冗談ドラゴンクエスト II 冒険の書・1

メニューへ  電源スイッチを入れる。  ENIXSO PRESENTS から、スタートとコンティニュー及び MESSAGE SPEED 選択画面。  スタートを押せば、名前入力画面だ。  もちろん、勇者だぜい!  ひらがな入力しかできないけど……。  入力が終われば物語のはじまりだ! ナレ「ある日、ルーラシア王国に一人の傷ついた兵士がたどり着きました」 兵士「ルーラシアの王様!大神官パーゴンの軍団が我がサンブルグのお城を!大神官パー ゴンは、まがまがしい神を呼び出し世界を破滅させる気です!王様、何とぞご対策を…… ぐふっ(行き倒れる)」 国王「王子、勇者よ。話は聞いたな?そなたもまた勇者ロトの血を引きしもの。その力を 試される時がきたのだ!旅立つ覚悟が出来たならついてまいれ」 ナレ「と言って、階段のところへ行き、勇者を待っている」 勇者「なんだ、ドラクエII(FC版)の冒頭じゃないか」 ナレ「と言いながら、耳をかっぽじっている」 勇者「どうでもいいぞ」 ナレ「とにかく近くの者に話しかけるのが、RPGの原則です」 勇者「おい、そこのじじい」 じい「勇者王子!じいは、王子と離れるのがつろうございますぞ!」 勇者「おい、そこの衛兵」 衛兵「旅のご無事を祈っております。勇者王子さま」 ナレ「で、何度も話しかけても、壊れたレコードのように決まり文句を繰り返すだけ」 勇者「どっか、遊びに行くか」 ナレ「しかし、たった一つの出入り口である階段は王様が塞いでいます」 勇者「非常口とかねえのかよ。消防法違反だぞ。しようがねえなあ、おい王様とやら」 ナレ「話しかけようと近づくと、スッと階段下へと消えてしまいます」 勇者「逃げるなよ!」 ナレ「追いかけて階段下に降りると」 王様「さあ、その宝箱を開け、旅の支度を整えるがよい。サマートリアとサンブルグには、 同じロトの血を分けた仲間がいるはず。その者たちと力を合わせ邪悪なるものを滅ぼして まいれ!」」 ナレ「階段脇には、これぞとばかりの宝箱が置いてあった」 勇者「おい!ナレーション、聞いているか?」 ナレ「な、なんでございましょうか」 勇者「冒頭シーンを一度で書きとめられたか?」 ナレ「え、いや。台詞がどんどん流れてしまうもので、何度もリセットして最初からやり 直して書き留めました」 勇者「だろうな。だがよ、取扱説明書にストーリーとしてちゃんと書いてあるんだぜ。無 駄な苦労したな」 ナレ「はあ……後で気が付きました(ゞ(´Д`q汗)+・.」 勇者「ところで聞くが、ファミコン持ってるのか?」 ナレ「はい。スーパーファミコンも持ってます」 勇者「物持ちだな。ソフトは?」 ナレ「はあ、ドラクエとFFのシリーズばかりですが……他のが数本」 勇者「わかった。で、俺はこれからどうすればよい?」 ナレ「と、申されましても……まずはそこの宝箱を開けて」 勇者「宝箱を開けなくとも知っているぞ。どうのつるぎ1本と50ゴールドしか入ってな いじゃんか」 ナレ「町の人々から情報を得るのがRPGの常道ですが」 勇者「どうせ娘に、『セックスしようぜ』とか話しかけても、『ああ、勇者王子さま、行 ってしまわれるのですね……わたしはせつのうございます』としか言わないからな」 ナレ「と申されましても……」 勇者「まあいいや。この宝箱は一応貰っとくか」 ナレ「と、宝箱を抱える勇者?ちょっと宝箱ごと持っていくのですか?」 勇者「だってよ。宝箱開けても、宝箱は消えるじゃないか。つまり宝箱ごと持ち去ったと いうことだろ?中身だけ取ったら宝箱は残るはずじゃないか」 ナレ「そ、それはそうですが」 勇者「まあ、何にせよ。この城内にある宝箱は全部鍵の掛かった部屋の中だからな、もう 城には用がないということだ」 ナレ「と、城下町に繰り出すのだった」 勇者「おいこら、城下町っつたって、道具屋と宿屋、そして犬がいるだけじゃないか」 ナレ「まあ、そんなこと言わずに」 勇者「まったく……。おい、そこの道具屋」 道具屋「ここは、どうぐやです。どんなごようでしょうか?」 勇者「やくそうをくれ!」 道具屋「すいません。それをかうにはおかねがたりませんが……」 勇者「おっと、まだ宝箱の中から金を取り出してなかったな。いや、待て!俺は、王子だ ぞ。王子から金を取るのか?」 道具屋「15Gになります」 勇者「ただでくれ!」 道具屋「すいません。それをかうにはおかねがたりませんが……」 勇者「しようがねえ」 道具屋「では、またのおこしをおまちしています」 勇者「そこの宿屋!」 宿屋「たびびとのやどにようこそ。ひとばん4ゴールドですが、おとまりになりますか?」 勇者「もういい!そこの犬!」 犬 「わん わん わん!」 勇者「まったく。世界を救えといいながら、ろくな武器も金もくれねえ上に、王子から金 を巻き上げようとするとは。仲間が死んだら死んだで、また金とるんだよな」 ナレ「まあまあ、そう言わずに。これがドラクエの世界観なんですから」 勇者「うるせえ!俺は勝手にやらせて貰うぜ」 ナレ「と、大手を振って城の外へと歩みだしたのであった」
   
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