貪食したマクロファージを多数認められると肺胞出血と診断できる。びまん性肺胞出血は極めて予後不良な難治性病態である。気管支肺胞洗浄液検査は、肺感染症との鑑別にも重要な検査である。腹腔動脈撮影で微小動脈瘤などの血管炎所見を認める症例は約10%と少ない。

■診断
全身症状とともに血管炎による臓器障害が見られた場合、本症を疑い、障害組織の生検により免疫複合体沈着に乏しい細小動脈主体の壊死性血管炎を証明する。確定診断には組織の生検、特に腎生検が必要である。半月体形成や糸球体のフィブリノイド壊死を伴う壊死性糸球体腎炎で免疫グロブリンや補体の沈着がないか乏しいことを確認する。Goodpasture症候群と異なり、糸球体や間質の新旧病変(急性期壊死性病変と線維化した硬化性病変)が混在する点が特徴である。腎生検が困難な場合は、病変のある皮膚、腓腹神経、筋、肺などが生検対象となり、細小血管壁に好中球浸潤を伴う壊死性血管炎で免疫複合体や補体成分の沈着がないことで診断する。
  ANCA測定法の確立により、かつて不明熱や原因不明の急性腎不全とされていた症例が早期に診断可能となり、予後の改善に貢献している。ANCAの測定は2種類の方法がある。間接蛍光抗体法はp-ANCAとc-ANCAを判別し、ELISA法はMPO-ANCAやPR3-ANCAなど抗原特異的ANCAを同定し、疾患特異性が高い。顕微鏡的多発血管炎では、p-ANCAの感受性は58%、特異度は81%であり、MPO-ANCAではそれぞれ58%、91%であった。しかし両者のいずれかが陽性の場合、感受性は67%、特異度は99%に上昇する。したがって、血管炎を疑った場合は両方法で測定することが薦められる。間接蛍光抗体法とELISA法のいずれかでANCAが陽性ならば、より診断は確実となるが、確定診断は、あくまで組織診断が必要である。 
  鑑別診断として、他の全身性血管炎症候群、SLEなどの膠原病、全身性に血栓を来す病態(抗リン脂質抗体症候群、細菌性心内膜炎、髄膜炎菌性髄膜炎、心房粘液種、血栓性微小血管障害(Thrombotic microangiopathy: TMA)などを念頭に検索する。

■本症の治療ガイドライン
2002年に厚生労働省特定疾患対策研究事業難治性血管炎に関する調査研究班(班長 橋本博史教授)による難治性血管炎の診療マニュアル(参考資料1)、および厚生労働省特定疾患対策研究事業進行性腎障害に関する調査研究班(主任研究者 堺 秀人教授)と日本腎臓学会との合同委員会(委員長 小山哲夫教授)による急速進行性腎炎症候群の診療指針(参考資料2参考資料3)が発表されている。
  その後、欧米で行われたランダム化比較対照試験の成績が相次いで報告され、質の高いエビデンスが提示され、我が国におけるこれまでの治療方針について再考すべき時がきている。しかし、欧米における臨床試験は、欧米で頻度の多いWegener肉芽腫症や巨細胞動脈炎を主体とした成績であり、我が国に比較的多い顕微鏡的多発血管炎や高安病の治療に応用する場合は、慎重な吟味を必要とする。
  我が国においても、質の高いエビデンスを確立する必要がある。2004年、難治性血管炎に関する調査研究班(主任研究者 尾崎承一)において、MPO-ANCA関連血管炎に対する標準的治療プロトコール(参考資料4)が作成され、その検証のための前向き臨床試験が開始された(文献4)。

■治療ガイドラインをどう読むか
1. 血管炎は、血管壁の破綻出血または虚血・梗塞により環流組織や臓器に進行性かつ非可逆的障害をきたす。したがって、可及的早期に血管撮影又は組織生検による確定診断をつけ、迅速に寛解導入療法を開始することが長期的予後を改善する上で重要である。

2. 寛解とは、血管炎による活動性病変(後遺症ではない)が認められない状態をさす。一旦寛解導入されたら(治療開始から3〜6ヶ月以内が多い)、シクロホスファミドから他の免疫抑制薬(アザチオプリン、MTX)に変更する(文献3)。この際に、腎機能障害のある患者ではMTXを避ける。


3. MPO-ANCA関連血管炎(顕微鏡的多発血管炎、急速進行性糸球体腎炎などの腎限局型)に対するシクロホスファミド併用の基準は、専門家の間でも議論が分かれている。欧州血管炎研究グループによる大規模な前向き臨床試験の成績では、MPO-ANCA関連血管炎においてもシクロホスファミドを主体とした寛解導入療法の有用性が示唆されている。これに対して、我が国では、日和見感染症による死亡率が高いことからその使用を回避する専門医も少なくない。特に腎限局型血管炎を対象とする事の多い腎臓専門医の間では、ステロイド中心の治療が行われることが多い(参考資料2,参考資料3)。

4. これに対して、腎以外の臓器障害(肺、心、消化管、中枢・末梢神経など)を伴う症例を多く扱う膠原病専門医の間では、以下の点に注意しながらシクロホスファミド主体の治療を行う施設が多い。

5. シクロホスファミドの投与量は、年齢と腎機能によって調節し、過剰投与(による日和見感染)を回避する(治療上の注意参照)。

6. シクロホスファミドと併用する場合、ステロイドの減量は可及的速やかに行い、日和見感染症、二次性の血栓形成(糖脂質代謝異常)、骨粗鬆症などの副作用を回避する(治療上の注意参照)。

7. シクロホスファミドを併用する場合、結核、ニューモシスティス肺炎、サイトメガロウイルス感染症などの日和見感染症の予防対策を厳重に行う。

8. 生命の危険を伴う最重症例には、シクロホスファミドに加えて血漿交換療法を併用する(図2)。

図2.血管炎症候群の治療戦略のチャート

  図2

■治療上の注意
1. 血管炎による障害臓器の種類と程度を全身検索で明らかにする。

2. 重症度分類、BVAS、VDIなどの指標を用いて活動性と重症度を明らかにする。

3. 治療効果の判定には、単にCRPやANCAの値だけではなく、BVASなどを用いて全身各臓器の活動性病変の有無を見極める。

4. シクロホスファミドの投与量
過剰投与による副作用を回避するため、高齢者や腎機能障害患者には減量することが重要である。欧州で行われている臨床試験(3)のプロトコールが目安となる(参考資料5)。

5. シクロホスファミド併用時のステロイド減量法
日和見感染症並びにステロイドの副作用は患者の生命予後に重大な影響を及ぼすため、ステロイドを可及的速やかに減量する試みがなされている。これも欧州で行われ優れた成績が得られた臨床試験(3)で採用されたステロイド減量法を参考資料6に紹介するので、参考にして頂きたい。我が国で通常行われている減量速度に比べかなり早いことが明らかである。

6. シクロホスファミドを用いる場合、日和見感染症対策が極めて重要である。高齢者が多いので、陳旧性結核病巣のある患者にはINHなどの予防投与を行う。また、ニューモシスティス肺炎に対するバクタまたはバクトラミンの予防投与(1錠/day)はできる限り行う。バクタが副作用で使用できないときは、ペンタミジンの吸入を2〜4週間に1回ずつ行う。低酸素血症(PaO2<60 torr)や喘息などで使用困難の時は、ダプソンを用いる。さらに、喀痰検査やファンギテックなど定期的なニューモシスティス肺炎のモニターを行う。また、治療開始前に血中サイトメガロウイルス抗原検査(アンティゲネミア)を行い、陽性例にはデノシンを予防投与してサイトメガロウイルス感染症を予防する。そのほかに、面会制限、個室管理、ガウンテクニック、イソジンガーグル、フルコナゾール予防投与なども適宜考慮し、徹底的に感染予防対策をとることが大切である。

■治療方針決定において考慮すべき点
1.重要臓器障害をきたした血管炎では、ステロイド単独療法の寛解導入率は低い。

2. シクロホスファミドとステロイドの併用療法は、寛解導入率は高いが、感染症などの合併症の危険性も高い。

3. 最近の医療の進歩により、感染症に対する厳重な管理を行いながら治療すれば、多くの合併症は回避される。

4. ある程度のリスクを冒してもシクロホスファミド併用による寛解を目指す積極的な治療は欧米では標準的治療である。

5. しかし、我が国の一部には、たとえ慢性腎不全に至っても、生命の危険を回避する方が好ましいという意見もある。

6. 積極的治療(ハイリスク・ハイリターン)か消極的治療(ローリスク・ローリターン)かの選択は、担当する医療チームの経験と考え方、並びに十分な説明を受けて状況を理解した患者・家族の判断とに委ねられる。


■リハビリテーション
血管炎による末梢神経麻痺、ステロイドによる筋萎縮、骨粗鬆症・脊椎圧迫骨折、糖脂質代謝異常など多くの合併症ないしは後遺症がみられるため、病状を診ながら、早期にリハビリテーションを開始し、長期的な展望に立って診療計画を立てる。

■次世代の治療戦略
1.寛解維持療法:シクロホスファミドとステロイド併用により、多くの中小型血管炎患者が寛解導入されるようになった。しかし、再燃率が高いこと、シクロホスファミドによる長期的安全性の懸念から、シクロホスファミドに代わる他の免疫抑制薬の可能性について欧州を中心に検討されている。
  NCA関連血管炎(Wegener肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎、腎限局型急速進行性腎炎)に対し、シクロホスファミドとステロイド併用で寛解導入し、3〜6ヶ月間に寛解導入された症例(実に93%が寛解導入された)を、シクロホスファミドをさらに1年間継続する群とアザチオプリンに切り替える群とにランダムに分けて、寛解維持率や副作用発現率を比較した。アザチオプリンはシクロホスファミドと同等に再燃を抑制し、重篤な副作用は少ない傾向にあった(3)。現在、寛解維持療法としてアザチオプリンを対照としてミコフェノール酸(セルセプト)の有用性がRCTで検討されている。 
  さらに、次世代の寛解導入薬としてリツキシマブ(抗CD20抗体)の有用性が注目されている。欧米でランダム化比較対象試験が進行中である。

■参考文献
1) 厚生科学研究特定疾患対策研究事業難治性血管炎に関する調査研究班(班長:橋本博史) 難治性血管炎の診療マニュアル 2002年3月発行

2) 急速進行性糸球体腎炎診療指針作成合同委員会 急速進行性腎炎症候群の診療指針 日腎会誌 2002, 44:55-82

3) Jayne, D. Rasmussen, N. Andrassy, K. et al. A randomized trial of maintenance therapy for vasculitis associated with antineutrophil cytoplasmic autoantibodies. N Engl J Med 2003; 349:36-44

4) 難治性疾患克服研究事業難治性血管炎に関する調査研究班(主任研究者:尾崎承一) 平成16年度総括・分担研究報告書 p.217-253.



参考資料1.ANCA関連血管炎の治療指針(2001年)
1.初期治療(寛解導入療法)
1) 全身性、肺腎型(肺出血例を伴う)、急速進行性糸球体腎炎(PRGN)型

プレドニゾロン(PSL)40〜60r/日(0.6〜1.0r/s/日)経口、あるいは メチルプレドニゾロン(M-PSL)パルス(0.5〜1g/日)療法・3日間併用を原則投与する。臨床所見および病理所見により高度の血管炎を示す重症型はシクロフォスファミド(CY)(50〜100r/日、0.5〜2r/s/日)の経口投与併用(腎機能障害の程度により減する)、あるいはシクロフォスファミド大量静注療法(IVCY)(0.5〜0.75g/4週)を併用する。
65歳以上の高齢者および感染症リスクの高い症例は、CY、IVCYの代わりに血漿交換施行も検討する。
腎機能障害の高度の場合は、適宜血液透析、血漿交換を併用、RPGN型は抗凝固、抗血小板療法(ヘパリン10000単位/日(または低分子ヘパリン5000単位/日)、ジピリダモール300r/日)を使用する。

2) 腎(RPGNを除く)、肺(肺出血を除く)限局型

PSL15〜30r/日(0.3〜0.6r/s/日)経口および抗凝固、抗血小板療法を原則とし、適宜アザチオプリン(AZ)あるいはCYの25〜75r/日(0.5〜1.0r/s/日)経口を併用する。

原則 

血管炎の活動性、病型に応じて1〜2ヵ月同上の初期治療を継続し、寛解導入をめざす。副腎皮質ステロイド剤、免疫抑制薬による寛解導入療法は、無菌室などの化学療法に準じた感染症の予防措置、治療がのぞましい。

2.維持療法
初期治療後6ヵ月〜2年程度は再発に注意して観察した後、PSL5〜10r/日経口を維持し、難治例はAZあるいはCYの25〜75r/日経口を併用する。
CY、IVCY、AZの使用にあたっては、適用外医薬品であるので、インフォームドコンセントを患者に充分に話して了解のもとで使用し、副作用の早期発見とその対策が重要である。


参考資料2. 急速進行性糸球体腎炎(RPGN)の治療指針(1)
1.MPO-ANCA型RPGN

  図3

参考資料2. MPO-ANCA型急速進行性糸球体腎炎の治療指針
急速進行性糸球体腎炎診療指針作成合同委員会 急速進行性腎炎症候群の診療指針 日腎会誌 2002 44:55-82より抜粋


参考資料3. 急速進行性糸球体腎炎(RPGN)の治療指針(2)
2.PR3型RPGN(2)

  図4

参考資料3 PR3-ANCA型急速進行性糸球体腎炎の治療指針
急速進行性糸球体腎炎診療指針作成合同委員会 急速進行性腎炎症候群の診療指針 日腎会誌 2002 44:55-82より抜粋


参考資料4 厚労省難治性血管炎研究班によるMPO-ANCA関連血管炎に対する標準的治療プロトコール
顕微鏡的多発血管炎(MPO・ANCA関連血管炎)
A.寛解導入療法(初期治療):3〜6ヵ月を要して治療する。
1) 重症例(以下の3型があてはまる)

   全身性血管炎型(3臓器以上の障害)
     肺腎型(限局性肺出血又は広範囲間質性肺炎と腎炎の合併)
     RPGN型(血清Cr値が1ヵ月以内に2倍以上に増加)
  メチルプレドニゾロン(M-PSL)パルス(0.5〜1.0g/日)療法×3日間
  あるいは経口プレドニゾロン(PSL)0.6〜1.0mg/kg/日(40〜60mg/日)
  4週間以内に以下の併用療法を追加する。
     シクロホスファミド大量静注療法(IVCY)0.5〜0.75g/m2
      又は経口シクロホスファミド(CY)0.5〜2.0mg/kg/日(50〜100mg/日)

  血清Cr≧1.8ml/dlや75歳以上では、IVCY, CYの投与量を75%〜50%に減量する。
  パルス後のPSL投与量はPSLの経口投与量に準ずる。
  PSL40〜60mg/日の初期投与量を1ヵ月以上続け、以後病状に応じて漸減する。
  IVCYの投与間隔は、3〜4週間とする。
  IVCYの総投与回数は3〜6回とする。症例により12回迄可とする。
  IVCY投与2週間後のWBC数が3500/μl以上を保つように、投与量は調節する。
  経口CY投与は3〜6ヵ月間とする。
  CYを服用できない症例:
  アザチオプリン(AZP)を1.0〜2.5mg/kg/日(50〜150mg/日)投与する。 投与期間は6ヵ月以上とする。
  上記治療期間はST合剤(Bakter)2T/日を週2日又は1T/日を連日予防投与する。
  RPGNには血液透析や血漿交換を、消化管出血には内視鏡的及び外科的処置を施行する。
  RPGNにはヘパリン(10000〜5000単位/日)やジピリダモール(300mg/日)などを使用する。

2) 最重症例(以下の場合が当てはまる)

   び慢性肺出血型、腸管穿孔型、膵炎型、脳出血型
     抗基底膜抗体併存陽性例、重症例の治療抵抗性症例
  重症例と同様に、IVCY/CYとPSL治療を施行する。それと共に血漿交換を行う。
  血漿交換は、2.0〜3.0L×3日間を1クールとする。
  ST合剤(Bakter)2T/日を週2日又は1T/日を連日予防的に投与する。

3) 軽症例

    腎限局型(RPGN型は除外)、肺線維症型(肺出血型は除外)
     その他の型(筋・関節型、軽症全身型、末梢神経炎型など)
  PSL0.3〜0.6mg/kg/日(15〜30mg/日)経口投与する。
  CY又はアザチオプリン(AZP) 0.5〜1.5mg/kg/日(25〜100mg/日)を適宜併用する。

B.維持療法
寛解導入後は、PSL10〜5mg/日で再燃に注意して経過観察する。
  血管の内腔狭窄及び血栓形成に関し、抗凝固療法(ワーファリン等)、血管拡張剤(プロスタグランジン製剤)、抗血小板剤(ジピリダモールなど)を投与する。
経口CY投与は投与開始後6ヵ月以内に中止するのが好ましいが、AZPに変更して投与継続するのも可である。


参考資料5 エンドキサンパルス療法における投与量と年齢、腎機能による補正

年齢血清Cr<3.4mg/dl血清Cr>3.4mg/dl
60才未満15mg/kg/pulse12.5mg/kg/pulse
60才以上、70才未満12.5mg/kg/pulse10mg/kg/pulse
70才以上10mg/kg/pulse7.5mg/kg/pulse

参考資料6 エンドキサン併用時におけるステロイド減量法

治療開始からの期間(週)ブレドニゾロン(mg/kg)体重60kgの場合(mg/day)
0〜1160
1〜20.7545
2〜40.530
4〜70.424
7〜100.318
10〜130.2817
13〜160.2515
4ヶ月
12.5
5ヶ月
10
6ヶ月
7.5
12ヶ月
5
18ヶ月
2.5
24ヶ月
0

難治性血管炎に関する調査研究班から
顕微鏡的多発血管炎 研究成果(pdf 25KB)
この疾患に関する調査研究の進捗状況につき、主任研究者よりご回答いただいたものを掲載いたします。

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