第二十四章 新生第十七艦隊
W  本題に入った。  技術部システム管理課長のレイティー、当然として要塞のシステムコンピューター についてであった。 「……やっとこさ、本格運用できるところまできました」 「同盟の軍事コンピューターとの接続は?」 「一応、外からの侵入を防ぐゲートを通して接続しましたけど、ジュビロさんの腕前 なら簡単に侵入してくるでしょうな」 「まあ、たぶんな。彼に侵入できないネットなど存在しない。できればネットに接続 しないで、独立系を保ったままにしておきたかったのだがね」 「それは軍が許さないでしょう。何にでも干渉してきますからね」 「当然だろうな」 「ところで、フリード先輩に何を依頼したんですか? 最近、何かの設計図を引いて ばかりいて、システムの方を僕に任せ切りにしてるんです。おかげでこっちは不眠不 休なんですよ。そんなに急ぐものなんですか?」 「大急ぎだ。とてつもなくな」 「ちらと見た限りでは、ロケットエンジンのような感じがしたんですどね」 「ほう……よく判るな」 「それくらいは判りますよ。それに先輩が設計した図面とかよく見ていましたからね。 最近では、ミネルバとか命名された機動戦艦でしたね。あれって主要エンジン部はも とより、艦体構造体やら武器システム、艦制システムなどのソフトウェア、艦の運用 に直接関わる部門はみんな先輩が手がけているんですよ。携わっていないのは居住区 だの食堂だの付帯設備だけみたいです」 「オールマイティーな天才科学者だからな」 「先輩一人で戦艦造っちゃいますから。もっとも実際に造るのは造船技術者達ですけ どね。先輩は設計図を引くだけ」 「設計図といったって凡人には引けないさ」 「そうですけどね」 「ともかくも、要塞のシステム管理プログラムだ。よく頑張ってくれた、感謝する よ」 「帰郷もせずに寝るのも惜しんでシステムに取り組んできたんですからね。功労賞く らいは頂けるのでしょうね」 「考慮しよう」 「そういえば提督も帰郷なさらなかったんですね」 「帰りたくても帰る場所もないしな」 「そういえば孤児院育ちでしたっけ」 「帰るとすればそこか、士官学校を訪問するくらいだ」 「士官学校を訪問すれば大騒ぎになりますよ。我らが英雄がやってきた! ってね」 「それは、遠慮したいね」 「そう言えば、シルビアさん。割り込んできませんね」 「当然だろ。世間話だったらいくらでも突っ込んでくるが、本題に入れば遠慮するに 決まっているじゃないか」  とアレックスが言ったところで、音声が割り込んできた。 『聞こえていますよ』 「な?」 「納得しました」
     
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