難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

アレルギー性肉芽腫性血管炎/特定疾患情報

診断・治療指針

1. アレルギー性肉芽腫性血管炎とは
 気管支喘息を有する人で、血液中の白血球の一種である好酸球の増加が著明な人に、細い血管に血管障害(血管炎)を生じる病気です。治療を的確に行ないますと、治癒しますが、時々再発を来すことがある病気ですので、注意が必要です。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
 我国における年間新規患者数は、約100例と推定されております。医療機関を受診し治療を受けている患者数は、年間約450例と報告されています。

3. この病気はどのような人に多いのですか
 30〜60歳に好発し、男:女 = 4:6でやや女性に多い病気です。慢性副鼻腔炎や気管支喘息を有する人に、発症します。気管支喘息も治療に抵抗性のことが多く、かつ血液中に好酸球増多を認めます。此等の症状が数年間持続した後に、発症します。

4. この病気の原因はわかっているのですか
 原因は不明ですが、何等かのアレルギー反応によって生じると考えられております。即ち、ある種の薬剤により、病気が誘発されることもあります。又、白血球の中の好中球に対する抗体(抗好中球細胞質抗体:抗MPO抗体)が50%の症例に検出されますことから、この抗体が病因に関与しているとも考えられております。

5. この病気は遺伝するのですか
 家複内発症をほとんど認めませんことから、遺伝的要素は少ないと考えられます。

6. この病気ではどのような症状がおきますか
 気管支喘息発作、手足のしびれ(末梢性神経炎)、青あざ(紫斑)、関節痛・筋肉痛、腹痛・消化管出血(胃・腸の潰瘍)、体重減少、発熱などです。時には、脳出血・脳硬塞、心筋梗塞・心外膜炎、消化管穿孔を生じることもあります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか
 一般的にはステロイド薬で治療します。プレドニンの12〜6錠/日で初期治療を行ない、症状が改善したら漸次減らしていきます。一年間以上にわたり治療する必要があります。早期に治療を中止すると、再発を来しますので注意が必要です。また、脳・心臓・腸に病変を有する場合は、免疫抑制薬のエンドキサンを少量(1〜2錠/日)併用して治療を行ないます。最近では、ガンマグロブリン静注療法の有効性が報告されています。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか
 80%の症例は、喘息発作、紫斑、末梢神経炎、筋肉・関節痛、腹痛などの重篤でない症状のみの病状で、治療が開始され、治癒に至ります。しかし、20%の症例では、脳出血・脳硬塞や心筋梗塞・心外膜炎、腸穿孔を生じ、重篤となることがあります。又、一度治癒しても、再発を来すことがありますが、その頻度は10%以下と推定されています。


情報提供者
研究班名 難治性血管炎に関する調査研究班
情報見直し日 平成19年6月11日


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