響子そして(覚醒剤に翻弄される少年の物語)R15+指定 この物語には、覚醒剤・暴力団・売春などの虐待シーンが登場します
(四)愛する明人  遠藤明人。  わたしのいる宿房の長だった。  暴力団の組長の息子だった。その身分と、毎日のように届けられる差し入れによっ て宿房はおろか、少年刑務所全体の顔となった。その経歴は、五歳の時に、寝ていた 母親を撲殺したのを皮切りに、数えきれない人々を殺傷し続けた根っからの悪玉だっ た。  看守でさえ一目おいている。  いつのまにかわたしは明人のお気に入りとなっていた。明人はわたしをいつでも抱 ける優先権を獲得し、わたしを情婦のように扱った。わたしを独占したがったのだが、 少年達の相手ができるのは、わたし一人しかいない。もてあます性欲のはけ口として、 わたしは必要不可欠な存在になっている。それを取り上げてしまったら、反逆・暴動 に発展するのは確実。所内での顔を維持するにも寛容も必要だった。しかたなく、他 の少年達の相手をするのを黙認した。  それまでのわたしの役目は、新しく入所した新参者に移った。  毎晩のようにその新参者が襲われるのを黙って見ているだけのわたし。  それが彼の運命なのだ。だれも止めることはできない。  新参者は屈辱に必死に耐えている。 「馬鹿ねえ。あきらめて、女になっちゃえば楽になるのに」  わたしは心で思ったが、最初の頃は自分も抵抗していたものだ。  しかし当の本人にしてみればそう簡単に心を切り替えることなどできないのだ。  そのうちに興奮してきた明人が、わたしの肩に手を回し唇を奪う。そしてそのまま 押し倒されてしまう。 「咥えてくれ」 「ええ、わかったわ。明人」  言われるままに、その張り裂けんばかりになっているものを咥えて、舌で愛撫する。 やがてわたしの口の中に、その熱いものを勢いよくぶちまける。わたしは、ごくりと それを飲み込む。 「尻を出せ」 「はい」  わたしの心はすっかり女になりきっていた。なんのてらいもなく、四つんばいにな って明人を迎え入れている。  次第に明人に心惹かれていく自分がいた。  ある日のこと、明人がシートパックされた錠剤を手渡して言った。 「これを飲むんだ。毎食後にな」 「なに、これ?」 「女性ホルモンだよ。いつも差し入れをする奴に、持ってこさせた」 「女性ホルモン?」 「そうだ。毎日飲んでいれば、胸が膨らんでくるし、身体にも脂肪がついて丸くなっ てくる」 「わたしに女になれというの?」 「完全な女にはなれないが、より近づく事はできる。頼む、飲んでくれないか」 「明人がどうしてもって言うなら飲んでもいいけど……」 「どうしてもだ」 「わかったわ。明人のためなら、何でも言う事聞いてあげるわ」  わたしは思春期真っ最中の十代だ。  女性ホルモンの効果は絶大だった。  飲みはじめて一週間で乳首が痛く固くなってきた。  胸がみるみるうちに膨らんできた。  二ヶ月でAカップになり、半年でCカップの豊かな乳房が出来上がった。  その乳房を明人に弄ばれる。  全身がしびれるような感覚におそわれ、ついあえぎ声を出してしまう。 「あ、あん。あん」  乳房やまめ粒のような乳首に、性感体が集中していた。  脂肪が沈着し、白くきれいな柔肌になっている全身にも性感体が広がっている。  成長途上にあった男性器は小さいままで、睾丸はどんどん萎縮しており、もはやそ の機能は失っていた。髭や脛毛なども生えてはこなかった。  声帯の発達も、ボーイソプラノから、きれいなソプラノを出せる女性の声帯に変わ りつつあった。もちろん喉仏はない。  看守は、わたしの身体の変化に気がついていたが、だれも注意すらしなかった。  明人の父親の組織の力が働いているようだった。女性ホルモン剤の差し入れがすん なり通っているのもそのせいだろう。
     
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