第七章 反抗作戦始動(1)

                I  その頃。  対戦相手の総督軍艦隊も着々と銀河帝国へと進撃していた。  旗艦ザンジバルの艦橋の指揮官席に着座する、戦略陸軍マック・カーサー大将。  共和国同盟総督となったのを機に大将に昇進していた。 「奴は本気で百五十万隻で我々と戦うつもりなのか?」 「そのようです」 「信じられんな。狂気としか思えんが」 「ランドール提督のこと、また何がしかの奇策を用意しているのでしょう」 「奴が戦ってきたのは、せいぜい一個艦隊程度の戦術級の戦いだ。これだけの大艦隊を率 いた国家の存亡を掛けた戦略級の戦いなどできるわけがない」 「なるほど未経験ならば勝てる算段も難しいというわけですか」 「この戦いは艦隊同士の正面決戦になる。戦略級では数が勝負なのだ」 「なるほど、納得しました」  丁度その時、給仕係が食事を運んできた。 「お食事の時間です」  ワゴンに乗せられた料理に手をつけるカーサー提督。  それを口に運びながら、 「また、これかね。たまには肉汁たっぷりのステーキを食いたいものだ」  携帯食料に不満をぶつけ、苛立ちを見せている。 「贅沢言わないでくださいよ。ここは戦場なんですよ」  バーナード星系連邦は、長期化した戦争により、慢性的な食糧不足に陥っていた。  働き手が軍人として徴兵されているがために、農地を耕す労力が足りないからである。  足りない食料は、銀河帝国からの輸入にたよっていたが、十分に充足できるものではな かった。  庶民の不満は、厳しい軍事政策によって抑制されていた。 「欲しがりません、勝つまでは」  日頃からの教育によって、贅沢を禁じられ、いや贅沢という言葉さえ知らないのである。  慎ましやかに生活することこそが、美徳であるとも教え込まれている。  とは言うものの、それは一般庶民や下級士官の話である。  将軍などの高級士官ともなると、肉汁したたるステーキが毎日食卓に上る。  しかし戦場では贅沢もできない。  戦艦には食料を積み込める限度というものがあり、狭い艦内では下級士官の目が常にあ るからである。  戦時食料配給に沿って、将軍といえども下級士官と同じ食事を余儀なくされていた。  カーサー提督は話題を変えた。 「それよりも、本国との連絡はまだ取れないのか?」 「だめです。完全に沈黙しています」 「本国とのワープゲートも閉鎖状態です」 「やはり、クーデターが起きたというのは本当らしいな」 「そのようですね」 「我々が銀河帝国への侵攻を決行したのを見計らって、クーデター決起するとはな」 「タルシエン要塞が反乱軍に乗っ取られ、本国側のワープゲートをクーデター軍に押さえ られては、鎮圧部隊を差し向けることも叶いません」 「連邦でも屈強の艦隊をこちら側に残していったのも、クーデターをやり易くするための 方策だったのだ」 「精鋭艦隊はメイスン提督の直属の配下ではありませんからね」
     
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