冗談ドラゴンクエスト
冒険の書・6

メニューへ part-6 カタリ村にて  そして、無事にカタリ村へとたどり着いた。 「あんた、強いわね」 「一応、ナイトの称号を受けてますから」 「ナイトってそんなに強いんだ」 「王立騎士養成学校に4年、修士課程に2年、騎士見習いを3年、みっちりしごか れましたからね」 「医師免許取るのとまるで同じね」 「医師免許?」 「薬師と僧侶を合わせたような職業でね。身体を切り刻んだり、臓物を弄り回した りして、病気とかを治すらしい……とかいう職業」 「なんか、怖い話ですね」 「腕や足がもげても、元通りにくっつけちゃうこともできるとか」 「ほう……。それはすごい」  村の中央付近に池があり、そばに教会が立っている。  教会の周囲には幾人かの村人が集まって談笑している。  その中の一人が、ナタリーに気が付く。 「げっ! ナタリーよ!」 「なんだって!?」  一斉に後ずさりを始める村人達。 「何だよ。その魔物にでも出会ったような顔は?」 「い、いや。なんでもない」  というと、逃げ出すように立ち去った。 「嫌われているみたいですね」 「まあ……以前、村の集会所をぶち壊したことがあってね」 「なるほど……」 「法術を使ってロウソクに火をつけようとしたら、術が暴走してしまって……ドカ ン!」  両手を胸元から頭の方へ挙げるようにして、爆発の様子を表現する。 「で、村の人々に恨まれてしまったというわけですね」 「まあ、それだけじゃないけどね」 「それはともかく、そろそろこの人を何とかしませんか?」  といいながら、肩にかついでいる勇者の亡骸を示した。 「ああ、そうだったわね。教会に運んでちょうだい」  教会前には村人から聞きつけたのか、司祭が出迎えていた。 「お久しぶりです。司祭様」 「元気にしておったか、何よりじゃな」 「早速ですが、祭殿をお借りしたいのですが」 「ほう……。そこの亡くなられておられるお方を蘇生させるのじゃな」 「はい。大切な仲間ですので」 「よろしい。使いなさい」 「ありがとうございます」  二人は教会内に入り祭殿に勇者の亡骸を横たえた。 「わさわざ教会に運ばなくても、その場で蘇生できなかったのですか?」 「司祭様のような高級神官ならできるけど、あたしのような普通の僧正程度では無理」 「レベルの問題というわけですか」 「レベルというよりも、野外には魔物や怨霊が徘徊して、気を乱す雑念の要素があ ふれているからね」 「蘇生術には精神統一できる環境が必要というわけですか」 「そうね。祭殿には結界が張られて、魔物は近づけないから」 「なるほど……」 「まあ、司祭様くらいになると、結界を張りながら蘇生できるけど。あたしは、二 つのことを同時にはできないからね」 「それで教会ですか」 「さてと……はじめますか」 「雑念が入らないように少し離れて見ています」 「ありがとう。そうしてくれると助かるわ」  祭殿入口付近まで退く騎士であった。  目をつぶり精神集中して詠唱をはじめるナタリー。  やがて勇者の身体が輝きだす。 「復活の時きたるかな?(つぶやく)」 「ふうっ(ため息をつく)」 「成功ですか?(歩み寄る)」 「たぶん……しばらく様子をみましょう」  勇者は何の変化も見られなかった。本当に蘇生は成功したのだろうか?  しばらくすると、勇者の手がかすかに動いたように見えた。  やがて、むっくりと身体を起こす勇者。 「成功しましたね」 「一応、そうみたいね」  キョロキョロとあたりを見回す勇者。 「気が付いたようね」  なおも状況が判らないといった表情の勇者。 「ここはどこ?」 「カタリ村の教会です」 「カタリ村?」  横たえられている祭壇から降りようとするが、 「なにこれ?」  といいつつ、自分の身体のあちこちを触っている。 「あたしじゃない! なんでよ?」 「あたしじゃない……?」 「あたしじゃないのよ!」 「どういうことですか?」 「あたしはリリア。ニーチェ村の花売りよ」 「リリア……。女の子?」 「そうよ。それがこんな身体……男の子……」 「失敗のようですね。どうやら勇者の魂ではなく」 「リリアという女性の魂が入り込んでしまったのね」 「あたし、花畑で花を摘んでいる時に、魔物に襲われたの。それから……」 「気が付いたらここにいて、身体が入れ替わってしまっていたと」 「どうやら魔物に襲われて命を失って、魂がさまよっている時に、ちょうど蘇生術 を行っている現場に出くわして、そのまま転生しちゃったというわけね」 「それでは元の勇者の魂はどこに行ったのでしょうか?」 「究極の遊び人だからね。魂になっても、あっちフラフラこっちフラフラと、女を あさって彷徨っているのよ」 「どうでもいいですけど、元に戻していただけませんか?」 「そうは言ってもねえ……。魔物に襲われたというのなら、たぶん身体は食べられ てしまっているでしょうね」 「元に戻るべき身体がないというわけですね」 「そんな……ひどいわ」 「しかたがないわね。このままその格好で生きるしかないでしょ」 「い、いやです。男なんて大嫌いです」 「といっても、なっちまったもんはしようがないわ」 「お願いです。女の子に戻してください」 「戻る方法はないんですか?」 「元の身体がないのにできるわけがないでしょ」 「いっそ、殺してください」 「とは言ってもねえ……」  見詰め合う騎士とナタリー。  祭殿の中に重苦しい雰囲気が流れる。 「おや、蘇生に成功されたのですね」  司祭が入場してくる。 「司祭様、実は……」  事の一部始終を説明するナタリー。

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