冗談ドラゴンクエスト
冒険の書・5

メニューへ  part-5 「しようがねえ。当たれば効果はあるだろう」  モンスターが三匹現れた! 「ちぇっ。またこいつらか」 「このあたりを徘徊している雑魚モンスターね。初心冒険者には、経験値稼ぎには もってこいよ」 「初心ねえ……。へいへい(といいつつモンスターを攻撃した)」  モンスターの一匹を倒した。  モンスターは逃げ出した。モンスターは樫の棍棒を落としていった。 「なんでえ。樫の棍棒を落としていったぞ。つうことは、俺の持ってるこいつもか」 「そのようね」 「なあ、こいつらを倒しまくって、樫の棍棒を集めて売ったら儲かるかな」 「無駄よ。雑魚モンスターを倒せばいくらでも手に入るものが、売り物になるわけ ないでしょ。骨折り損のくたびれ儲けになるだけよ」 「期待はずれだな。樫の棍棒を落とすくらいなら、Gをたっぷり落としていけって んだよ」 「雑魚モンスターがそんなにG持ってるわけないでしょ」 「そもそも、何でモンスターがGを持ってるんだ?」 「ぴかぴか輝いて、きれいだからなんじゃない? 金儲けなんて考えないから、二 三個手にしたら満足するんじゃないかしら」 「聞いたことがあるぞ。ある鳥の一種のオスが、鮮やかな紺色の物を集めて巣の周 りに散らして、メスの気を引くとかな」 「意外と博学じゃない」 「遊び人として、女を口説く参考になるものなら、どんな情報でも集めているぞ」 「感心するんじゃなかった……。あんたの考えの行き着くところは、全部そこなのね」 「おうよ。遊び人としての王道を極めて、ハーレムを作って何百人という女をはべ らしてやるんだ」 「あんたは勇者でしょうが!」 「はっきりいってやろう! 俺にはその自覚がない!!」 「あんたがどう思っていようが、王様は勇者として認めたのよ」 「迷惑だな。勝手に決めるなってんだよ」 「これ以上、議論しても頭が痛くなるだけ。やめましょう」 「それがいい」 「ともかく……。20000Gは返してもらわなくちゃね。それとギルドとの契約は履 行してもらうからね」 「ギルドとの契約? なんだっけ?」 「荷物をモトス村へ届ける依頼よ」 「おお! そうだった。きれいな姉ちゃんとの約束なら忘れていないぞ」 「ギルドの契約のことはすっかり忘れていても、女の子との約束は忘れないのね」 「自慢じゃないが、野郎との約束は三歩も歩けば忘れるぞ」 「もういいわ! そろそろ次の村に行くわよ。いつまでも油を売っている暇はない んだから」 「経験値稼ぎはいいのかよ?」 「この辺りの雑魚モンスターじゃ、これ以上戦っても経験値は得られないわよ。もっとレベルの高い奴らと戦わなきゃね。そのためにも次の村へ行くのよ」 「そうか……」  手に手を取り合って、先へ先へと突き進む二人。モンスターのレベルも次第にア ップしてきて苦労がかさみ始めていた。  やがて無事に次の村へとたどり着く二人。 「ふう……。さすがに疲れるわね」 「俺はなんともないが」 「あんたは特別なの。すぐに体力が回復するんだから」 「ここはサニタ村か……城からどれくらいの距離になるんだ?」 「3000マイラよ。モトス村までの、およそ十分の一の道のりね。二日で十分の一だ から、少し遅れ気味ね。でも無理することはないと思う。今夜はここに泊  まり ましょう」 「それは賛成だな」 「ただし先に忠告しておきますけど。借金を30000Gに増やすようなことはしない でね」 「冷たいお言葉。信用されていないのね」 「さあ! 出発するわよ」 「ちょっと待て! 今寝ようとしたばかりじゃないか」 「なに、寝言言ってるのよ。とっくに朝になってるのよ」 「う、嘘だろ……」 「どうせ、一晩中寝ないで、女あさりしてたんでしょ」 「そ、そうなのか……。た、確かに朝日が昇っている」  部屋の中には、窓から燦々と太陽が射しこんでいる。 「夢遊病の気があるんじゃない? 自分でも気が付かずにふらりふらりと、さ迷っ て女を捜し求めていたんでしょ」 「それは言えるかも知れない」 「とにかく出発よ」 「へい、へい」  納得できないまま、出発する勇者だった。 「今日の予定を言うわ。タルタル山脈を越えるんだけど、山腹の途中にあるカタリ 村で一泊の予定よ」 「山越えするのかよ?」 「他に道がないから、しようがないじゃない」 「キメラの翼を買って使うとか?」 「忘れたの? 飛行の魔法や飛行船とかは使わないでと言われてたでしょ」 「そう言えば、そうだった。地べたを這いずって行くしかないんだな」  カタリ村へ向かって山登りをはじめる二人。  険しい山道に加えて、襲い掛かるモンスターの群れ、そのレベルも半端なもので はなかった。 「そっちへ行ったわよ。気をつけて」 「え? どっち?」  キョロキョロと辺りを見回すが、素早さの低さで目が追い付かない。  モンスターが勇者を攻撃した。200Pのダメージ。 「ぐえっ!」  さらに別のモンスターが襲い掛かる。300Pのダメージ。 「な、なんだよ。こいつら……」 「すばやさがまるで違う。逃げるのよ」 「わかった」  しかし、囲まれてしまって逃げられない。  モンスターの攻撃。勇者に200Pのダメージ! 「薬草じゃ、とても間に合わない……」  なにやら詠唱をはじめるナタリー。  勇者のHPが700P回復して全快! 「お、おまえ、今……」 「よそ見してないで、前!」  モンスターの攻撃。勇者に痛恨の一撃! 999Pのダメージ。  勇者は死んだ! 「ああ、なんてこと! 死んでしまったらHPを回復することもできないじゃない」  モンスターの群れは容赦なく襲い掛かってくる。 「もうっ! しつこいわね。これでどう?」  ナタリーがすばやく詠唱すると、あたり一帯に光の渦が沸き起こった。  モンスターは全滅した。 「さてと……(勇者の遺体を見つめながら)これからどうしましょう」 「お困りですか?」 「だれ?」 「通りすがりの旅人ですよ。近くを通ったらものすごい閃光があったもので、何事 かと近づいてみたのです」  甲冑を身にまとい、腰には剣を携えていた。 「ふうん……。見たところ、ナイトのようだけど、困った人がいたら助けるのが仕 事のうちよね」 「もちろんです。特にご婦人を放ってはおけません」 「なら、こいつをカタリ村まで運ぶの手伝っていただけないかしら」 「お仲間が亡くなられたのですか……。さぞかし、ご無念でしょう」 「これでも勇者なのよね」 「勇者?」 「本人は遊び人だとか言ってたし、性根もまさしく遊び人だった」 「それがなぜ、勇者に?」 「たぶん、親の七光りじゃないかな。親に強引に勇者にされたみたいなこと言って たから」 「なるほど、親が勇者だったというわけですかな」 「たぶんね」 「にしても、このまま放って置くわけにはいきませんね。近くの村まで遺体を運び ましょう」 「カタリ村が一番近いわ」 「山腹にある村ですね。いいでしょう」  こうして亡骸となった勇者を、騎士が抱きかかえてカタリ村へと向かうのだった。  途中にもモンスターが襲い掛かるが、騎士は難なく倒していった。

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