特務捜査官レディー (響子そして/サイドストーリー)
(二十九)健康診断 「と、納得したところで診察に入ろうか……」  表情もきりりと医者の顔になる先生だった。 「はい」  先生は引き出しから、書類を取り出して言った。 「これから君の生殖器に関する問診をするけど、恥ずかしがらずに正直に答えて欲し い。移植した臓器が完全に機能しているとかを調べるためだ。」 「はい……」  生殖器に関する質問……。  あまりにも唐突な質問に驚くが、産婦人科の医師としては当然のことなのかも知れ ない。 「じゃあ、まず最初だ。月経はちゃんとあるかな?」 「あります」 「規則的かね? 何日周期?」 「だいたい二十八日周期で規則的です」 「そうか、まずは一安心だな。排卵が規則的にあるということで、卵巣と子宮は正常 に機能しているようだ」 「妊娠も可能ということですね」 「可能性は高いが、君の血液と移植した卵巣の中の卵子とは、元来他人同士だ。それ が原因で不妊となる可能性も残っている。だからそういったこをも詳しく調査するた めに、今日来てもらったのだ。他の一般の病院では、こんなこと調べられないだ ろ?」 「確かにそうですね」 「月経の前後数日間とかに、身体の不調を覚えることはある?」 「身体がだるいと感じる時はあります」 「だるいだけかね? 苦痛に感じることは?」 「特にありません」  というように、女性なら誰しも質問されるような内容に受け答えしていく。  さらに問診は続く。 「女性としての性行為は?」 「あります」 「敬君とだね」 「はい」 「週に何回くらい?」 「せいぜい一回です」 「避妊はしてる?」 「初めての時だけしてません。後はしてます」 「今は痛みとかある?」 「ありません」 「絶頂感とかを感じたことは?」  とか性行為に関する諸症状を質問され答えていく。  前半は婦人科としての問診、後半は産科に関わる問診らしかった。  私生活の性交渉とかを聞かれるので正直恥ずかしい限りなのだが、相手は産婦人科。 当然のことを聞いているだけである。下心はないだろう。  そんなこんなで短いようで長い問診が終わった。 「うん。だいたいのことは判ったよ」  これで終わりかと思っていたら……。 「上着を脱いでくれないか。今度は触診してみる」  上半身ブラジャー一枚になって、乳房や腹部を念入りに調べられた。  そして……。  その上……。  しかも……。  さらには……。  これ以上は言葉に尽くせない診察が続くのであった。
     
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